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2013年1月27日 (日)

「組曲虐殺」大阪公演

先週、シアター・ドラマシティに井上ひさしさんの最後の戯曲となった「組曲虐殺」の再演を観に行ってきました。 小曽根真さん作曲・演奏の舞台効果抜群のピアノ曲と、すてきな歌がふんだんに使われた音楽劇です。

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劇場前のポスターです。

 前回関西公演も観に行きたかったのですが、日程が合わず断念。幸いNHKでの舞台放映があったのでそれを観て、それなりに感動して、次の機会を待っておりましたところ、幸い関西での再演があり、日程的にも都合がついて観に行けました。登場人物も初演と同じ皆さんで嬉しい

映像と比べるとやっぱり生は圧倒的な迫力です。ピアノ一台の音楽でも訴えてくるものは全然違います。すばらしい!

 「組曲虐殺」の主人公はプロレタリア作家の小林多喜二。ミュージカルスターの井上芳雄さんがさわやかに演じておられます。好青年です。ソロ・ナンバーは楽曲も素晴らしいし、井上さんの歌唱も素晴らしいと思いました。「伏字ソング」はとりわけ迫力がありますし、「信じて走れ」も胸を打ちます。登場人物はほかは5人だけ。多喜二の姉・チマ、弟思いの頼りがいのあるお姉さん役は高畑淳子さん。若い日苦界から救った恋人・瀧子に石原さとみさん。一途でかわいらしい。無産政党活動の同志・ふじ子は神野三鈴さん。モダンで凛とした感じ。特高刑事古橋と山本に山本龍二さんと山崎一さん。強面刑事と少し間抜けな部分とが自然に融合して演じられています。実際にはこんなお人よしの特高はいないだろうけど。みなさん、役にピッタリだ、と感じられましたし、井上さん以外の5人はミュージカル俳優という肩書きではないけれどみなさん歌はお上手で、とても満足しました。

 プロレタリア文学活動・無産政党の党員としての活動により、特高警察から惨たらしく拷問され虐殺された小林多喜二の話・・・となると暗い物語か、と思いがちですが、そこは井上ひさし流の諧謔がよく効いていて、なんだか喜劇っぽくて笑ったりにやりとしたりするシーンもたくさんあります。でも考えさせられることも深い。笑ったり歌やピアノに聞き惚れている間に、胸の中にはいろんな思いが湧いてきます。

 プロローグでは井上さん=多喜二以外の5人は多喜二の叔父のパン工場の工員として登場し、明るい曲「代用パン」のうたを歌います。明るい歌ではありますが、歌の中で少年・多喜二は「はてなはてな・・・」と首をかしげながら、貧しい人から安いパンまでも取り上げる社会の仕組みに気づこうとしています。

 エピローグの「胸の映写機」は涙なしには聞けません。圧倒的な感動のうちに舞台は終わります。何回かのアンコールの後は勿論スタンディング・オベーション。

原作戯曲やCDも買ってしまいました・・・。

どっちも感動しました。買って正解です。できたらDVDもほしいな。

 今回の観劇では、あらためて平和と自由、思想信条の自由の大切さ、資本主義が内包する問題などについて問題提起された思いです。多喜二のように真っすぐな青年が虐殺はもちろん、思想犯として捕えられるような社会は日本に再びやってきてほしくありません。

 多喜二についての評伝的創作では、三浦綾子の小説(多喜二の母セキの一人語りという方法で多喜二の生涯を描いている)『母』にも感動しました。オススメの小説です。

ところで、今回は団体扱いチケットを購入したのですが、私の席の一角はどうも観劇慣れしていない人が多かったらしく、劇場内は基本的に圏外のはずなのに、ケータイはバイブばかりか着信音も数回聞こえ、なかには上演中にケータイを開いて文字を読んでいると思われる人も・・・。この手の愚痴、このブログにも何度も書いてるんですけど~~、携帯電話の電源を落としたくなければ無音モードにするという方法もあるし、上演中にはバッグにしまったままにしておくということがなんでできないんでしょう?劇場マナーは開演前にしつこく広報しても良いんじゃないでしょうか?

