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2012年9月30日 (日)

「最強のふたり」

「最強のふたり」・・・これも約1ヶ月前に「ぼくたちのムッシュ・ラザール」と同じ日に観ました。(その日はフランス語続きだったわけですね・・・。「オ ルヴォア」「 ボン・ニュイ」程度のことばでも聞き取れると結構嬉しかったりして) こんなに長い間上映しているとは思わなかったので、公開当日にあわてて観に行ったんです。ヒットしているようですね。上映館が少ないのがもったいないです。もっといろんなところでやったらヒットチャートにも上がってくるのでは?ハリウッド大作に負けないエンターテインメント性を持った映画だと思います。「首から下がマヒした男性とスラム出身の男性の交流を描いているのですが、お涙ちょうだい的な描写は毛筋もありません。原作はノンフィクションと言いますから驚きです。

 映画は夜中にフィリップから呼び出されたドリスが、ものすごいスピードで車をとばすところから始まります。当然警察に捕まりそうになりますが、ドリスは逆切れ。フィリップが死にそうなのだと。フィリップは具合の悪い演技をしてついには警官に(行く予定のない)病院に伴走してもらうことに・・・。(これは最後の方で描かれるエピソードにつながっています)
 話は時をさかのぼり、ドリスとフィリップの初対面のシーンに。パラグライダーの事故で首から下がマヒした大富豪フィリップの介助者の面接のシーンです。豪邸での面接待ちの間、その場にふさわしくない服装で落ち着きなく動き回り、宝飾品のイースターエッグが並んでいるのから一つポケットに滑り込ました黒人の青年がいました。彼はスラム街に住むチンピラで、ここで採用される気はなく、「職探しをしている」証明をもらって失業保険を手にするためにここに来ていたのでした。
 介護の資格や経験を持っているほかのたくさんの応募者よりも、自分と住む世界の違う、口のききようも振る舞いも粗暴なドリスに興味を持ったフィリップは彼を採用します。「障害」を持つ自分を特別扱いしないドリスを気に入ったのでしょう。バスルーム付きの豪華な寝室をあてがわれたドリスははしゃいでしまいます。翌朝から、介護の仕方を教えられるドリス。失敗や、摘便など思いもかけない仕事を拒否しようとするところなどがコメディタッチで描かれます。体が大きくて、元気で明るい彼は、介護者としての適性があったのかもしれません。
 クラシックが大好きなフィリップ(一家)に対して、ドリスが自分の趣味の音楽もを強引に紹介するところも見物です。前衛芸術の絵画の値段を知ったドリスが、急に絵を描き始めるところ、そしてその絵をフィリップが親戚に高額で売りつけるところも面白い。車いすの改造を依頼して高速で押せるようにしたり、フィリップを雪の中に連れ出して雪合戦をしたり、ドリスのやり方はフィリップの生活にこれまでありえないものだったのでしょうが、観ている私も可笑しいけどハラハラする感じ。
 ドリスの言動が普通ならハンディキャップを持った相手に対して言わないことば、行わないことの連続で気をもんでしまいます。でも、そこで気をもんでしまう気持ちの方が「バリア」なのかもしれません。ドリスのフィリップへの対し方は、まっすぐで、女性の話などもあけすけ。身体的な差異や階級の違いを蹴飛ばすようなドリスの振る舞いが、フィリップの毎日の生活や気持ちを明るくしてくれるものだったのでしょう。フィリップにとって、最初はちょっとした刺激を求めただけなのかもしれませんが、スパイス以上の友情が育ち、ドリスの言動も次第に洗練されていきます。

 映画館の中では何度も何度も笑い声があがっていました。楽しく観て、じ~んと来る映画です。  

 ドリスのモデルになった人は実業家として活躍しているそうです。富豪の気まぐれのような採用は、一人の青年とその家族の更生にもつながったのですね。

↓原作のノンフィクションです。(日本語版)

