« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月21日 (火)

『怪しいスライス』

怪しいスライス プロゴルファー リーの事件スコア 1 』 アーロン&;シャーロット・エルキンズ著 集英社文庫 2011年刊

 「スケルトン探偵シリーズ」が好きなのでアーロン・エルキンズの新刊が出ていると思って買ったまま、ゴルフに興味がないためしばらく積読状態になっていた本。ロマンス小説も書いている奥さんとの共著だそうで、主人公のリーと事件を捜査する警官とのお約束のような恋愛も楽しく描かれています。新刊は新刊ですが、この本がアメリカで出版されたのは1989年とか。初めて邦訳出版されるにあたり、実在のプロゴルファーの名前などが現在仕様に改稿されてはいるそうです。
 まぁ、ゴルフは分からなくても十分コージーミステリーとして楽しめました。

 リーは若くて新米で、賞金をなかなか稼げない女子プロゴルファー。とあるアマ・プロトーナメントでどどうも芳しい結果が出ないので、夕方アマチュアゴルファーのペグと一緒に練習していたところ、池に練習用ボールが池にはまってしまいます。仕方なく池に手を突っ込んでボールを探していると、腕にスパイクが当たり、驚いてその靴を拾い上げようとすると、靴だけではなく女性の死体まで引き上げてしまいます。それは同じトーナメントに出場している花形プロゴルファーのケイトでした・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「THE GREY 凍える太陽」

 「プロメテウス」とリドリー・スコットつながりとは知らずに「THE GREY 凍える太陽」を観ました。この作品ではリドリー・スコットは監督ではなくて製作、弟のトニー・スコット(一昨日なくなったそうですね…)が製作総指揮と兄弟でプロデュース側です。監督はジョー・カーナハン。
 とにかく「寒い」(しらけるって意味じゃなくて体感温度の寒さです)シーンばかりの映画だったうえに、映画館の冷房が効きすぎていてカーディガンを着ていても寒かったのですが、単に気温だけじゃなくて視覚から寒さを感じていたようにも思います。
 あと、映画を観る前にこのブログを読んでくださる方がもしいらっしゃったらご忠告です。この映画もエンドロールが始まったら席を立つというようなことをしてはいけません。エンドクレジットの後のワンシーンを見逃してはいけません。

 最愛の妻を亡くしたオットウェイ(リーアム・ニーソン)はアラスカの石油採掘場で働いています。射撃の名手であるオットウェイの仕事は労働者たちを狼などの野獣から守ること。ライフルで狼を撃ち殺します。オットウェイは喪失感に打ちひしがれていました。
 ある夜、オットウェイは家族のもとに休暇で帰る採掘作業員とともに飛行機に乗ります。しかし飛行機は荒天によりアラスカの大雪原に墜落。生き残ったのはオットウェイほか計8名だけでした。その夜は飛行機の残骸の中で野宿をすることにし、飛び散った荷物の中から食料や焚火になるものを探します。ところがその晩のうちに1名が狼に襲われて死亡。翌朝、雪原で狼に脅かされながらのぞみの薄い救助を待つよりもはるかかなたに見える森を目指した方が賢明だというオットウェイの提案に従い、7名のうちこの意見に反対する1名を残し、森の方へと苛酷な歩を進めます。家族への形見にしようと、犠牲者から財布を集めた袋も持って。しかし、リーダーシップを発揮するオットウェイは墜落でライフルが使えなくなるし(雷管を取り出して持っていましたが)、みんなろくに食べ物も武器も持っていません。狼は絶え間なく彼らを襲おうと窺っています。狼に襲われて、あるいは冷気で呼吸困難になり・・・と次々仲間が命を落として生きます
 みんな生きて!人間の生活している場所に早く着いて!と心の中で祈りながら映画を観ていましたが、裏切られどおしです。すさまじい大自然の脅威と狼の恐怖。サバイバルは成功するのか?!
 感動するとか、面白い映画ではないですが、見応えありの作品です。でも私は大団円がちゃんと迎えられる映画の方が好きなので、「えーっ!こんなところで終わっちゃうの~~」という不満はありました。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

「プロメテウス」

(ネタバレもありますのでお気をつけて、そして覚え違いがあったらすみません)

 先週末、映画「プロメテウス」の先行上映に行ってきました。今夏はSF映画づいていますね・・・。ひゃーっ、と悲鳴を上げたいシーンもいくつもありましたが、前評判通りのスケールが大きい映画。私はこの作品と同じリドリー・スコット監督の映画「エイリアン」は観ていないのですが、きっと「エイリアン」を観ている人の方が楽しめると思います。でも観てなくても私のように十分楽しめますのでご心配なく

 たぶん地球科学の研究者と思われるエリザベス(ノオミ・ラパス)は、同じく研究者で同僚(恋人)のチャーリー(ローガン・マーシャル=グリーン)とともに古代遺跡を調べていました。いくつもの異なる遺跡から人物が6個の星の連なり(星図?銀河?)を指し示す共通の洞壁画が発見され、それを地球人を創造した他の銀河の知的生命体から地球人へのメッセージ…招待状であるとエリザベスは解釈します。