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2013年1月20日 (日)

『ベルサイユのばら』宝塚歌劇展

月組の「ベルサイユのばら」を見たついでに、バウホールで開催されている標記の展覧会も覗いてきました。

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劇場ロビーでは歴代のベルばらポスターやマリー・アントワネット・フェルゼン・オスカル・アンドレなどの衣装やシャンシャンなどが展示されていてなかなか楽しい。ホール(劇場内)ではベルばら名場面集が上映されていて50分ほどの映像なので全部観ている時間はなかったのですが、ちゃんと役代わりの方々の姿も映っていて、ゆっくり見られたら楽しかっただろうな、と思います。バウホールに入るのは実はこれが初めて。傾斜が大きくて観やすそうな小劇場ですね。一度大劇場とのはしご観劇も経験してみたいなと思いました。ロビーには馬車に乗ってシャンシャンを持って記念撮影できる場所も設営されていましたよ。残り半月を切りましたが、大劇場に行かれた方はぜひお寄りになって損はしないと思います。

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月組「ベルサイユのばら」

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先日、宝塚大劇場へ月組公演「ベルサイユのばら オスカルとアンドレ編」を観に行ってまいりました。私、原作のまんが(劇画?)『ベルサイユのばら』は「週刊マーガレット」連載時からの愛読者(というと年齢ばれそうですが、当時の愛読者の中では若い方というよりはっきり子どもでした)なのですが、大劇場で生の「ベルサイユのばら」の舞台を見るのは初めてなのです。全ツに1回行ったことがあるだけで。なのでいつも以上にワクワクして出かけました。とある貸切公演での当日抽選席だったのですが、私、当日抽選席は数回経験があるんだけど、どういうわけか20番台の列の端ゾーンしか当たったことがないんです。まぁ2階席後方よりはましだと思うし、A席やB席じゃなくて良かったとは思うけれども、1~19列のセンター・サブセンターの方が20~25列端っこゾーンより席数が多いんだし、当選確率が高いと思うのに、なんでやろ~?普段は良い席に当たることはまずないのだから当日抽選の時ぐらいは~~と期待しているのにねぇ・・・。それはともあれ、初「大劇場での〝ベルばら″」は座席以外は舞台を堪能、宝塚の良さを満喫しました。男装の麗人に華やかなドレス、きらびやかな軍服・・・ベルばらは宝塚にぴったりの題材ですものね。

 月組は霧矢さんの退団公演以来なので龍真咲さんトップの公演も初めてです。すらっとした立ち姿が映える美しいオスカルでした。ストイックに悩む姿も似合っています。明日海りおさんのアンドレも美しくて、お二人とも劇画の中から抜けてきたようです。あれから40年近くもたつと人間の方が劇画の美しさに追いついてくるのかと思われるぐらい美しいお二人でした。まさにあの頃の少女たちが胸をときめかせた「オスカル様」という感じ・・・。なだけに、

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 プロローグは小公子と小公女たちによる「ベルサイユのばら」。それから愛希れいかさんが赤い豪奢な赤いドレスを着て「ばらベルサイユ」を歌い、貴族と貴婦人たちが華やかに踊るシーン。そして舞台の真ん中にオスカルとアンドレの大きなイラストが据えてあって、その後ろから純白の軍服のオスカル(龍真咲さん)とアンドレ(明日海りおさん)が出てきて「愛あればこそ」を歌い上げるシーン~~その後ジャルジェ家の庭での二人の出会いシーンになります。お姉さま方みんな可愛らしいですが、やはりお母さま役の花瀬みずかさんの美貌がすてきです。汝鳥さんのジャルジェ将軍はマンガよりも優しそう。子どもオスカルとアンドレから大人オスカルとアンドレに代わると、もうオスカルのフランス衛兵隊配属前夜。オスカルの華やかな宮廷生活は出てきませんし、マリー・アントワネットも出てきません(私はプロローグのエトワールの愛希れいかさんがマリーを模していると勝手に思っておりますが) 。説明的なセリフはあるものの、この先もすごい端折り具合です。これでは原作を知らない人たちにストーリーが把握できるのか?と心配も湧いてきます。原作大好きなだけに・・・。