A Second Wind

↓英語版

↓フランス語版

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「ぼくたちのムッシュ・ラザール」

「ぼくたちのムッシュ・ラザール」

観に行ってから、1か月たってしまいましたが・・・。

  舞台はモントリオールの小学校。というわけでカナダの映画ですけど舞台がケベック州なのでフランス語です。
 雪の日の朝、校庭で遊んでいる子どもたちの中で、牛乳当番のシモンは早めに教室に行きますが、そこで衝撃的な光景を目にします。担任のマルティーヌ先生が首を吊って死んでいたのです。すぐに子どもたちは遠ざけられますが、シモンの同級のアリスも教室を覗いてしまいます。
 子どもたちのメンタルケアのためでしょうか、教室は改装されましたが、代わりの教師は見つかりません。そこへくたびれた様子の中年男性が校長の所にやってきます。アルジェリア出身のバシール・ラザール。校長面接のあと採用されたラザール先生は、用いる教材や教え方こそ古臭いものの、すぐに子どもたちと打ち解け、慕われるようになります。同僚たちとも仲良くなり、いまだ心の傷を抱える子供たちのために、力を尽くそうとするラザールですが、学校の姿勢とは相いれません。しつけではなく勉強を教えてほしいと苦情を言う保護者もあります。
 ラザール自身も大きな問題と秘密を抱えていました。アルジェリアからの政治難民として、移民局の審査を受けている最中だったのです。アルジェリアで教師をしていたのはバシール・ラザールの妻の方でした。反政府的発言をしたために脅迫を受け、バシール・ラザールは妻子を後で呼び寄せる地歩を築くため一足先に出国したのです。そして後から出国するはずだった妻子はその出国の前日、命を失ってしまったのです・・・。

 ドラマチックな題材を扱っている割には、淡々と話が進んでいきます。ど~っと感動が押し寄せるというより、じわじわ~っと胸に響く映画でした。

 そして単純な疑問が。カナダでは教員免許状という制度はないのでしょうか?免許状の確認という手続きも?

 

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2012年9月27日 (木)

京都劇場はどうなるのかな?

 劇団四季のHPを見たら、「劇団四季の『京都劇場』での公演活動について」という記事があがっていました。

 いつも公演している状態ではなく、「上演可能な」時に公演するようになる・・・とのこと。

 なんかすごく残念なんだけど・・・。いつも東京でのたくさんの演目を見ては関西では見れないのかなぁ・・・とうらやましくに思っていたのが、ますます見られない演目が増えることになるのね・・・。

 とてもアクセス便利な劇場だし、いろいろな作品を楽しんだ劇場。別に「間断なく」やってほしいとも思っていないけど、どのぐらいのスパンで公演があるんだろうって気になります。劇場が閉まっていることの方が多いようでは淋しすぎる・・・。京都劇場の周辺飲食店にとっても痛手じゃないのかしら?以前に「手塚治虫ワールド」が縮小ののち閉鎖された時も、ぴあがなくなったときも、どんどんさびしくなっちゃった感じがしたし・・・。劇場もしまってたら駅ビルの東側エリアには足を向けなくなるなぁ・・・。

 それとも、劇団四季以外の公演があったりするのかな?

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2012年9月24日 (月)

宙組公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」

昨日、半年ぶりに宝塚大劇場へ。「スペース・ファンタジー『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』」を観てきました。

Takarazuka


大劇場入り口に『掲示されているポスターです。

 宙組はなぜか日程と演目の好みとが合わず、2002年の「『鳳凰伝』-カラフとトゥーランドット-」以来10年ぶりの観劇になります。なので、近年宙組へ移動されたスターさん以外は知らない方ばかりでした。まぁ、どの組も年に1~2度行けばよい方なので、いずれにしても知らない方の方が多いのですが。

 1幕が始まる直前、舞台の紗幕に「スペース・ファンタジー銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』」の文字が映し出されました。そればかりでなく、1階席前方の天井まで宇宙を思わせる映像が投影され、これから宇宙を舞台にした壮大な演目が始まるのだと予感させられました。客席ではカメラ・ケータイを構える姿がたくさん。どんなシーンから始まるのかワクワクします。

 舞台は一口でいえば、映像を駆使した演出のなかで、美しい軍服を着た眉目良い男役スターさんたちが闊歩している・・・という印象です。『銀河帝国』対『自由惑星同盟』の大きな宇宙戦でたくさんの犠牲者が出る話なので、死屍累々のはずなのですが、宝塚ではもちろんそんな凄まじい描かれ方はされていません。二つの国(星域?)、あるいは同じ国の中での勢力争いが映像(一昔、いやふた昔以上前のTVゲームみたい)やダンスやセリフなどで描かれていきます。