 巨大な宇宙船・プロメテウスの中で男性がたった一人、スポーツをしたり語学を学んだりしています。ほかの乗組員はコールドスリープ中。2年の航宙中精巧なアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)だけが起きていたのです。やがて目的地に近づき、出資者の巨大企業ウェイランドから派遣された監督官のヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)がまず目をさまし、デヴィッドに他の乗組員ら(エリザベスやチャーリーをはじめとする科学者や宇宙船の操縦スタッフ等)を起こすように命じます。ヴィッカーズは皆を集めてウェイランド社のトップである老人のビデオメッセージを見せます。この老人こそが、ウェイランド社の莫大な資金のプロメテウス号への拠出を決めた人物で、娘であるヴィッカーズはこのプロジェクト自体に否定的なのですが、出資にはビデオレター以上の意味があったことが後に明らかになります。

 プロメテウス号は目的の星系の一つの星・・・大気が窒素と酸素でできていて二酸化酸素はない・・・ような構成だったと思う・・・にたどり着きます。さっそく探検を始めるエリザベス達。洞窟に入っていくと、中の空気はテラ・フォーミングされていて宇宙服のヘルメットを脱いでも呼吸できるのでした。この洞窟のシーンではデヴィッドが終始あやしい動きをしています。壁の文様に向かってなにやら手を動かすと、人影(ホログラム?ゴースト?)があらわれます。何かから逃げているような白い人影。1人の影がある壁の前で倒れ、それを追っていくと、下に首のない化石のような遺体が横たわっていました。その洞壁には古代文字が刻まれており、解読したデヴィッドが壁をボタンのように押していくと、その壁はドアのように開き、巨大な石の頭像が祀るようにおいてありました。足元にはさきほどの遺体化石の上部。エリザベスは頭部を持ち帰ろうとします。

 宇宙船プロメテウス号に帰ったエリザベス達が調べると、大きな頭部はヘルメットで、その下に人間のような大きさの頭がありました。その頭から取ったDNAを鑑定すると、地球人と全く一緒だったのです・・・!エリザベス達は人類の起源を見つけたのでしょうか?!

 

 これ以上書き続けると、ネタバレの連続になってしまうので、あらすじを書き続けるのはやめますが、サスペンスフルな映画でした。

 最後、エリザベスの粘りと船長ヤネック(イドリス・エルバ)たちの英雄的行動も見どころです。デイヴィッドとエリザベスがさらなる起源を求めて旅立ちますが、この後どうなるのでしょうか?含みを残して終了?それとも続編もありかな?デイヴィッドは、チャーリーのアンドロイドの感情についての無神経な発言以前からチャーリーに敵意を持っていたみたいなので、エリザベスのことが好きなのかもしれませんね。アンドロイドとしてではなく、人間っぽい恋心で。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年8月20日 (月)

「トータル・リコール」

 「トータル・リコール」2012年版を観ました。1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で一世を風靡した映画のリメイク版を、コリン・ファレル主演で作ったものです。原作はフィリップ・K・ディックの短編だということですが、未読です。シュワルツェネッガー版映画も、早川書房の解説をみると原作も、主人公は毎夜火星に立っている夢を見る・・・ということですが、コリン・ファレル版はまずその設定からして違います。シュワルツェネッガー版がコメディ色も濃かったのに対して、コリン・ファレル版はシリアスでサスペンスなSFアクションでした。

 (下記、ネタバレあります)

 近未来、化学兵器を大量に使った大戦のあと、ほとんど人間が住むことのできなくなった地球。住める場所は2ヵ所。現在のブリテン島にあるブリテン連邦(UFB)には富裕層が住み、現在のオーストラリアにあるコロニーには労働者層が住んでいました。コロニーの労働者はフォールという地球を貫いて走る(途中で地球の核付近を通るときには「重力ナントカが変わる」というアナウンスがあります)列車のような交通機関でUSBにある工場などに通勤しています。搾取されるコロニーを解放しようというテロ(USB側がしかけている?)も頻発。USBのロボット工場で働いている主人公ダグは、警官である美しい妻ローリー(妻が前作のように専業主婦でないのも現代的かも)と幸せに暮らしていますが、毎夜おかしな夢を見ています。見知らぬ女性と必死で追っ手から逃げる夢。ダグは夢が気になり、そして、毎日同じフォールで同じ席に座って通勤する日常にもいや気がさしていました。友達(同僚)のハリーは危ないからととめますが、工場に新入社した男の紹介もあり、記憶を操作してなりたい自分になれるというRekall(なんで「K」なんでしょう?前作でもそうでしてね)(コロニーにあります。超あやしげなビル)を訪れます。・・・・コロニーはごたごたした街で、漢字の書いた看板や提灯が至る所にあって、中国系の住民(商人?)が多いのか?と思わせられます。水路の多い地勢です。
 同僚の紹介があったので、あやしげな受付のさらに奥へと通されたダグ。諜報員へと記憶を書き換えようとして、Rekall社の長のような人がなぜかためらっている時に押し入ってくる警察官。ダグはこれまでの自分には出来そうもないアクションで警官を振り払い家に逃げ帰るが・・・、そこで待っていたのは豹変し、襲撃してくるローリー。ダグ・クエイドとしての人生、そしてローリーとの結婚も偽の記憶、ローリーは彼を監視する任務として妻役を演じていたというのでした。「出なければなんでこんなところに・・・」と心底コロニーとダグを憎むように言い放つローリー。更に押し入ってくる警官。ダグは逃げて逃げて、フォールに向かうが・・・・

 

 ドキドキハラハラの連続でした。私はコリン・ファレル版の方が好きかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月19日 (日)

『困ってるひと』 大野更紗著

困ってるひと』 大野更紗著 ポプラ社刊 

 

 

