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2013年2月24日 (日)

ZIPANG PUNK GOEMON ROCK 五右衛門ロックⅢ

 昨日、朝は「ライオンキング」の先行チケット取り(なかなか申し込み画面にたどり着けなかったし、2回も判断ミスをしてずいぶん先の公演なのに希望席が取れなくてガックリ)、昼(夕?)は映画「世界に一つのプレイブック」、夜は劇団☆新感線の公演「五右衛門ロックⅢ」の観劇と、とっても充実(?)っていうか、マジメな方には眉を顰められそうな1日となりました。映画の感想は、まだまだ1月から2月前半に観たものがたまっているので、とりあえず舞台の感想を早く書いていきたいと思います。

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写真は劇場入り口の大看板です。みんなが記念撮影スポットに使っているので、人が入らないように撮影するのが大変。

 私は「ゲキ×シネ」は何度か観ていますが、五右衛門ロックシリーズを生で見るのは初めて。そして新感線の舞台自体もまだ2回目です。端的に感想を言えば、「面白かった」「すごく楽しめた」「Amazing!」というところでしょうか。歌を楽しみ、ギャグや仕掛けに笑い、音楽に酔い、お芝居を楽しみ・・・。「音楽活劇」、ミュージカルとチャンバラ(殺陣)が両方楽しめちゃう・・・いいですねぇ。惜しむらくは大音量過ぎて歌詞が聞き取れないことがたびたびあったこと。PUNKだからそんなもの?いや~、せっかくだからしっかり聞きたいですよ、冠徹弥さんや教祖イコマノリユキさんたちの歌は・・・。ロックコンサートとかライブハウスに通っている人はあれでも聞き取れるんでしょうか?とりあえず、ほかの舞台と比べて新感線ファンはアツいと聞いていましたが、会場内が暑くて困るぐらい熱気ムンムンという感じではありました。終了後出待ちの人たちも老若男女で驚くほど多かった・・・、まぁ、比率としたら比較的若い層の女性が多かったけど・・・ 

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←劇場一階ロビーのポスター。1階エントランス前には過去の五右衛門ロックシリーズのポスター(含:ゲキ×シネ)のポスターも貼ってあって、それも楽しめました。

 物語は京都から始まります。 (以下敬称略)女盗賊・雲隠れのお霧(村木よし子)と枕返しのおつゆ(中谷さとみ)を京都所司代・前田玄以(逆木圭一郎)と配下の取り手たちが捉えあぐねているところへ、探偵方(そんな職は実在しないよね?)・明智心九郎(三浦春馬)が現れます。心九郎は揃いの衣装を身にまとった「舞踊少女探偵団」 (飯野めぐみら、たぶん8人)や小林小女(しょうじょ・・・入力まちがいじゃありません)(山本カナコ)らとミュージカル仕立てで謎を解き明かします・・・。場面替わって、五右衛門(古田新太)が宙乗りで登場。猫の目お銀(蒼井優)と賽の目金次(河野まさと)に身に覚えのない裏切りの罪を言い立てられ襲われますが・・・。ことは不思議系の尼僧・春来尼(高橋由美子)のいる津雲寺という古寺での空海の秘宝さがしへと話が進んでいき、太閤秀吉(麿赤兒)、石田三成(粟根まこと)、前田慶次郎(橋本じゅん)らも絡んできます。そこへ、あの、お気楽王太子シャルル・ド・ボスコーニュ(浦井健治)が現れ、ミュージカル色満開に。シャルルはアンヌ(天海祐希=映像出演…残念ながら男装ではなく、ちゃんと女王らしい服装でした。美しくて強い女王から、五右衛門への手紙を言付かっていました。悪女・マローネ(高田聖子)がジパングへ向かったというのです・・・。マローネは堺の豪商・蜂ケ屋善兵衛(村井國夫)らに悪巧みをもちかけていました。・・・