 そして衛兵隊の訓練場。「♪俺たちゃまぬけな衛兵隊~」の歌がなくて、緊迫感が増していた気がします。星条海斗さんのアランは強そうでオスカルたちとはまた別のカリスマがあります。憎々しげなブイエ将軍を演じる越野リュウさんもカッコイイ。パリ市内のベルナール(美弥るりかさん)とロザリーたち。衛兵隊の家族たち、フェルゼンとの別れ、ベルサイユ宮殿のシーンなどが続いて第一幕の終わり。

 第2幕は衛兵隊たちの心を完全につかんだオスカルが、平民を敵とみなすブイエ将軍の命に逆らい、父から叱責されジェローデル(珠城りょうさん)との結婚を命じられるところから話が始まります。いろんなエピソードが小刻みに描かれて、いよいよ有名な「今宵一夜」の場面。う~ん、美形二人だから絵になります。

 蜂起した民衆に銃を向けることを拒否して、市民を守ることが衛兵隊本来の任務であるからと、革命に加わるオスカル。女性の身で男性に伍して軍で働き、素直な目で王侯貴族の贅沢と民衆の苦しみとを見つめることができたオスカルであるからこそできた思い切った判断、「神と剣」を名に負うオスカルの真骨頂であり、『ベルばら』最大の見せ場です。コミックでもすごく好きなシーン。舞台でも「ラ・マルセイエーズ」を想起させる音楽に乗せた群舞に引き付けられ、手に汗握るシーンです。アンドレへの銃撃とその死、続くオスカルの狂おしい叫びと雄々しくも再びバスチーユ攻撃に向かうオスカル、そして銃弾に倒れる姿に涙し、そしてバスティーユの陥落の白旗を見ながら息を引き取るオスカルにまた涙・・・。

 

 舞台は一転してファンタジックに一頭立てのガラスの馬車が宙乗りで、天上よりアンドレがオスカルを迎えに来るという場面。空飛ぶ「愛あればこそ」です。すご~~い!

 フィナーレ・・・これがタカラヅカらしいところなんだとは思うけれど・・・もう少し短くして本編の物語を長く(わかりやすく)したり・・・という選択の余地はないのかな?まぁ、いきなりロケットだのパレードだの・・というわけにはいかないんでしょうけど。

 とはいえ、総じて大満足です。ちょっとトップ娘役さんの存在(ロザリー)が気の毒な演目ではありますけどね。

 

残念だったのは、何度かケータイの着信音やバイブ音が響いていたこと。貸切だけに観劇慣れしていない人も多かったんでしょうか?タカラヅカも四季ぐらいしつこく注意して回った方が良いのでは?

 

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劇団四季「ライオンキング」@大阪

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やっとお正月に観に行ってきました。大阪四季劇場の「ライオンキング」です。写真は大丸梅田店側歩道橋から撮った大阪四季劇場の概観。開演前に大丸によることはめったにないので、私にしては珍しい角度の写真です。

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ハービスエントの地下エントランスもお正月バージョンです。

 前回の「ライオンキング」大阪公演の時は末っ子がまだ小さかったので、よう連れてきませんでした。MBS劇場は今の四季劇場よりわが家から行きにくいでしたし・・・。で、その後名古屋公演を一回見たきり。名古屋公演は名古屋公演で、名古屋弁のおもしろさもあり良かったんですけど、何しろもう8年近く前のことです・・・。すっかり忘れてしまいました。当時のプログラムを引っ張り出し、ちょっぴりなつかしさに浸りました。キャストを確かめてみましたが、いろいろとPhoto時の流れを感じます。下の方に今回のキャストと2005年夏の名古屋のキャスト、表にして貼り付けました。エドの役は同じ方でした!時を経ても同じ人が出ているのに微笑ましいような気がしたり、ラフィキだった人がアンサンブルで出ているのは、今回はアンダーということなのかな?と思ったり・・・写真は2005年の名古屋のプログラムとその時かったシンバ人形、そして今回のプログラムです。