私は基本的には難病ものの本は読まないんですが、知人からとってもおすすめされたので読みました。私が読んだのは単行本ですが、文庫版も出ています。なんで難病ものを読まないかと言うと・・・辛い事実に自分が打ちのめされてしまうからです。

 そういう意味ではこの本もしんどくて怖い本でした。でも、大学院生の著者の筆致がユーモアたっぷりでぐいぐい読ませられ、いわゆる「エンタメ・ノンフ」っぽく読めます。帯の惹句に「命がけエッセイ」とありまして、できるだけ明るいトーンでまとめられた闘病記、と言う感じでしょうか。
 ビルマの難民を研究してフィールドワークにもバンバン出かけちゃっている元気いっぱいの大学院生が、突如原因不明の痛みと熱に襲われます。筋膜炎脂肪織炎症候群という自己免疫疾患系の難病であると診断がつくまでの「阿鼻叫喚」も、瀕死の入院生活も、お涙ちょうだいにはならず、淡々と戯画化するように描かれます。著者の行動力とともに、筆力には本当に感服します。助けてくれる人たちもいっぱいで、著者の人柄もしのばれます。
 難病にもかかわらず長期入院はさせてもらえない医療制度についても、病人がかなり苦労しなければならない各種申請についても考えさせられるものがありました。いや、考えているだけではなくて是正に向けて著者に負けない行動力を示す人が、読者からたくさんでないといけないんじゃないか、とも思いました。また、医師による介護認定のための意見書について、老人介護や障がい者介護の場でも医師の意見書が障がい・症状を軽く見積もりすぎるとして問題になっていると聞いていましたが、著者もできないことをできるとされていたということを知りました。日々患者のために献身的に医療を行っている医師にして、こんなこともあるのか、といため息が出ました。
 読んでいて辛くもなりましたが、読んでよかった本です。特に若い著者と同世代のひと、もっと若い人にも読んでほしいと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「アベンジャーズ」

 「ダークナイト・ライジング」の欄に書いたようなわけで、アメコミものは面白い、と思い始めた私ですので、アメコミのヒーローが集結するというこの「アベンジャーズ」も当然のように観に行きました。

 これから観に行く方が、このブログを読んでくださるかもしれないので、重要なご注意を先に書いておきます。エンドロールが終わるまで席を立ってはいけません。エンドロールの始めの方にいろいろ楽しい画像があるため、「エンドロールが始まっても席を立たないように」という注意を、ここのことだと勘違いして、文字ばかりになったら席を立っちゃう人が多かったんですよね。でも、ホンマに一番最後に吹き出してしまうワンシーンがあります。

 ネタバレですけど、本編中にレストランにみんなで行こうというようなアイアンマンのセリフがあるんですよね。どんなにすてきなレストランかと思いきや・・・ヒーローたちの何とも言えない表情が秀逸です。

 さて、映画の方ですが、楽しさてんこ盛りと言う感じです。上映中でもいろんなシーンで笑いが湧きおこっていました。何も考えずにヒーローアクションを楽しめばよい・・・と言う感じでしょうか。私は元のコミックや映画さえも全然見ていないのですが十分楽しめました。別々の作品のヒーローたちをこんなに集めて映画にするのはMARVELってすごいなー、と思っていたのですが、そのあたり昨日の夕方のNHKの番組「海外ネット」のなかで「ハリウッド新戦略」として解説されていました(いつんも見てない番組なのに、たまたまつけっぱなしにしていたおかげで知ることができてちょっとうれしい)。日本のまんがはそれぞれの作者に著作権や版権があるけれど、MARVEL社のコミックは会社がストーリーを考えて世界中にいるイラストレーターに絵を描かせるので、権利はすべて会社のものなんだそうです。だから別々の作品の主人公を一堂に会させることも可能なんですね。そのなかで、すでに先行映画作品の「アイアンマン」などにニック・フューリーがちょっと登場して「アベンジャーズ」への布石が打たれていることも知りました。アベンジャーズを観ると「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」「マイティ・ソー」なども観たくなるし、逆も然りでしょうから、確かにうまい戦略ですね。ところで、番組の中ではMARVEL社の日本人のイラストレーターへの取材もありましたが、彼女の絵はたしかに日本のまんが的な繊細さがあって、従来の私が知っているアメコミの絵よりも日本のまんがやバンドデシネなどに近くていい感じでした。あの絵ならアメコミも読めそうな・・・。

 ストーリーの骨幹は、地球への侵略をもくろむ別世界の神・ロキやエイリアンたちを国際平和維持組織・シールドの長官ニック・フューリーと彼の呼び集めた異能のヒーローたちの集団が倒す・・・今回も地球の危機はアメリカが救いました・・・という、おなじみと言えばおなじみのストーリー。でも、面白いからOKってことで、深く考えても仕方がない。この映画で破壊されるのはニューヨーク。破壊された街の光景にブロードウェーのミュージカル劇場も写っていてついつい「あ、ライオンキング」と口に出そうになって慌てました。ニューヨーク、よく破壊されるなー。

いろいろ関連の映画とか、本とかも調べてみたけど、これをみんなクリアするのは大変だなー、

 

アベンジャーズ ブルーレイ(3枚組/デジタルコピー & e-move付き) [Blu-ray]

| | コメント (0) | トラックバック (1)