 五右衛門の登場はやっぱりド派手で楽しい。2ヵ所の屋根の上で「楼門五三桐」のセリフを言ったりというわかりやすい遊び心も楽しい。
 心九郎は少女漫画なら大量のばらを背負って登場する役どころ。花輪君のようにキザに前髪をかきあげる度にキラリンというような効果音が響きます。三浦春馬さんのことはTV「平清盛」と映画「プリンセス・トヨトミ」ぐらいでしか知らなかったので、こんなに歌って踊れてコメディもできる役者さんだとは思っていませんでした。二枚目を気取る心九郎が嫌みでなく爽やかに感じられる、役にピッタリのイケメンぶりで、すてきでした。長い陣羽織?肩衣?(ロングベスト的な)の捌き方が、少し気になりましたが(タカラジェンヌに習ったらよいかも)、殺陣も美しい姿でキマッていました。ちょっとネタバレになってしまいますが、心九郎の衣装に着いている紋が面白い。京都所司代配下の探偵方の時は京都府のマーク(京都府のHPを観ればわかりますが六葉型、六弁の花にも見えます)に酷似。光秀の遺児としての衣装ではもちろん桔梗紋(五弁の花)。六と五の対比には何か意味を持たせてあるのでしょうか?
 お銀役の蒼井優さんについては、なんとなく「女盗賊」というのがしっくりこないような先入観を持っていましたが・・・お銀がちょっと抜けている可愛いキャラでキュートでした。
 シャルルは・・・ほんとに陽気で愉快で・・・「薔薇とサムライ」よりもっとミュージカル度がアップしていて、春来尼とのコンビも素晴らしい。浦井さんのシャルル、サイコーです!!もっともっと浦井さん、もしくは浦井さん&高橋さんの明るいミュージカルシーンが観たかったです。それじゃぁちっとも話が進まないことになりそうですが・・・。それにしてもシャルルの登場時の歌「ジュヴ・ジュヴ」は「Je」「Vous」なんて、フランス語っぽく装っていますが、そしてフランス語っぽい綴りの字幕が出ますが・・・本物のフランス語に交じって「オナラブー」とか「タカギブー」とか言ってます。笑えます。
 村井國夫さんの悪役ぶりはもう見事としか言いようがなく、歌声も渋い。麿さんも登場シーンは長くないのに芝居を引き締めているという感じ。

 まだまだ語りたりないですが、もうすぐ「昨日の話」ではなくなってしまうので、今日の所はこの辺で。

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2013年2月17日 (日)

「髑髏城の七人」

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先月の半ばに観に行ったゲキ×シネ「髑髏城の七人」。

←パンフレットの表紙です

余りにも人が無造作に殺されていくのが気にはかかりますが、そういうところを気にしなければかなり面白かったです。アオドクロやアカドクロを観ていないので、比べる対象がないのですが、捨之介を演じる小栗旬のアツさとカッコよさ、極楽太夫の小池栄子のハンサム・ウーマンぶり、蘭兵衛の早乙女太一のニヒルな二枚目ぶり、天魔王の森山未來の猛々しい武者振り、勝地涼の兵庫は二枚目半を粋に演じ、沙霧の仲里依紗は可愛くけなげで強い娘。そして、新感線のベテラン俳優さんたちはもちろんどの役もいい感じに抜けてて面白く。

 ストーリーもうまくできているなぁ、と当然のことながら感心。「狸穴(まみあな)」(千葉哲也演じるところの飄々とした浪人)と聞けば正体はわかりきっているけど、上手に頭の半分は騙されたままで(変な表現ですが、ホントは気づいてるんだけどそれをことさら意識しないで観ていく・・・ようなニュアンスを感じ取っていただければ)結末を迎えてしまう痛快さもあります。

 舞台は天正18年。豊臣秀吉の北条攻めの直前、関東平野に現れた「髑髏城」とその首魁・天魔王。その家来たち・関東髑髏党は2万の勢力を持ち、非道の限りを尽くしていた。関東の片隅の色里「無界の里」では、束の間の平穏に心休める若者たちがいて・・・。

