« 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」 | トップページ | 映画「天地明察」 »

2012年9月30日 (日)

「最強のふたり」

「最強のふたり」・・・これも約1ヶ月前に「ぼくたちのムッシュ・ラザール」と同じ日に観ました。(その日はフランス語続きだったわけですね・・・。「オ ルヴォア」「 ボン・ニュイ」程度のことばでも聞き取れると結構嬉しかったりして) こんなに長い間上映しているとは思わなかったので、公開当日にあわてて観に行ったんです。ヒットしているようですね。上映館が少ないのがもったいないです。もっといろんなところでやったらヒットチャートにも上がってくるのでは?ハリウッド大作に負けないエンターテインメント性を持った映画だと思います。「首から下がマヒした男性とスラム出身の男性の交流を描いているのですが、お涙ちょうだい的な描写は毛筋もありません。原作はノンフィクションと言いますから驚きです。

 映画は夜中にフィリップから呼び出されたドリスが、ものすごいスピードで車をとばすところから始まります。当然警察に捕まりそうになりますが、ドリスは逆切れ。フィリップが死にそうなのだと。フィリップは具合の悪い演技をしてついには警官に(行く予定のない)病院に伴走してもらうことに・・・。(これは最後の方で描かれるエピソードにつながっています)
 話は時をさかのぼり、ドリスとフィリップの初対面のシーンに。パラグライダーの事故で首から下がマヒした大富豪フィリップの介助者の面接のシーンです。豪邸での面接待ちの間、その場にふさわしくない服装で落ち着きなく動き回り、宝飾品のイースターエッグが並んでいるのから一つポケットに滑り込ました黒人の青年がいました。彼はスラム街に住むチンピラで、ここで採用される気はなく、「職探しをしている」証明をもらって失業保険を手にするためにここに来ていたのでした。
 介護の資格や経験を持っているほかのたくさんの応募者よりも、自分と住む世界の違う、口のききようも振る舞いも粗暴なドリスに興味を持ったフィリップは彼を採用します。「障害」を持つ自分を特別扱いしないドリスを気に入ったのでしょう。バスルーム付きの豪華な寝室をあてがわれたドリスははしゃいでしまいます。翌朝から、介護の仕方を教えられるドリス。失敗や、摘便など思いもかけない仕事を拒否しようとするところなどがコメディタッチで描かれます。体が大きくて、元気で明るい彼は、介護者としての適性があったのかもしれません。
 クラシックが大好きなフィリップ(一家)に対して、ドリスが自分の趣味の音楽もを強引に紹介するところも見物です。前衛芸術の絵画の値段を知ったドリスが、急に絵を描き始めるところ、そしてその絵をフィリップが親戚に高額で売りつけるところも面白い。車いすの改造を依頼して高速で押せるようにしたり、フィリップを雪の中に連れ出して雪合戦をしたり、ドリスのやり方はフィリップの生活にこれまでありえないものだったのでしょうが、観ている私も可笑しいけどハラハラする感じ。
 ドリスの言動が普通ならハンディキャップを持った相手に対して言わないことば、行わないことの連続で気をもんでしまいます。でも、そこで気をもんでしまう気持ちの方が「バリア」なのかもしれません。ドリスのフィリップへの対し方は、まっすぐで、女性の話などもあけすけ。身体的な差異や階級の違いを蹴飛ばすようなドリスの振る舞いが、フィリップの毎日の生活や気持ちを明るくしてくれるものだったのでしょう。フィリップにとって、最初はちょっとした刺激を求めただけなのかもしれませんが、スパイス以上の友情が育ち、ドリスの言動も次第に洗練されていきます。

 映画館の中では何度も何度も笑い声があがっていました。楽しく観て、じ~んと来る映画です。  

 ドリスのモデルになった人は実業家として活躍しているそうです。富豪の気まぐれのような採用は、一人の青年とその家族の更生にもつながったのですね。

↓原作のノンフィクションです。(日本語版)

A Second Wind

↓英語版

↓フランス語版

|

« 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」 | トップページ | 映画「天地明察」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「最強のふたり」:

« 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」 | トップページ | 映画「天地明察」 »