「ダークナイト・ライジング」

>(まえがき・・・)
「バットマン・ビギンズ」や「ダークナイト」が公開されていた時には、「バットマン」って子ども向き?、と勝手に判断して興味がなかったワタクシ。でも、「ダークナイト」を見た若い知り合いが絶賛していたので(彼女とは年齢がかなり離れているにもかかわらず洋画の趣味がよく合っていたので)、気になってはおりました。ですので、以前BSで放映されたときに録画しておいて、まず「ダークナイト」から見たのです。アメコミ原作=子ども向きと遠ざけた自分の間違いに気づきました。大体遠い昔にロボット=子ども向き?なんて判定をして「スターウォーズ」を公開時に観ていないと言う失敗をしてるのです。それに「スパイダーマン」を楽しんで観てるくせに・・・アホでした。完全に大人向けの作品でした。そのあと「バットマン・ビギンズ」を観て、今回、「ダークナイト・ライジング」、三部作の決着を楽しみにしておりました。

(本編)

 で、ワタクシ的には「ダークナイト・ライジング」、これも絶賛でございます。娯楽作品であって、「正義とは何か」を考えさせられる。それに、なんともタイムリーなことに原発問題まで考えさせられてしまうではありませんか。敵役ベイン軍団の底知れない不気味さや、裏切りに次ぐ裏切りなどスリリングなストーリーにも引き込まれてしまいます。ブルース・ウェイン、アルフレッド、ゴードン市警本部長、フォックス、といったおなじみの面々のほかに、熱血警官のジョン・ブレイクと謎の女セリーナ・カイン(キャット・ウーマン)が登場し物語を盛り上げるのですが、派手なカーチェイスとかアクションやバットマン対ベイン軍団の闘いを別にすると、なんといってもジョン・ブレイクの活躍とその後が見どころかなぁとも思えます。

 でも最後の方、核爆弾の処理の方法として大洋(ゴッサムシティはニューヨークを思わせるから大西洋かな?)への投下を選んでいました。きのこ雲、遠く小さく見えましたが海がひどく汚染されたことは間違いがないでしょう。ゴッサムの人命は守られたとはいえ、これでメデタシとするのはいかがなものでしょうか、少し脳天気な気もしました。

 エピローグ、アルフレッドの見たワンシーンが嬉しかったです。

 ベインって、あのマスクで生命を維持しているようで、ダースベイダーを思わせますよね。調べてみたら、ベイン誕生の秘密を描いた本も出ているようですね。読んでみようか・・・でもそんなに深みにはまりたくないなぁ・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月16日 (木)

「ローマ法王の休日」

 この映画は・・・予告編や「ユニークなハートフル・コメディー」などという映画紹介に騙された感がありました・・・。私には合いませんでした。法王逃亡のドタバタコメディ的要素を期待していたので。ハリウッド映画じゃないからそれはないのか・・・。まぁ、途中退屈のせいか数回短時間気を失っていた時があったので、すばらしいシーンを見逃していたのかもしれませんが・・・。

storyは・・・ 

 前法王の葬儀がしめやかに行われ、ヴァチカン(システィーナ礼拝堂)では枢機卿たちによる次の法王の選挙「コンクラーベ」が行われます。「コンクラーベ」で野望渦巻く権謀術策などということもなく、「自分が選ばれませんように」的なことを一人ごちたり、祈ったりしている枢機卿もいます。メルヴィル(ミシェル・ピッコリ)という枢機卿が選出されますが、彼も法王になりたくなかった気弱な者の一人。聖ペドロ広場に集まった信者たちに就任のあいさつをしなければいけないメルヴィル。側近に当たる枢機卿たちとバルコニーに出るが、気後れしたのか後ろに倒れこんでしまいます。精神分析医が呼ばれますが、枢機卿に囲まれて、制約だらけの診察となります。メルヴィルを法王と知らない医者の診察が必要と言うことで、おつきを連れてローマ市内へ出ます。メルヴィルは、ヴァチカンに呼ばれた医者の元妻の診察を受け、職業は役者と名乗ります。そしてその帰途、枢機卿たちをまいてローマ市内へ行方をくらましたメルヴィルは・・・。
 ローマ法王の不在を隠そうとしてスイス衛兵を使って小細工をしたり、法王が見つからないのでヴァチカンに足止めを喰って時間を持て余す枢機卿たちが、トランプをしたりバレーボール大会をしたりするシーンは、ウィットが効いたコメディとして楽しめました。
 ローマ市内でメルヴィルは見聞を深めますが、ヴァチカンに連れ戻される時がやってきます。(観劇中に枢機卿や衛兵たちが乱入してくるのは…笑うべきシーンなのでしょうか?私には笑えない)そしてまた、信者たちにむかって話をしなければなりません。その時メルヴィルの口から出てきたことばは・・・

 じわじわとメルヴィルの真意や投げかけられたことばによる波紋を考えさせられこそすれ、これをコメディとは言えないと思います。もっと別の惹句を考えたらよかったのに・・・、と思いますが、「コメディ」としないとお客さんが来ないと思ったんでしょうかねぇ・・・。たしかにユーモア精神は感じましたけど。メルヴィルの心の内に自分を重ね合わせて考えたりすると、悪い映画ではないと思うんですけど・・・。

 ところで、私はこの映画をTOHOシネマズのプレミアスクリーンと言う部屋で観ました。ゆったり座れて良かったです。隣の席との境の肘かけがちゃんと両方の席の分、つまり2本あるし、前のシートを蹴ることなく脚を伸ばせるし・・・。私は飲食はしないので関係なかったけど、テーブルまでありました。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月13日 (月)