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 パンフレットを見ていると、捨之介は初演の古田新太さんとは全く違った役作りをしたようです。ほかにも以前のバージョンと変わっているところはあるのでしょうか?ゲキ×シネのレパートリー上映をもう少し頻繁にもう少し長いスパンでやってほしいなぁ・・・。

 これって、小説版も出版されているんですね。2011年版ではなくて初演バージョンのようですが講談社文庫からも出ていたのがいまは絶版のようでマガジンハウス版の単行本しか手に入らないみたいです。文庫復刊してほしいなぁ・・・。

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「ホビット 思いがけない冒険」

映画「ホビット 思いがけない冒険」は制作決定発表があって以来待ちに待った作品です。原作(岩波少年文庫版『ホビットの冒険』)は子どもの頃読んで大好きだったし、映画の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズも小説の『指輪物語』も大好きだったので絶対見ようと思っていました。『指輪物語』よりかなり短い原作なのに、なんで3部作?と思ったら、原作にないエピソードが追加されていたり、原作では少し語られるだけの出来事が映像を駆使して描かれたりしていました。雄大な自然を舞台にした中つ国やはなれ山の映像も壮観で満足です。残念ながら私の周りでは「ロード・オブ・ザ・リング」の時ほどブームになっていない(一説によるとフロド・アラゴルン・レゴラスのようなはっきりしたイケメンがいないからだとか・・・)のですが、興行成績はどんな感じなんでしょうか?「ホビット」は3作目までの公開は決定しているようなので、「ライラの冒険」「エラゴン」など1作目だけで終わったファンタジー映画のような心配はないんでしょうが、公開回数や期間が少なくなっちゃわないかと・・・

 物語は『指輪物語』で老境にあったビルボ・バギンズの若かりし頃。「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚になりますから、同じ役で出るみなさんは、前回より10年も経っているのに60歳(!)若返った姿で出ないといけません。大変だなぁ、と思ったけれど、さすがに俳優さんたちはすばらしい。10年の歳月を感じさせない姿で出てこられました。「ロード・オブ・ザ・リング」と同役で出てきた俳優さんは、(灰色の)ガンダルフのイアン・マッケラン、少ししか出ないけど、フロドのイライジャ・ウッド(ちゃんと旅立つ前の少し幼さの残ったフロドに見える!)、ガラドリエルのケイト・ブランシェット(妖精の気高い美しさは変わらない)、エルロンドのヒューゴ・ウィービング、白のサルマンのクリストファー・リー(このころは善人のはずですが、のちの姿を知ってるだけに悪巧みがあるんじゃないかと勘繰ってしまう…そんなキャラを演じることが多いし)、ゴラム役にはアンディー・サーキス(ですけど、まぁ、クリーチャーなので・・・。ゴラム的には若く、比較的つるんときれいな見かけです)などの皆さんです。あ、老いたビルボとしてイアン・ホルムも。
 ドワーフの国から物語がはじまるので、ドワーフがたくさん出てきます。ビルボとともに旅をするドワーフだけでも13人。本を読んだ若いころならともかく、いまでは名前も顔も覚えきれません。ドワーフの王子トーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)、比較的若くてよくトラブルを起こすフィーリ(ディーン・オゴーマン)・キーリ(エイダン・ターナー)ぐらいかな、見分けがつくのは。主人公のビルボ・バギンズを演じるのはマーティン・フリーマン。おお、あなたはワトソン君(TVドラマ「SHERLOCK」の)ではないですか!ここに文字として書くまで気づいてなかったです。なにせTVでは吹き替えで観てましたから声でも気づかないし・・・そういえば映画雑誌にシャーロック・ホームズ役のベネディクト・カンバーバッチがドラゴンのスマウグと死人占い師(Necromancer) の声の出演をするって書いてあったけど、そういう縁なのかしらん?じゃぁ、いずれサウロンとしてちらっと登場することもあるのかなぁ?でもTVでは日本語で見たからベネディクトの声がわからんわ~、残念!パンフレットにも載ってないし気づいていない人の方が多いかも・・・。気が弱そうだけど機知と勇気に富む役って、マーティン・フリーマンの持ち味なんでしょうか・・・。映画を観た私にはこの方のビルボは良かったけど、ビルボは若者、という印象があったので、ベテラン俳優さんが演じるのはどうかな?という気持ちもありました。映画を観るかどうかの決め手としてはもう少し若いビルボの方が良かったかな?という気もします。ところでパンフレットにはすべての登場人物の紹介がないので残念ですが、エルフの一軍の中に銀髪のロングヘアの男性がいますね。レゴラスのお父さんとか、でしょうか?