 さて今回、初観劇が開幕から間が開いてしまったのは娘二人の予定が立たなかったから。学校も部活も仕事もお休みなのは3が日ぐらいですからね・・・。私だけフライングをしようにもチケットが取れない状態でしたし。すごい人気ですよね・・・。でもなんぼ人気やからって、チケット発売のスパンが早すぎて先過ぎる。今回の観劇に大満足だったので、また観たいと思っているのですが、近いうちの公演は席が埋まってるし、1年近くも先の予定なんて組めないし・・・。いつのチケットをどう手に入れたらいいのか、悩ましいです。

 とりあえず感想。娘その1はライオンキングを見るのが初めてだったので、通路を歩いて動物たちが入場するのにまず感激。2回目の私と娘その2もやっぱり心が弾みました。名古屋でも今回も下手(プライドロックのある方)の席を取ったので、ゾウが大きいな、ヤングナラの仔象とか可愛いな、などと思いながら見ていましたが、上手側を通っている動物たちは見ていなかったので、今度は上手側の席を取ってみようかな、とも思っています・・・。影絵や人形など舞台に様々な趣向と仕掛けがあふれていて、動物たちを見ているだけで気分が浮き立ちます。動物のみならず植物たちも動くのがすごいですよね。六甲おろしが挿入されるなどの遊び心も効いています。雌ライオンの涙・・・は1回め見た時にワタシ的にはイマイチだったのですが、2回目見てもやっぱり違和感。ムファサの死を悼む気持ちがひっこんでしまうような気がして、涙はない方がよいのではと疑問は深まるばかり・・・。娘もあれは笑うべきところなのか?と思ったようです。で、話し合った結果(?)、あれは、2度目の涙の後、スカーへの怒りで決然と涙をむしり取る、あの覚悟を表すために必要だったのではないか、ということです。いや、本当に、ジュリー・テイモアさんにあの涙の演出意図を伺ってみたいです。

 ラフィキは茜りなさん。歌うま~い、声キレイ、しぐさサルっぽくて楽しめる~。ムファサは深水彰彦さん。渋くてええ声、威厳ある。スカーは下村さん。キャスト表を見て喜んでしまいました。娘たちはスカーが大好きなようです。退団されてからも結構四季の舞台に出ておられるようですね。思えば京都劇場で観たヘロデ王もミロも退団後だったんですよね。どの役も「当たり役」としてこなしてしまわれる役者さんだな、と思います。ティモンの韓さんとプンバァの荒木さんには大いに笑わせていただきました。滑稽な役だから当然なのかもしれませんが、でもやっぱり楽しい役をいかにより楽しく魅力的に見せるかを日々研究しておられるんじゃないかなぁと思います。関西弁ネイティブの二人の大阪弁は面白くて大受け!四季の会の会誌「ラ・アルプ」の2013年1月号に大阪ライオンキングの「関西弁台本検討委員会」の記事が出ていたのですが、いろんな工夫が生かされているなぁと感じました。田中彰孝さんはシンバでのご出演が多いせいか、大阪や京都での公演には来ておられなかったのでしょうか?今回初めて拝見したような気がします。元気溌剌でした。緑色でない江畑さんを拝見したのも初めてのような・・・。パワフルな歌声が魅力なので、もっとナラのソロナンバーがあったらいいのにと思ってしまいました。シャドーランドに泣かされました。いいナンバーだなぁ・・・。シャドーランドといえば、サラビの大和貴恵さんも美人で歌がうまくてすてきでした。彼女のソロナンバーももっと欲しい。っていうかアムネリスもステキだったし、大和さんがヒロイン(または歌がたくさんある主要な役)のミュージカルも観てみたいと思っています。霧矢大夢さんのお姉さんの井藤さんが出られるというので目を凝らしたのですが…どの方かはわかりませんでした。残念。
 休憩時間中と終演後、私たちの後ろに座った女の子たちがヤングシンバの男の子のことを「可愛い」「可愛い」と大騒ぎしていました。隣の席の人はアンサンブルの人が何の役をやっているかの票を持っていて、俳優さんたちを君付けでしゃべっているし、ライオンキングオタクさんかな?と思われる人をたくさん見てしまいました・・・。なんかすごい人たちだ・・・