ウォルト・ディズニー展

 昨日「アスペクツ・オブ・ラブ」を観に行ったついでに、伊勢丹の美術館「えき」で行われていた「生誕110年記念ウォルト・ディズニー展」に行きました。最終日だったせいか、4時ごろ入場したのに身動きできないほどいっぱいで、それでも前売入場券を持っていたので、券を買うのに並んでいた人たちよりはマシでしたが。

 内容はウォルト・ディズニーのざっとしたバイオグラフィーという感じ。オズワルドやミッキー、最初の長編アニメ「白雪姫」などは特に詳しく紹介されていました。昔のディズニーグッズやウォルト・ディズニーの趣味のミニチュア家具なども展示されていました。最初のディズニーランドの構想や、ディズニーランドの外周を走る汽車、というアイデアは奈辺にあったのか、なども興味深く見ました。面白かったのですが、とにかくすごい混雑でゆっくり見れなかったのが難点です。

 この美術館のスペースの問題もあるけど、チラシのうたい文句と比べるとちょっと物足りなかったかな。満足するには、サンフランシスコの「ウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアム」に行かなければならないのかもしれませんが。
 この展覧会に合わせて駅ビルのそこここにディズニーキャラクターの白いシルエットが貼られていて、それを見るのも楽しかったです。ちなみに京都劇場の前にはビーストやベルなど「美女と野獣」のキャラクターたち。ちゃんと場所を選んでるんですね。

展覧会を見ていると、紹介されているいろいろな作品をもう一度観たくなります。今日は家で「ファンタジア」を観ました。家にあるのがVHSなので、画像がどうかな?と思いましたが、心配するほどではなく特に「魔法使いの弟子」部分を楽しみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

劇団四季「アスペクツ・オブ・ラブ」

劇団四季「アスペクツ オブ ラブ」を京都劇場に観に行ってきました。たまたまこの日しか家族と日程が合わなかったので、MY初日=千秋楽です。 なんだか京都劇場も久しぶり。ファミリーミュージカルは、大人一人では足が向かなくてここでの観劇から足が遠のいておりました。

10

(10周年階段は「マンマ・ミーア」の時のままですね)
この作品が以前に関西で公演されたのは随分前と言うことで、私は観ることができていませんでした。ず~~っと観たい、観たい…と思っているうちに石丸幹二さんや保坂知寿さんが退団され・・・。CDは買ったし原作も読んでいたんですけどね~。

 今回やっと観ることができてうれしいです。念願かなったという感じ。ただ、CDで何度も聞いた美しいメロディは良いとして、物語自体は(原作を読んでいたからある程度わかっていたのですが)自分の恋愛観とは違いすぎて好きにはなれませんでした。待望の関西公演ではありましたし、感動もしたけれど、いくらアンドリュー・ロイド・ウェッバーの音楽が美しくても、足繁く通いたいタイプのミュージカルではなかったです。
 ストーリーは平たく言えばフランスが舞台の恋愛もの。しかもドロドロ風です。だけどあんまり深刻にならずにサラリと物語が進みます。ローズがアレックスにもジョージにも惹かれてしまうところや、自分勝手な選択をしてしまう、誰かにすがらずにはいられない・・・というのはまぁ、理解の範囲内ですが、ヒューゴを自宅に連れて行く(娘もいるのに)にいたっては、どんなに恋愛に寛容であろうとしても首をかしげざるを得ない。ローズとジュリエッタを同時に愛するジョージにも、何年もローズに狂おしいほど焦がれているのに、15歳の従妹に言い寄られて理性を抑えきれなくなりそうなアレックスにも感情移入がしにくい・・・、なんとも受け入れにくいストーリーです。

当日キャストの皆さんは下記のとおりです。

  京都公演・千穐楽のキャスト
ローズ・ビベール 佐渡寧子
アレックス・ディリンガム  中井智彦
ジョージ・ディリンガム 村 俊英
ジュリエッタ・トラパーニ  笠松はる
マルセル・リチャード  寺田真実
ジェニー・ディリンガム  栗城 唯
ヒューゴ 佐久間 仁
エリザベス 佐和由梨
男性アンサンブル 女性アンサンブル
畠山典之 岡本瑞恵
斎藤洋一郎 小島由夏
浜名正義 廣本則子
白瀬英典 大岡 紋
名児耶 洋 石川杏菜
塚田拓也 川井美奈子
水野 言 徳永真理絵

この公演のキャストの方々はみなさん歌がうまくて、ダンスも見応えがあって満足です。斎藤さん・畠山さんは他の演目でもよく拝見しますし、今回もダンスに注目してしまいました。佐渡寧子さんはおいくつなんでしょうか。「アイーダ」大阪初演のアムネリスのころとまったく変わらずいつも本当にお綺麗です。何人もの男性から愛されるのが納得できる華やかさと美貌です。中井さんは、京都劇場の「オペラ座の怪人」のラウル役(デビューしたてのころですがそん色ない演技と歌でした)で拝見して以来です。アレックスの役は石丸幹二さんと常に比べられるのがつらいところでしょうね。ちょっと「17歳」には見えにくかったですが、 歌も見栄えも悪くないと思います。村さんはとにかくいつも渋くてダンディ。笠松さんはきれいで歌も抜群の巧さ。ダンスもよかったです。初めて大人の女性の役で拝見しましたが、ジュリエッタという女性の芯の強さも感じられました。ジェニーの栗城さんは初めて拝見します。可愛い。声もきれいで歌はお上手です。まだお若い感じなのでこれからが楽しみですね。でも・・・書いちゃいけないとは思いつつ、書かずにはおれないひとこと・・・。ディリンガム家の血筋はnot小顔・・・ですね・・・
Photo