 ストーリー紹介をするつもりが、うだうだと余計なことばかり書いてしまいました。とにかく目を見張るようなスペクタクル、ゴブリンや魔狼に追われるスリリングなシーンなどファンタジー好きの人や冒険ものの好きな人にはぜひ見てほしい映画です。そして続きも待ち遠しい。原作を再再読して楽しみに待とうって思ってます。

原作は岩波少年文庫版のほかに、詳しい註釈や著者自筆の挿絵および各国語版の挿絵が載っている原書房版が最近文庫で出ています。本文が読みやすいのは定評のある岩波少年文庫版だと思いますが、原書房版の詳細な註はファンとしては手元に置いておきたいものです。

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2013年2月11日 (月)

映画「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー 」

(まだ1月に観た映画です)
「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー」を観てきました。大好きなミュージカルなので、1週間という短い上演期間中に観に行く機会を得られてよかったです。劇団四季版は何度か観に行ったし、1973年の映画(TV放映されたもの)や1999年の舞台版のDVD、劇団四季版のCDなども持っていますが、新演出でアリーナでの公演の映像ということで、期待満々で観に行きました。色んな評価があるようですし、出演者に対する好みもあるとは思いますが、私はおおむね満足です。ブルーレイが5月に発売されるそうなので、絶対買おうと思っています。


 舞台は階段状になっており、ところどころに広い段があります。上方に大スクリーン(液晶?)があり、様々な情景やソロを歌っている人のアップなどが映し出されます。まずオーバーチュアではそのスクリーンに世界各国(中東?かも?)の紛争シーン、抗議デモなどが映し出されます。やがて紺色のパーカーを着た若者たちが舞台に登場(デモ隊ってことかな?)、続いて機動隊が現れます。そして紺色のロングコートのジーザスたちが登場・・・。

ユダ:ティム・ミンチン
マリア:メラニー・C
ヘロデ王:クリス・モイレス
ジーザス:ベン・フォースター

 パンフレットも売ってなかったので、公式ページにあった上記の4人しかキャストは分かりませんが、それ以外のキャストも含め、みんな歌がうまくてかっこいい人たちばかり。演出も現代風で面白く、すごく楽しめました。マリアの人はとても美人、ハスキーな歌声です。私の好みとしてはマリアの歌は透明感のある方が良いようにも思えますが、マグダラのマリアの経歴から考えるとハスキーな方があっているのかな?

 群衆のいでたちはTシャツ・ジーンズ・タンク・ホットパンツなどストリート風ファッション。マリアは白いワンピース・黒い革ジャン・黒いアンクルブーツ、ドレッドヘアです。ジーザスは白シャツに黒っぽいズボン。ユダもストリート風で、タトゥーも入れてロッカーという感じです。カヤパら執政官たちは背広に黒いロングコートというビジネスマン風。ヘロデ王は赤い背広のショー司会者。ヘロデ王の歌はジーザスがゲストとなったインタビューショー(実際には司会のヘロデだけが話しているんだけど)という趣向です。