Le Cinq (ル・サンク) 2012年 10月号 [雑誌]

 娘役さんたちの美しさを発揮できるところがあまりなくて、恋愛的要素もほとんどありませんので、普通のタカラヅカファンの方には物足りないかもしれませんね。自由惑星同盟軍には女性兵士もいましたけど、同じカーキ色の軍服ですから、女性が華やかなところは少ない舞台です。お披露目公演としては娘役トップさんが少し気の毒かな?とは思いました。

 物語も、原作の本の始めの方だけのようで、ずいぶんあっけなく終わってしまいました。最初の方だけでもいろんなエピソードが飛んでいるんでしょうね。1本ものなのにずいぶん短く感じました。あと、耳に残って響いている歌がなかったのはちょっと残念。

 とはいえ、1本ものでしっかりとした原作があるものの方が好きな私としては、この公演も十分楽しめましたし、好きな部類です。ただ、物語的に満足するためにはオペラの「ニーベルングの指環」ばりに4日連続公演とかでないと難しい原作の長さなのかもしれません。

 スターさんたちはみなすてきでした。宙組の方々はタッパがあると聞いていましたが、宝塚でも背の高さは大きな武器というか魅力ですね。

 ラインハルト・フォン・ローエングラム役の凰稀かなめさん。すごい!としか言いようのないアイシャドウというかアイメイク。キラキラです。金髪の鬘がよく似合っておられて、美形の名をほしいままにしているという感じ。白・黒・紺・臙脂の軍服を着ていらっしゃいますが、やはり城が一番お似合いでしょうか。紺地に赤い裏地のマントもなかなかすてきでしたが。星組にいらっしゃった時より演技も歌もお上手になられてトップさんとしての貫録が身についていらっしゃると思いました。キルヒアイスが死んだときもっと嘆いてほしかったんだけど・・・駆け足のストーリー運びでは無理だったのかな?・・・ フィナーレの大羽を背負った挨拶の時、ナイアガラ状のフェザーが頭にかぶさるほど勢いよく腰をかがめるパフォーマンスがとてもウケていました。重いのにすご~いと思いました。
 ヒルデガルド役の実咲凛音さん。娘さん役ながら軍服がきりりとしていてお似合いでした。「復活」のミッシーも可憐でかわいかったっけど、それからこの作品の冒頭のドレス姿も可愛かったけど、凛とした役の方が似合う人なのかも、と感じました。
 ヤン・ウェンリー役の緒月遠麻さん。雪組では「大きい人」の印象でしたが、宙組では「大きい」印象は持ちませんでしたね。。ヤンのまじめだけど飄々とした様子がぴったりでした。エトワールでしたが歌は上手だと思った。ヤンにくっついているユリアンくんの伶美うららさん、娘役さんでしたか。少年そのものでかわいかった。
 オーベルシュタインの悠未ひろさん。背がスラーッと高くてとても見栄えがしましたし、歌も演技もmarvellous!これまで存じ上げなくてすみませんと言う感じです。腹に一物ありげな様子がすごい。歌がすごく良かったので、もっと歌い上げるシーンをたくさん作ってほしかった。
 キルヒアイス役の朝夏まなとさん、花組の頃はこれと言って印象がないのですが、この役は良かったです。一途にアンネローゼとラインハルトを慕っている様子を好演されていました。死に際に1曲あっても良かったのでは?という気もしますが。
 皇帝役の寿つかささん。さすが組長さんの演技力と思いました。若くてかっこいい皇帝なので、アンネローゼは十分幸せなのでは?という疑問を持ってしまわないではなかったのですが・・・。
 ロイエンタール役の蓮水ゆうやさんもミッターマイヤー役の七海ひろきさんもそれぞれ魅力たっぷりでした。

 あぁ、もう一回観に行きたい。でもそれがかなわないんですよね~。残念!10年ぶりに宙組を観て、これからももう少し頻々と観に行こうと思いました。とにかくカッコよかったし、タカラヅカの男役を魅力的に見せられる演目だと思いました。

 ところで・・・今回の演目心なしか中年男性の・・・ちょっとオタク入ったような感じの方が何人もいらっしゃるような気がするんですけど、気のせい?20年来の銀英伝ファンの方がいらしてるのかな?