写真はプログラムと、プレゼント用のスタンプが押してあるチケットと終演後に出口付近で配られた大阪「ライオンキング」宣伝用のうちわです。プレゼントは、過去に関西で行われたアンドリュー・ロイド・ウェッバーの作品の公演チケットの半券を一緒に持っていくとメッセージカードがもらえるというものだったのですが、すでに配布予定量を超えていたらしく、後日郵送と言うことでした。私も捨てられない性格で半券を残していますが(でも整理できない性格だから探すのに時間がかかった)、意外に半券を残している人って多いんですね。私は映画の半券はすぐ捨てるんだけどね・・・。

 千秋楽とあって、熱のこもったカーテンコールでした。何度も続くカーテンコールで中井さんが佐渡さんの肩を抱いてはけていくのが、とてもうれしそうでアレックスの思いがカーテンコールでやっとかなうのね、と微笑ましい感じでした。

ガーネット傑作集〈2〉アスペクツ・オブ・ラブ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 7日 (火)

『灰色の地平線のかなたに』 ルータ・セペティス 作

灰色の地平線のかなたに 』  ルータ・セペティス 作 岩波書店 2012年1月刊
¥2100+税

 学校で習わなかったためか、バルト三国についてはほかのヨーロッパの国々よりも認識が薄い。それでもリトアニアは杉原千畝氏の人道的エピソードで耳に馴染みのある国でした。
 けれど、杉原氏が公使館を閉めねばならないときのリトアニアの政治状況とか、バルト三国への、第二次世界大戦中のソ連の侵攻と迫害(祖国からの追放と強制連行)については全く知りませんでした。ヨーロッパでのナチスドイツの悪行については、歴史の授業でも習い、映画や文学などでも多く描かれて来て読んだり見たりしてきましたが、スターリニズムの蛮行についてはほぼ知りません。スターリンによる恐怖政治がソビエトの社会主義の理想を歪めた程度の認識でしょうか・・・。有名な「カティンの森」の事件でさえ、アンジェイ・ワイダ監督の映画「カティンの森」を観て初めて知ったぐらいです。映画や小説では、ナチスを破り、ナチスの設けたアウシュビッツ強制収容所などを解放するソビエト軍(赤軍)は(連合軍側に与していて)、正義を成し遂げて感謝されるイメージです。ナチスに抗するパルチザン・レジスタンスを助けるソビエト軍の若者は農家出身の子ども好きな明るい好青年のイメージ。それらが嘘なのではなく、実際、彼ら一人一人は善良な人たちだったことでしょう。
 しかし、その一方でスターリニズム下の兵士たちは無辜の民に対しても恐ろしいこともたくさんやってきたのです。
 この若い人たち向けに書かれた小説は、リトアニアにおける「カティンの森」のような事件を描いています。作者はリトアニアからドイツ経由で亡命して九死に一生を得た父を持つアメリカの女性。隠された史実を丁寧に取材して、登場人物は架空の人物だけれど、実際に経験した人たちのはなしをもとにしたフィクションです。
・・・・
 1941年6月14日の夜、画家になることを夢見る15歳のリナはリトアニアの自宅でいとこに手紙を書こうとしていました。しかし突然踏み込んできたソ連の秘密警察・NKVDによって、母・弟とともに連行されます。独ソ不可侵条約によりリトアニアなどバルト三国を侵略した、スターリニズムの暴風吹き荒れるソ連は、バルト三国の知識人(学者だけではなく教師や司書も)・軍人・実業家などとその家族を逮捕・殺戮・強制連行したのです。大学教授の父と美しい母エレーナはソ連軍に蹂躙された祖国を逃れる計画を立てていました。エレーナはコートの裏側に貴重品などを縫いこむなどして準備していましたが、間に合いませんでした。リナたちは「ダヴァイ(早く)!」とせかされ、トラックに詰め込まれます。そこには追い立てられてけがをした人、たった今赤ちゃんを産んだばかりの人も。NKVDに「ブルジョアの豚」と罵られ小突かれながら貨物列車に詰め込まれ(この貨車の旅、ナチスに連行されるユダヤ人の貨車の旅と似てます)長く長く辛い旅を経て着いたのはシベリアの強制労働所。あくまで人間としての尊厳を忘れない母とともに辛い労働や飢え、極寒に耐えて生き延びようとしますが・・・。
 「児童書」として出版されていますが、ぜひ大人の人にも読んでほしいです。こんな事実があったという歴史認識のほかに、人間性、「人間」としてどう生きるべきか、を考えさせられる本です。物語終盤のソ連人医師・サモデュロフ先生のエピソードにはいろんな意味で涙がこぼれました。サモデュロフ医師は実在の人だそうです。

 不満があるとすれば、リナたちがどういうタイミングでどう解放されたか、その後リトアニアに帰ってどうだったか、までは描かれていないことでしょうか。物語作り的には蛇足になるのかもしれませんが、読み手としてはそこも物語ってほしいところでした。

 物語中ショックだったのは、貨車での移動中のリトアニア人たちの会話の中で、ドイツが侵攻して来てソ連を追い払うのを願うようなことばもあったことです。ナチスが侵攻してきた方がリトアニアの独立が保たれると、その時は思った人たちもいるということですね。ヒトラーが来たらもっと悪いことになると言う人(のちにユダヤ人と判明)もいましたが、リナは懐疑的でした。まだ15歳のリナはリトアニアがソ連とナチスドイツの両方から蹂躙されるとは思ってもみなかったのでしょうね。リナたちの住んでいたカウナスで、領事の杉原千畝氏が「命のビザ」を発行していたのは、リナたちが強制連行される前年のことですが、そのことについてカウナス市民はあまり認識していなかったのでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 5日 (日)