 最初のホサナでは群衆はプラカードを持ち、旗を振りジーザスはハンドマイクで歌ったり(それをピラトたちが上段から渋い顔で見ています)、肩車をされて歌ったり、そして赤い布を持っています。あとからチェ・ゲバラのポスター風のジーザスのポスター画像も出てきますので、ジーザスは革命家という設定なのかもしれません。

 大画面の迫力ある映像と音楽で鑑賞できる機会が、全国的に少なかったのが残念ですが、ブルーレイやDVDでも楽しめると思うので、この作品がお好きな方はぜひどうぞ。字幕は四季版の歌詞とは違うところがずいぶんあるのでそれも楽しめますよ。

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映画「ソハの地下水道」

またまた、ブログ更新が滞り、ますます追いつけなくなってきました。でも頑張ります。まだ1月上旬に観た映画のことです

 アグニェシュカ・ホランド監督の「ソハの地下水道」。実話を基にした映画です。昨年のアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、ポーランド政府観光局の日本語ブログにも記事があります(2012年1月3日の記事)
 舞台は1943年、ナチス占領下のポーランド・ルヴフ(現在はウクライナ領)。主人公ソハ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)は下水道の管理人(修理人、と公式ページにはあるけど、常に管理のため下水道を見回っている人に思えるので)ですが、乏しい収入を補うため後輩の作業員(名前、忘れちゃった)とともに、下水道を利用したコソ泥(空き巣)も働いています。戦利品の一時的な隠し場所も下水道の中にありました。下水道と言っても、ヨーロッパのそれはかなり広いのが普通なのか、「レ・ミゼラブル」や『アンジェリク』などでおなじみのパリの下水道ほどではないかもしれないけど、ルヴフの下水道も広く、人が立って悠々と歩ける部分も長い。決して善人とは言えないソハでしたが、家族のことは大事にしているようでした。

 ある日、ソハたちが下水道を点検している最中、天井部分が開いて、人が下りてきます。そこはユダヤ人ゲットーの真下。ユダヤ人たちが隠れ家を求めて居住区の地下を掘っていたのです。驚いたソハですが、ユダヤ人をナチスに売るよりも、下水道の中に匿って謝礼をもらった方が得策だと腹を括ります。ユダヤ人たちのリーダーはヒガー(集英社文庫版の本や公式ページではヒゲルと表記。映画字幕はヒガー、音声を日本語表記するとヒガーの方が近いかな?演じているのはヘルバート・クナウプ)。映画での印象は知識人という感じ。
 やがてゲットーでは強制連行が始まり、ヒガーたちは地下水道へ逃げます。ソハと後輩作業員は彼らを安全な場所に案内しますが、地下へ逃げ込んだ人数はソハはもちろんヒガーたちにとっても予想外の大人数になりました。人数が多すぎて匿いきれないと判断したソハはヒガー一家を含め数名だけをさらに安全な場所へと連れていきます・・・。
 ソハはユダヤ人たちを養うために大量の食べ物を確保しなければなりませんし、一度ならず軍隊から疑われます。ユダヤ人を匿うことを金儲けの手段としたソハでしたが、それはわが身だけでなく友人や家族を危険にさらすことでもありました。後輩作業員は途中でやめ、妻にもばれて反対されます。
 ユダヤ人たちにもさまざまな出来事があります。地下の隠れ家に耐えきれないと逃げ出す妹、その妹を心配する姉。その恋人は彼女のために危険を冒して地上に出て強制収容所の労働者と一時交代して妹を探します。地下生活の中で生きる希望を失うものもいました。・・・
 やがてヒガーたちの持ち金が尽き、ソハへの謝礼はおろか生活必需品を買うための資金を渡すこともできなくなりますが・・・。