ライオンキング (大阪四季劇場)
ラフィキ  茜 りな
ムファサ 深水彰彦
ザズ 岡崎克哉
スカー 下村尊則 
ヤングシンバ 原 光希
ヤングナラ 角西 環
シェンジ 小林英恵
バンザイ  池田英治
エド 小原哲夫
ティモン 韓 盛治
プンバァ 荒木 勝
シンバ 田中彰孝
ナラ 江畑晶慧
サラビ 大和貴恵
男性アンサンブル 女性アンサンブル
奥田直樹 海宝あかね
賀山祐介 松田佑子
熊谷 藍 時枝里好
梅津 亮 平田曜子
赤間清人 福井麻起子
長手慎介 芦澤瑞貴
天野陽一 阿部三咲
文永 傑 新保綾那
浜名正義 柴田厚子
田中宣宗 中村友香
鈴木智之 井藤湊香
塚下兼吾 齋藤 舞
永田俊樹  
パーカッションⅠ 山下ジュン
パーカッションⅡ 西尾知子
ライオンキング (2005年夏の名古屋)
ラフィキ  平田曜子
ムファサ 田村雄一
ザズ 伊藤謙吉
スカー 渋谷智也
ヤングシンバ 近藤勇斗
ヤングナラ 森田真由
シェンジ 松本昌子
バンザイ  大塚道人
エド 小原哲夫
ティモン 羽根渕章洋
プンバァ 北村がく
シンバ 宇都宮直高
ナラ 黒木ますみ
サラビ 光川 愛
男性アンサンブル 女性アンサンブル
韓 盛治 北澤陽子
吉賀陶馬ワイス 合田友紀
松元 朋 小林英恵
田辺 容 原田真理
遠藤智彰 斎藤美穂
太田泰信 小川沙登子
宮澤良輔 李 京禧
中村茂昭 畑 裕子
染矢 裕 岩渕夏子
廣野圭亮 加藤裕美
持丸伸孝 鈴木美帆
品川芳晃 小松陽子
三好哲哉  
パーカッションⅠ 加瀬田聡
パーカッションⅡ 村瀬裕也

私、旧バージョンのCDしか持ってないんだけど、やっぱり新バージョンのCDも買うべき?

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2013年1月 6日 (日)

映画「レ・ミゼラブル」

昨年末、映画の「レ・ミゼラブル」を観てきました。原作も好きだし(完訳版を読んだのは20年以上前だけれど)、舞台も好き(生で観たのは1度だけですが・・・、25数年記念コンサートの映像は何度も観てるんだけど・・・。CDも何度も聞いてるんだけど・・・、関西公演がしばらくなかったですよね)なので、ずっと楽しみにしていました。

↑ムック本(日経エンタテインメント!  ミュージカル映画バイブル (日経BPムック) )も買って予習して、以前一緒に舞台版を観に行った次女の帰省を待って、期待満々で一緒に観に行きました。もちろん期待は裏切られませんでした。すばらしい歌声と迫力ある映像、そしておなじみの感動的な楽曲にストーリー、大感動でした。