「アナザー」(映画)

 映画「アナザー(Another)」を観に行ってきました。学園ホラーだし、アニメもやってたし・・・ってことで、若い子が多いかな?と思っていたのでしたが、アラフォー以上の人も散見され、やはり原作者の綾辻行人さんにひかれて観に来ている方々もいるのかなぁ・・・と。

 私は原作は未読でしたので、最後までキーマンがわからないハラハラ感を楽しみました。特に人形が不気味な雰囲気を醸し出していて、映像ならではの恐怖感です。
 舞台は中学ですので若い役者さんばかりです。まぁ、ちょっとみんな中学生と言うより高校生と言う感じには見えますが・・・。田舎の中学生だと、きっともうちょっと幼い印象なんじゃないかと言う感じはします。まぁいいけど。

下記、ネタバレになりますので、読んでくださる方はご注意を

 主人公の榊原恒一(山崎賢人・・・17歳ですね…撮影時は16歳かな?)は東京に住んでいた、父の海外赴任のため亡き母の実家(田舎)の祖母宅に住むことになり、「夜見山北中学」に転校する。ただ、4月早々に気胸で入院し、1学期の途中から3年3組に通いだすことになった。さっそく親しく話しかけてくれるクラスメートもあり、新しい学校での恒一の生活は順調に滑り出したかと思えたが、教室の後ろ隅の席に眼帯をした不思議な少女を見て驚く。左目に白い眼帯をかけたその少女は、恒一が入院中に、人形を抱いて霊安室に入っていった少女と瓜二つだったのだ。その少女のことをクラスメイトに聞こうとすると、「あの席は空席だよ」と言われる。クラス全体がその席の「見崎鳴」の存在を無視しているのだ・・・。     
 (この、転入して来たばかりの時に、心霊現象とかオカルトとかを信じるか?と言うような問いが男子生徒から恒一に発せられるが、恒一は信じないと答えている。これが男子生徒らはクラスのルールとそのいわれをなかなか恒一に説明しなかった理由だろうか。本ならもっと詳しく書いてあるのかな?)
 眼帯の少女・見崎鳴(橋本愛・・・美人さん♪)の不思議な雰囲気に惹かれる恒一は、クラスの重苦しい雰囲気を押し破って彼女に近づこうとする。恒一が廊下で鳴に話しかけた時、それを快く思わないクラスの女子が恒一に文句を言う。が、その時無残な事故が起こる・・・。
 このクラスメイトの死に方と、別のクラスメイトの姉である看護師さんの死に方は、映像ならではの恐ろしさでしたね。でも担任の死に方はコワイには怖いけど、滑稽な感じもしました。3件とも現実に偶発的にはありえない。超常的な悪意が働いているというところでしょうか。

 3年3組には、26年前から「呪い」がかかっており、その呪いをかわすためのルールが受け継がれている。そのルールが破られるとクラスの生徒のみならず家族も次々と不可解な死が襲うのだ。巧妙な記憶操作でクラスにもぐりこんだ「死者」のせいで・・・
 
  最後はバトルロワイヤル的展開になるかと思ってハラハラしました。そうじゃなくて良かった。でも、だれもが鳴のような能力を持っているわけじゃないし、連続死を避ける方法を後輩に託したところで呪い除けにはならないと思うけど・・・。それよりこんな田舎の中学で関係者が次々死んだら、さすがに大問題になって、マスコミとか来るんじゃない?3年3組の生徒はもっとパニックになって、むしろ呪い除けより、教室自体を使わないとか、2組までになるように校区を割るとかするのでは?とツッコミたいこともあるんだけど
 とりあえずホラーなんだけど、ところどころに伏線となるような映像もあり、「死者」はだれか?と謎を解こうとするシーンあり、さすが本格推理の綾辻氏、と思いました。原作、長そうで敬遠してたけど読むべきかしらね・・・。

 見崎鳴がなぜ霊安室に入って行ったのか、という謎も映画では解かれていなかったし、キリカさんの人物像も気になるんだけど・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 4日 (土)

『今日のごちそう』橋本紡著

今日のごちそう』 橋本紡著 講談社 2012年3月刊

 

わりと淡々と読める短編集です。この著者の本は、いつも、どちらかというとあっさり読める文体で、でもその奥の登場人物たちの人生は淡々(あわあわ)したものじゃな くて、ぎっしり詰まっているという感じがして好感を持ってます。人に対する温かな目がある作家さんだと思います。
 ただ、特に短編だと、人生の断片しか描かれていないから、大河小説好きの私には物足りなく感じる部分もあります。でも、そこ(短い小説の終わり)からこの人たちはどう歩き出すのか、 きっと明るい方へ向かって(失敗しながらも、挫折しながらも)歩いて行くんだろうな~~という風に感じさせられるところがいいと思っています。
 この本は一編一編に料理の名前が付けられていて、短編ごとの表題紙にその料理の材料が書いてあります。全然毛色の違う小説だけど、ちょっと集英社文庫の 『クッキング・ママ』シリーズ(ケータリングをしている主人公のレシピみたいなものが載っている)を思い出してしまいました。  それはともあれ、料理にまつわって(料理とは言えないものも出てきますが) いろんな人生模様がちょこちょこっと切り取られて描かれています。恋愛であったり、家族であったりしますが、まぁ、ラブ・ストーリーと括ってもいいかな? うれしかったり、切なかったりいろんな感情が込められた美味しそうな料理たちも主役です。著者のブログにはお料理の記事もよく載ってますし、ほかの作品でも 料理をするシーンがよく出てきますので、お料理好きなんでしょうね、きっと。そのためでしょうか、橋本さんはれっきとした男性であるにもかかわらず、ネット書店や実書店でもよく女性作家にカテゴライズされてますよね。
 すっきり読めていい小説、と思いましたが…長編好きの私としては登場人物のこれからの幸せが気になるところ。特に「ホットコーヒー」と「団子」に出てく る祥子のハッピーエンドな物語が読みたいな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 2日 (木)