 地下生活を描くシーンが長く、観ている自分自身も息が詰まるような苦しい思いがしました。特に地下生活が始まったばかりの時。そして大雨で地下水道が洪水になるときの恐怖感、ハラハラして見守ってしまいました。14ヵ月もユダヤ人たちを匿いぬいたソハは、決して英雄的精神をはじめから持っていたわけではなく、どちらかというと小悪党の部類でした。でもすばらしい人間性を発揮して、10人もの人間を救ったのです。最後、ナチスの敗北によりユダヤ人たちが地下から救い出されたときは感動的なシーンです。ソハの妻もユダヤ人たちに食べ物を振舞います。

 映画の終わりにテロップが流れます。ソハは1046年に、愛娘を暴走するソ連軍のトラックから守ろうとして轢死したこと。葬儀の時誰かが「ユダヤ人何かを助けるから神罰が下った」と言ったこと。…「人は神の名を借りてまで人を罰したがる」という趣旨のテロップで締めくくられます。すごく含蓄のある締めくくり。いったい「神」とはなになのか?考えずにはおれません。戦争にも迫害にも、そして個人への誹謗へも利用される「神」とは?神話物語は好きなんだけどね。

 映画も本もおすすめです。昨年観た「アンネの追憶」もそうですが、高校などでの団体鑑賞等ででも、こういう事実を知る機会の少ない若い人たちにぜひ見てほしい映画です。

 

 

(DVD)

(集英社文庫、原作。・・・ヒガー=ヒゲルの覚え書きと著者の取材・インタビューを基にした小説)

マンホールから顔を出している子どもたち、ヒガーの子どもたちですが、とてもかわいいです。映画を観る前はこの女の子の名前が「ソハ」なのかな?と勝手に思っていました。ポスター画像を見て想像したストーリーと全く違いました。映画の中では女の子のクリシャが大きく描かれていて、病気になった時にはソハが献身的に看病していました。ソハ自身も女の子と父だったからかもしれませんね。

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2013年2月 3日 (日)

「詭弁 走れメロス」

 ふと思い立って、アトリエ・ダンカン プロデュース「詭弁 走れメロス」の大阪公演に行ってまいりました。場所はPhotoサンケイホール・ブリーゼ。急に思い立ったのでかなりの後方席ですが、座席列の勾配が大きいホールなので前の人の頭が邪魔というストレスはなく鑑賞できました。

 原作は森見登美彦さんの短編小説「新釈 走れメロス」。このお芝居に関しては何の予備知識も持たず、単に原作がどう舞台化されたのかを見たいがために出かけたのですが。ちょっと客層若い目な気がしました。芽野や芹名、須磨さんなどを演じる若い役者目当てかなぁ(新垣さんのファンTシャツ着てた人数名見ましたし)、と思われるフシも無きにしも非ずかな。

以下、キャスト・スタッフ等敬称略で紹介します。

脚本・演出 :松村武
音楽・演奏 :土屋玲子
芽野史郎:武田航平
芹名雄一:山下翔央
須磨さん:新垣里沙
自転車にこやか整理軍:高木俊
                上田悠介 
図書館警察長官:市川しんぺー
詭弁論部員:西村直人・小手伸也・小林至

 