 映画バージョンで気になるのはやはり「歌」がどうか、舞台版との楽曲の入れ替え等での違和感がないか…などの心配ですが、この映画ではそういう問題点は一切なかったように思います。主役のヒュー・ジャックマンは、もちろん言わずと知れた映画スターですが、実はミュージカル俳優としてのキャリアも豊富だということを今回初めて知りました。時に力強く、時に温かく、時に切ない歌声ですばらしいジャン・バルジャンでした。ジャベール役のラッセル・クロウもミュージカル出演経験ありで、ロックシンガーとしての一面もあるそうです。ほかの出演者もミュージカル経験豊富な人ばかりのようです。ちなみにファンテーヌ役のアン・ハサウェイのお母さんもファンテーヌ役で舞台に立ったことがあるそうですよ。
 スターのキャスティング優先で歌は吹き替えというような不自然なことは一切ないばかりか、この映画では画期的な撮影方法が取られているそうです。というのは普通、ミュージカル映画では歌の部分は先に録音しておいて、後から実際に演じるときは歌の部分は口パクなのだそうですが、この映画は実際に歌いながら撮影していったんだそうです。映画の公式ページなどで歌うシーンを撮影している動画が公開されています。俳優はイヤホンでピアノの音を聞きながら演技に合わせて会話するように歌っています。ささやくときはささやくように、後悔するときは後悔するように・・・。ほぼ全編歌で構成されているから従来のような形式で撮影されたら違和感があったかもしれませんね。そのせいで舞台版とは歌い方がずいぶん違うのではないかと思います。たとえばジャン・バルジャンが自分と間違われた男を救うために自首すべきか否か迷うところでも「Who am I? Who amI?」ときて「I'm Jean Valjean」の歌い方、映画ではつぶやくような歌い方になっています。映画のための新曲「Suddenly」は、ジャン・バルジャンがリトル・コゼットを保護して逃走する馬車の中で歌うのですが、これも名曲です。私はこの曲(だけでもないけど)をもう一度聞きたいがためにサントラを買いました。

 表現の限られる舞台と違って映画では、映像の力も大きく影響しますよね。冒頭のツーロンの徒刑場での重労働シーン、舞台版では重い荷物を担いでいたような記憶がありますが(記憶違いだったらごめんなさい)、映画では荒ぶる波の中で、腰まで海に使って、座礁した船を引き揚げる大迫力の苛酷な作業でした。ジャン・バルジャンがジャベールに、踏みしだかれてしまった大マストの三色旗を取って来いと命ぜられる場面で、ジャン・バルジャンの怪力があらわされています。またこの踏みしだかれた三色旗により、自由・平等・博愛のフランス革命の理想が地に落ち、庶民たちが飢えと貧困に苦しんでいる実態が象徴されているようにも思えました。
 ファンテーヌの髪は本当に切られています。アン・ハサウェイは可憐な娘のような工員姿から心身ともに傷つきやせ細って歌う「夢破れて I Dreamed a Dream」、そしてファンテーヌの死までまさに「体当たり」といった感じの演技。工場のシーンから死の直前のシーンまで切なくなる辛い境遇が暗い波止場近くの猥雑な光景であらわされています。幼いコゼットはあの有名な挿絵に本当によく似ています。「Castle on a Cloud」は可愛くも美しい声。テナルディエ夫妻の「The Innkeeper's Song」は、夫妻の強欲ぶり、酷薄さをよく表した映像がついています。ネズミの肉やらなにやらわけのわからないものが入ったあやしいソーセージが作られていく過程も。サシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム=カーターと芸達者ぶりが見事。そのあまりの悪辣さには笑っていいのやら、どうなのやら・・・。しかしヘレナ・ボナム=カーターとあのソーセージ(ひき肉器)を見ると、どうしても、「スウィーニー・トッド」を思い出してしまいますね。バスティーユ広場にはちゃんとガブローシュの住まう象もあります。決起した学生たちがバリケードを作るシーンは窓窓から家財道具等が投げられて圧巻です。学生たちと軍隊の衝突するシーンは・・・当然のことかもしれませんがやはり流血の惨事がはっきり見えてしまって残酷です。

 とにかく、オススメの映画です。舞台版がお好きな人はもちろん、初めてこの物語に触れる人にも是非観てほしい。ただし、ミュージカル版を知らない方は、全編歌であることを承知の上で、つまり、歌の部分が冗長だなどという文句は封印して楽曲も物語も楽しんで、感動してほしいです。

で、感動した方はさらに、原作をぜひ読んでください。新訳も抄訳も出ています。完訳バージョンは著者ユゴーの本編の筋にはあまり関係のないナポレオン礼賛部分などはちょっと読むのが面倒かもしれません。その辺は適当に飛ばし読みしても大丈夫です。原作はすでに読了した、という方には「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)がおすすめです。

歌が気に入った!と思われる向きには、こちらのコンサートバージョンのブルーレイももおすすめです。エポニーヌは今回の映画版と同じくサマンサ・バークスが演じています。若いけどすばらしい歌唱力ですよね。

 

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