 今回の演目は20年あまり前に一世を風靡して、いつか読んでみたいと思っていた(同著者の中国物は好きで何作か読んでいました)SFなので、演目が発表された時から絶対観に行こうと決めていました。予習のために今度こそ原作を読むぞ!『と思ったら、近くの図書館にはトクマノベルズ版しかなく、2段組みの細かい字に挫折して、コミック版を買って読みました。でもコミック版も最後までは描かれてないし、たぶん原作小説よりはいろいろ割愛されているんでしょうね。舞台のように。・・・今回、この舞台を見てやっぱり原作も読みたくなりましたよ・・・。そして、もっとこの作品について(原作も舞台も)胸を張って語りたいと思ってしまった。

銀河英雄伝説 1  (トクマコミックス)

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2012年9月18日 (火)

ミュージカル「エリザベート」その2

 昨日「エリザベート」についての記事を書いたとき、ストーリー等はおなじみのものなのであえて触れませんでした。でも、どうしても気になるというか演出に疑問が残る部分があります。ルドルフがオーストリアの将来を案じている頃、民衆のデモの描写でナチス式行進を模したような様子や、鉤十字:ハーケンクロイツの旗が用いられていましたが、あの演出は今回からのものなのでしょうか?それとも以前からのもの(覚えないなぁ)? オリジナルではどうなっているんでしょう?いずれナチスに侵略される日が来るのは確かですが、この時代に親ドイツ主義や反ユダヤ主義のシンボルとしてハーケンクロイツを使用するのはあまりにも時代を無視しすぎで無理があるのではないでしょうか?マイヤーリンクでのルドルフの自死が1889年。この年にヒトラーは生まれていますから、まだナチスのナの字もありません。ドイツ帝国の時代です。ちなみに第一次世界大戦が1914年・・・。

 ところで、上記についておかしいなと思いつつプログラム69pのハプスブルク帝国年表を眺めていたら、1859年にソルフェリーノの戦いのことが載っていて、思わず「ソルフェリーノ ソルフェリーノ ソルフェリーノの夜明けが 十字を赤く染める」と、歌ってしまいました。(わからない方、すみません。宝塚雪組の2010年の公演「ソルフェリーノの夜明け」の主題歌です。この戦いを経験したアンリ・デュナンの思いが後に国際赤十字の創設につながったんですよね)

 こうして年表を見ていると、いろんな劇や映画や小説で描かれている歴史がつながって行って興味深いです。そういえば一昨日観に行った映画「コッホ先生と僕らの革命」で描かれていたのは1874年のドイツ。まさに「エリザベート」と同時代です。でもこの映画と比べると「エリザベート」はいかにも大時代的に感じてしまいます・・・。貴族社会とブルジョア社会の違いでしょうか?オーストリアとドイツの違い?「コッホ先生と僕らの革命」についてはまた日を改めて。

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ミュージカル「エリザベート」

 梅田芸術劇場にウィーン ミュージカル「エリザベート」を観に行ってきました。久しぶりのエリザベートです。前回2010年の公演は関西公演がなかったので、2009年1月以来です。

Photo

今回はキャストスケジュールを見ながらどの組み合わせがいいか悩みました。どのトートも魅力的ですし、瀬奈さんも春野さんも宝塚時代好きでしたから。何度も観にいくほどの財力と時間がないのが悲しいです。全部観ちゃえる方もたくさんいらっしゃるのでしょうね。

 Photo_2


ともかくも、今日のキャストの組み合わせは左の写真のとおりです。春野寿美礼さんマテ・カマラスさんコンビで観ました。文字のキャスト表だけでなく、劇場入り口には「TODAY’S CAST」の写真も出ていました。私はこんなの初めてで、毎回写真を入れ替えるなんてPhoto_3スタッフさんは大変だろうけれど、ゴージャスな感じがして入り口から楽しさが増しました。

 今日は歌にイライラさせられることもなく、どのキャストの歌も、コーラスも満足でした。

 春野寿美礼さん、さすがにタイトルロール!歌にも聞き惚れました。子どものときは可愛く、長じてはキリリとしたエリザベートでした。実は、春野さんの宝塚退団後の舞台は「マルグリット」しか観ていなく、したたかに見えて実はか弱いマルグリット役が、男役トップだった頃の春野さんのイメージとかけ離れていてガックリ来ていたのですが、エリザベートははまり役だったと思います。「私だけに」すばらしかったです。やはり男役トップスターの退団後の役は、凛としたところのある役どころでないと、すごく残念。マルグリットは春野さん(だけでなく、男役トップの退団後初めての役として)には合っていなかったと改めて思いました。