 1時間半の一幕ものです。開演するとまずは舞台に白拍子姿の女性が登場し、バイオリンを奏でます。この方、土屋玲子さんは1時間半舞台に出ずっぱりで、ある時はチェロ、ある時は鈴、ある時は二胡などいろんな楽器でBGMの演奏と伴奏をほとんど一手に引き受けています(ときどき録音されたらしい音色も付け加わっているようですが)すごい!特に二胡の叙情的なこと!舞台上には特にセットはありません。黒っぽい箱のようなものがいろんな形と大きさで並んでいるだけ。それがあるときはこたつに、ある時はドアに、ある時は椅子に・・・とあらゆるものに見立てられ話が進みます。とにかく出演者の皆さんがよく動く。そしてよくしゃべる。予備知識なしなものでストレートプレイだとばかり思っていたら「青春音楽活劇」と銘打ってあり、挿入歌も数曲。なかなか楽しめます。
 ストーリーは原作通り。小説のなかの会話でない部分(地の文)、戯曲でいえばト書きに当たる部分もそのままセリフになっており、よく口が回るなぁ(ときどきとちってたけど)と感心するほどの早口の長台詞が続きます。芽野が京都中を逃げ回るとき京都人や京都になじみの関西人ならば、新京極から四条烏丸大丸を通って阪急に乗って十三を目指して桂で降ろされて嵐山へ逃げて今出川通りを通って三角州で云々が鮮やかに思い描けると思いますが、これを早口のセリフで語られて東京公演でもみんな分かったのかしら?とちょっと心配になりつつ、舞台の上のドタバタ劇を楽しみました。もう阿呆ばっかりですね。はじめは堅苦しく舞台を見つめていた私も(一人観劇は結構緊張して観てるんです、いつも)、終わるころにはけらけらと声を立てて大笑いしてました。図書館警察長官役と詭弁論部員役の俳優の皆さんは学生を20年やっているのか、とツッコミたくなるようなベテラン俳優さんたちでしたが、若者に負けずによく動いてはりました。そしてさすがベテランの小技も出しつつ、詭弁論部員の3人で150役以上をこなしておられたそうです。他の学生や須磨さんの恋人や通行人や電車の乗客や車掌などの人物はもとより、新京極のアーケード、なんて無機物まで演じてはるんですよ~。

 おもしろかった。カーテンコールからも役者さんたちの熱意が伝わってきて、良い舞台だったと思います。でもでも、ブリーゼのような大ホールで観るタイプのお芝居とは違うな、と思いました。ブリーゼは900席以上あるし、東京・神奈川公演では200~400のホールを使っていたようで、劇場規模が違いすぎると思います。小劇場用に作られた舞台内容なのだから、舞台の熱気やテンションが直接伝わるような小劇場で観たかった。それが残念。

Photo_4プログラムの表紙も濃いピンクの京都の市街地図(地名ローマ字)の上にスニーカーの足跡のイラストが施してあってなかなか楽しい。

物販コーナーも大人気で、私もついうかうかと詭弁論部Tシャツを買う気になっていました。途中で思いとどまりましたが。

原作も売れてるようでした・・・初めて読む人はこんな短い話だったんだって、ビックリするかも。

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「マリー・アントワネットに別れをつげて」

 1月は舞台3本、映画は6本、落語は1回観ました(落語は「聞きました」が正解?でも落語家さんの所作も楽しみの内ですものね。観る、のうちに含めさせてください)。珍しく結構いろいろ行けたので、舞台の感想を優先して(それでも1週間遅れぐらいで)書いていたら映画の感想は書かずに溜まってしまっています。まして読書や漫画などの感想は全然書けずじまいになりそう。いや、今年こそいろいろ頑張りたいと思ってるんだけど・・・。長文を書かなきゃいいんだけどね。

 さてお正月休みには4本映画を観に行きました。たくさん休みがあったわけでも暇だったわけでもなく、1日に3本ハシゴをするという無謀ができたからです。3本見た日の1本目。「マリー・アントワネットに別れをつげて」はフランスとスペインの合作映画。フランス語の映画でした。

 主人公はシドニー・ラボルド(レア・セドゥ)という若い女性(公式サイトやパンフレットでは「少女」と表現されていますが・・・「少女」の年頃には見えません。10代後半~20歳前後というぐらいの設定に思えます。演じるレア・セドゥさんは1985年生まれだそうですから20代後半ですが、童顔で若く見えますね。)、王妃の朗読係です。ヴェルサイユの中の使用人部屋に暮らしています。主人公と同じく身分の低い使用人(下働き)仲間の若い娘たちの中でも、「朗読係」は王妃のそばに直接侍るためでしょうか、衣装が豪華ですし、遅刻をしないために特別に時計を部屋に与えられています(他の女の子たちに「貸してほしい」とねだられたりしています)。王宮の図書室に出入りすることもあるし、王妃に近侍しているので、宮廷内の少し身分の高い使用人たちとも(直属の上司・・・女官?には叱られつつも)口をきける間柄です。特に史料編纂官(図書館の主のようです。パンフレットの記述を見るまでは司書だと思っていた)のジャコブ・ニコラ・モロー(ミシェル・ロバン)とは仲が良く、革命勃発時には真っ先に相談しています。

 舞台は1989年7月14日~17日のヴェルサイユ宮殿。そう、フランス革命勃発の時のヴェルサイユの様子をシドニーという若い朗読係の目で描いているのです。実際にヴェルサイユ宮殿を使って撮影されたそうです。豪華絢爛たるヴェルサイユ宮殿や庭園の様子はこれまでにも映像化されたことがあると思いますが、今回は使用人部屋や厨房まで実物が撮影に使われたそうです。映画の中でシドニーはよく階段を走っています。使用人部屋は地下にあるのでしょうか?

 王妃・マリー・アントワネットを演じるのはハリウッド映画でもおなじみのダイアン・クルーガー。美しいです。役にピッタリの威厳と誇り高さがあってステキです。シドニーでなくても憧れてしまうでしょう。語学に疎い私にはさっぱりわかりませんがドイツ出身のダイアン・クルーガーは、オーストリア出身のマリー・アントワネットに近い雰囲気でフランス語をしゃべっているんでしょうかね?マリー・アントワネットは手ずからシドニーの虫刺され痕に香油を塗ったりしてあげています。美しさとやさしさ…シドニーは彼女にすっかり心酔しています。まるで恋に落ちたように。

 バスティーユ陥落の報がヴェルサイユに届き、も大騒ぎになります。革命軍によるギロチン台送りのリストに名前が載っていて気絶する貴族もいます。ヴェルサイユから逃亡する貴族たち。使用人たちももちろん逃亡。火事場泥棒のように盗みを働く使用人や女官もいます。

 王妃の荷造りのために呼ばれたシドニーは、王妃から苦しくなるほど人を愛したことはあるか?と聞かれます。王妃にとってのその人はガブリエル・ポリニャック夫人。でもポリニャック夫人はこのところ王妃の呼び出しを無視していると王妃は憂います。シドニーはガブリエルに嫉妬し敵愾心を持っている様子。美しいガブリエルは

 結局王室一家はヴェルサイユにとどまることになり、荷造りは解かれます(もしここで亡命していたら?、と誰でも一度は思いますよね・・・)。翌朝参内したガブリエルに、王妃は最大級の親愛の情を示し、シドニーは羨望を込めてその姿を見つめます。王妃はガブリエルに自分を置いて亡命するように(内心は留まってくれることを願いながら)言い、ガブリエルはためらいもなく同意します。

そして王妃はシドニーにこっそり頼みごとをするのです。シドニーはガブリエルの服を着て、ガブリエルと夫は使用人の服を着て、馬車でスイスに向かうのでした・・・。シドニーの思いは・・・。

 『ベルサイユのばら』からフランス革命に興味を持った私にとっては、実際のヴェルサイユの光景や、これまで読んだり観たりしたものとは違う角度から見た王妃を巡る人々やフランス革命の始まりの描かれ方が興味深く感じました。「いいえ、陛下。革命でございます。」の時のベルばらの世界を使用人がみつめていた映画、と言っても良さそうな感じです。ベルばらのポリニャック夫人は「お母さん」としての登場で、マリー・アントワネットにとっても、最初は母性を感じさせられる人として描かれていますし、実際ポリニャック夫人の方が6歳年上だったようですが、この映画のポリニャック夫人はとても若く感じます。ポリニャック夫人を演じるヴィルジニー・ルドワイヤンがダイアン・クルーガーと同い年だからでしょうか。

 原作の小説も評判が良いようですので、ぜひ読んでみたいと思っています。

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