 マテさんは情熱的なトートを自家薬籠中の物にしておられるから、母語じゃない歌でもセリフでも演技でも堂々としておられました。多少の訛りはあるけれど、全く気になりません。「MITSUKO」のハインリッヒのあたたかさとはまた違う、熱いトートのすてきな歌声にドキドキしました。「最後のダンス」「愛と死の輪舞曲」圧巻です。

 石川禅さんのフランツ・ヨーゼフはエリザベートに求婚する若き日から、年を経るごとに髭だけでなく声の調子まで変わっていくような気がしました。「夜のボート」、胸を打たれました。

 平方元基さんのルドルフは繊細で悩める青年のイメージにぴったりでした。「闇が広がる」のマテさんとの熱唱もすごく良かった。

 子ども時代のルドルフの鈴木知憲くんも大人に交じって役者として引けを取りません。とても上手です。

 総じて大満足の公演でした。できれば何度も観に行きたい。特に瀬奈さんのシシィと石丸さんのトートが観たい・・・のに、な。

↓2010年公演の時に出版された楽譜です。

ピアノ弾き語り 東宝ミュージカル エリザベート

ミュージカルを原作とした

まんがと

 小説バージョン↓

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2012年9月16日 (日)

「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

 先週、公開初日のレイトショーで「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」・・・を観に行ってきました。人気ですね。田舎の映画館で、レイトショーはわりに空いていることが多いのに、子どもまでいていっぱいでした。

 まずは、どういうわけか夫婦でから揚げ屋をやっている風情の青島刑事とすみれさんの、イキのいい掛け合いで映画が始まります。むむっ??と思って観ていたら、店員に和久君。実は潜入捜査でした・・・毎作毎作楽しくて嬉しくなっちゃうツカミで、バッチリ作品世界に引き込まれます。しかも後でわかるのですが、商店街の角地の店1軒借り切ってのこの潜入調査、経費がかかって、会計課からクレームをつけられそうになるのですが、計算してみたら売り上げが経費を上回っていたという、いかにも青島らしいエピソード。大きな事件の捜査でミステリ的に楽しませてくれ、警察組織・警察官僚対末端の(現場の)刑事・警官とか「本店」対所轄という社会的なテーマで楽しませてくれ、ちょっとしたくすぐりで楽しませてくれ、お約束のような登場人物たちのエピソードで楽しませてくれて、映画を観ていて集中力が欠ける瞬間が一度もありませんでした。シリーズが終わっちゃうのが本当に残念。香取慎吾さんの役はいつもとイメージが違って、あの役者さんだれだっけ?と一瞬わからない感じでした。

(ちょっぴりネタバレですから・・・)

 経糸となるストーリー自体はちょっと暗い感じ。警官が起こした犯罪。小池茂(小泉孝太郎)、鳥飼誠(小栗旬)たちの意外な言動、相変わらずの警察庁幹部。青島も室井も退職勧告されてしまうし、真下の子どもは誘拐される・・・。そこへ、元署長らスリーアミーゴスが茶々を入れてきたり、王刑事の失敗があったり、で笑わせられ、栗山刑事の成長があったりしつつ、随所に伏線も隠れています。そこへ雪乃さん(水野美紀)、沖田管理官(真矢みき)、新城管理官(筧利夫)らの懐かしい顔も現れます。警察官僚の部屋には、横山「警察行政人事院情報技術執行官」(大杉漣)というなぞの存在が・・・。映画の終盤の横山の裁断には溜飲が下がった人も多いはず。

 さて、同僚以上恋人未満と言われる青島とすみれさんとの間柄も一定の進展をみるような映画評を読んでいたのですが、結局どうなったんだろう・・・。決定的なシーンはなかった気がする。湾岸署の屋上のシーンとか、殺人犯と青島・和久らが対峙して絶体絶命の時に、すみれさんが破天荒なやり方で救出に飛び込んでくるシーンのあと、青島がすみれさんをぎゅっと抱きしめるシーンなど・・・「ここでひとこと言ってほしい」ような、胸キュンなせりふは残念ながらなかったし・・・。エンドロールの時のワンシーンが、そうなのか?それともあれ(二人して白衣を着ている)は冒頭の潜入捜査のシーンなのか?いややっぱり、あの経験を活かして実際に???いまだに少女漫画が好きな私としては、最後チラリとでもウェディングドレス姿のすみれさんをみることができるのを期待していたのに・・・。事件の後遺症で体力に不安のある二人は結局退職してすみれさんの故郷へでも行ったのか?とかいうようなところはぼやかされているからこそ良いのだと言われるかもしれませんが・・・。スッキリふわふわ~~んと幸せな気分で終わりたかったなぁ。というのが唯一残念なところでしょうか。

とにかく理屈抜きで楽しめるエンタテインメント映画だと思います。遊びゴコロは映画本編中も満載ですが、パンフレットもなかなかです。Img009_2左の写真のように「機密書類在中」と書いた茶封筒に入っています。

8月末放映されたTVドラマ「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」とか、「深夜も踊る大捜査線final」とか、日産リーフとのコラボコマーシャルなども作られて、いずれも楽しみました。過去のスペシャル番組等も再放送してほしいな。

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2012年9月 9日 (日)

「トガニ」

 2週間ほど前に仕事仲間10名ほど(not同僚)と女子会をやったんですが、夏の間どんな映画を観たか・・・と言う話題になって「スパイダーマン」「アベンジャーズ」「ダークナイトライジング」「トータル・リコール」「プロメテウス」・・・と並べたら「ようそんなにしょーもないのばっかし観に行ったなぁ」とあきれられてしまいました。そう、この仲間内は文芸映画の方が好きだからねぇ・・・。たとえば「ジョルダーニ家の人々」を一日で全部観ちゃえる人たちだから・・・でも私はもともとSF小説は好きなわけだし、映画を観て重苦しい気分になるより、何も考えずにパ-っと発散できる楽しいハリウッド映画が好きなんだよ・・・

 でもやはり、まじめなテーマの映画の方が心に残るのはたしか。そんな風に後まで心に残るからこそ何本もはよう観ないなぁ、とも思います。この8月に(もう半月以上前だ)観た映画の中では韓国映画の「トガニ」がそういうタイプの映画ですね。「韓国の学校で起こった児童虐待に関する映画」という知識だけで観に行ったのですが。本当に衝撃的な映画でした。もう怖くて怖くて・・・。

 主役の先生を演じるコン・ユさんは韓流でとても人気のある俳優さんだそうですが、それも映画鑑賞後にネット情報で知って、どおりでいつもよりおばちゃん層が多かった気がすると思ったぐらいです。

 すご~く心残りなのは、この映画もエンドクレジットが出た後まで席を立たない方が良い映画だったこと。私は映画を観に行ったときは9割がたエンドロールも観て場内が明るくなってからでないと席を立たないのですが、映画の内容にあまりにも心が動転してしまって、ふらふらと外へさまよい出てしまいました。あとから別の日に行った友人に聞くと(上記の仕事仲間の一人ですが)、読んだらホッとするような字幕が流れていたとか・・・。つくづく残念です。まぁ、その内容については家に帰ってからネットで調べて、大体のところは分かったのですが。

story・・・ネタバレもあります

 コン・ユふんするカン・イノが、大学の教授の紹介で新任美術教師として霧津(ムジン)と言う郊外の街の聴覚障害児の学校に車で向かっているシーンから映画は始まります。見通しのきかない霧の中を走る車はこの先の映画のストーリーを象徴するようです。カン・イノの車が走るシーンと、男の子が線路に佇むシーンが交互に出てきます。線路には列車が迫ってきています。男の子は逃げようとしません。カン・イノは車を走らせます。男の子は列車にはねられ、同じ瞬間カン・イノは鹿をはねて、車の修理屋へ。

 車の修理屋では霧津人権センターの幹事、ソ・ユジン(チョン・ユミ)に追突され、言いがかりをつけられます。ここはちょっとソ・ユジンの描き方に不満があります。彼女の覇気を表したかったのかもしれませんが、酒気帯びで言いがかりをつける彼女が実は信頼のおける人間だというのは、いかがなもんでしょうか。

 さてカン・イノが赴任した学校には何か異様な雰囲気が漂っています。愛想は良いが、なにか一筋縄ではいかないような校長、教職提供の代償として多額の寄付金を要求する行政室長(校長と双子の兄弟。行政室長とは日本でいえば事務長かな?副校長はいないみたい)。子どもたちの表情も一様に暗い。なにかおどおどしている。カン・イノが帰ろうとすると女子トイレから叫び声が聞こえるので、声をかけ、中を検めようとしますが、警備員に止められます。後にカン・イノはその時中を検めなかったことを後悔することになります。

 リンゴの写生の授業をするカン・イノ。ヨンドゥ(女子)はとても上手。ユリ(女子)は写生用のリンゴを食べ始め(ユリは知的な遅れとの重複障害児)、ミンス(男子)は傷だらけになって遅刻して来ました。ミンスに遅刻の訳を聞いてもかたくなな表情をするだけです。ミンスはパク教諭から激しく執拗な暴力を受けていました。職員室でその暴行は繰り広げられていましたが、注意する教員は誰もいません。

 ある日カン・イノは寮の窓に腰掛けるユリを見かけ、危ないと注意するために寮へ入ります。ユリはなぜか怯えており、カン・イノがユリに導かれて入った洗濯室には、裁ちばさみと髪の毛が散乱、寄宿舎の責任者で校長の一族のユン・ジャエがヨンドゥの頭を洗濯機の中へ入れて押さえつけていました。憤然と制止したカン・イノに、ユン・ジャエは寄宿舎のことは自分の責任下だとうそぶきます。カン・イノはヨンドゥを病院に連れて行き、学校で虐待が行われているとソ・ユジンに連絡をします。ソ・ユジンが筆談でヨンドゥから聞き出したことはさらにおぞましい、繰り返し行われている性的暴行の事実でした。

 ユリ・ヨンドゥ・ミンス・・・家族が障害を持っていたり、孤児だったりで立場の弱い3人は校長・行政室長・パク教諭などから性的虐待を繰り返し受けていたのです。列車にはねられた(おそらく自殺)ミンスの弟も、パク教諭から性的虐待を受けていました。ユリは9歳と言う幼いころから繰り返し暴行されています。

 警察も行政も教育委員会も校長からの賄賂や、校長の社会的地位(カトリック教会の長老等)への慮りなどから、人権センターのソ・ユジンらの訴えを門前払い。それならマスコミへ訴えようと子どもたちの証言ビデオを作ります。ビデオは世論を動かし、やっと校長・行政室長・パク教諭の3人を起訴することができますが・・・。

 子どもたちの証言内容が映像として流れるのですが、ここまでのシーンを撮っちゃうのか、子役の人たちトラウマにならないのかなぁ??と心配になるほど真に迫っていました。

 裁判の様子は一種の法廷劇のようにも描かれていました。財力と権力にものを言わせる被告側。カン・イノの大学教授まで連れてきて懐柔しようとします。お金に釣られて和解金を受け取ってしまう子どもたちの親や祖母も悲しい。祖母が和解に同意したことで、法廷での証言の機会を奪われ「僕が許していないのに」というミンスの悲痛な叫び。

 判事から弁護士になったばかりの者は勝たせるという前官優遇という慣例に苦しめられ、決定的証拠を手に入れたのに、検事によって握りつぶされてしまうカン・イノたち・・・。

 そして結末は・・・。

トガニ: 幼き瞳の告発 原作小説です

 この映画は実話をもとにした小説を、コン・ユさんが徴兵期間中に読んで感銘を受け、映画化を実現されたものだそうです。そして映画が公開されるや韓国で社会現象となり、事件の再調査を行えという運動が湧きおこり広がったそうです。性的暴行の加害者を厳罰に処する通称「トガニ法」なるものが2011年10月成立したそうです(男児に対する暴行が入っていないのがちょっと残念)。また、モデルとなった学校は光州にあったそうですが、廃校になったそうです。原作者・孔枝泳(コン・ジヨン)さんのインタビュー記事によれば、現実はもっと酷かったのだそうです。

 子役の3人の演技はとてもすばらしく、また、コン・ユさん、チョン・ユミさんもとても良かったと思います。観るのに苦しい映画でしたが、やはり観て、また知ることができてよかったと思います。

 それから、本筋には全く関係ありませんが、手話で日本語手話と同じ動作のものがいくつか(拍手とか)あって、ちょっと興味深かったです。

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