『隠れ家 アンネ・フランクと過ごした少年』シャロン・ドガー著

隠れ家 アンネ・フランクと過ごした少年 (海外文学コレクション2)』 シャロン・ドガー著 岩崎書店 2011年7月刊

 6月に映画「アンネの追憶」を見に行ったので、なにか関連した本を、と思って読みました。児童文学(Y.A.本)なので読みやすいだろうと思って選びましたが、実際す ぐ読めました。
 この本は『アンネの日記』に登場するペーター・ファン・ダーンこと、ペーター ・ファン・ペルスの視点で、隠れ家生活と強制収容所の生活を語ったフィクショ ンです。1945年5月、マウトハウゼン収容所の病床で、死を目前にした18 歳のペーターがそれまでの人生を思い出す、という体裁で書かれています。イギリス人の著者による創作で、実在の人物とはいえペーターの伝記ではありません。『アンネの日記』に描かれた内容をもとに、「内気な少年」 ペーターが、その同じできごとを、同じ空間をどのような思いで見ていたのか、作者が 想像しながら書いているのです。強制収容所内でのことも、作者がさまざまな参考文献をもとに想像したことです。私たちが『アンネの日記』の中で知るペーターが、本当はどんな少年だったのか、隠れ家生活をどう思っていたのか、もう知るすべもありません。でも彼にも潜伏前の人生があって、この本に出てくるりーぜのような女の子に恋をし ていたかもしれないし、アンネがペーターのことを最初は良く思っていなかったのと同様、ペーターもアンネのことを小生意気な奴と嫌っていたかもしれません。
 思春期の彼、アンネとマルゴットのように同性の兄弟や仲間すらいなかった彼は、なおのこと、潜伏生活の中では様々に思い乱れ、誰よりも辛かったことでしょう。作中のペーターは隠れ家の中で、女性を抱かないまま生を終えることに恐怖を持っています。そして恋をするプライバシーもないことに苛立っています。大工になりたい(ものづくりがしたい)のに、あるいはレジスタンスに加わりたいのに、無為に過ごさねばならないことにも。アンネ視点の潜伏生活とはまた別の思いが、そこには広がっています。
 作者はまえがきで「『想像しなおす』ことは、歴史を風化させないための、ひと つの重要な方法と言えるでしょう」と言っています。ホロコーストを記憶する文学として、その試みは成功していると思います。

 わたしは『アンネの日記』自体は30年以上も前に読んだっきりです(伝記風の関連書はいくつか読んでるんですけどね)。ですから完全版は読んでいないので、改めて読んでみたいと感じています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 1日 (水)

『第九軍団のワシ』

映画「第九軍団のワシ」 を観て、とても面白かったので原作も読んでみました。

第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)』 ローズマリ・サトクリフ著

ストーリーは、特に後半映画とずいぶん違いました。映画は映画らしい見せ場の連続でしたし、小説版は児童文学らしく若者たちの友情や成長を感じさせるものでした。どっちも好きです。カレドニアの民族の描写が映画はどうしても「蛮族」を思わせるものになっていたけど、小説ではそんなことは全くありませんでした。ほかの関連作品も読みたいなと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』

ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』 ジェフリー・ブラウン作 辰巳出版 2012年6月刊

絵本です。

ルーカスフィルム公認と書いてありますが、数あるスターウォーズ関連本の中でもかなり異色のこの絵本、もちろん子ども向けではありません。
 本編では決してありえないシチュエーションですが、なんと、あのヴェイダー卿が幼いルークを子育てしてます。イクメンです。う~ん、絵本と言うより一コマ漫画集と言えるかもしれません。
 ヴェイダーがルーク(ちゃんと柔道着みたいなのを着てます)の肩を抱いて、R2をフォースで浮かすところを見せてやったり、肩車をしたり、朝食を作ってやったり、動物園(クリーチャー園?)に連れて行ったり・・・。ルークはルークで「赤ちゃんはどこから来るの?」なんて質問をしたり。映画に出てくるセリフが意外なところで使われていたり、いろいろとくすぐられポイント満載です。
 パロディが嫌いな方にはおすすめできませんが、そうでなければスターウォーズファンの方、特にお子さまのおられる方はぜひどうぞ。笑えること請け合いです。
 

 でも・・・。ダース・ヴェイダーという存在がなくちゃ物語が始まらないんだから考えてもしかたがないのですが、もし、パドメとアナキンが幸せに双子を授かっていたら、きっとアナキンは子どもたちをも溺愛したに違いない・・・やさしいアナキンのままでこんな風にルークを肩車したのかな?なんて、ついつい感情移入しちゃって・・・ちょっぴり切ない気分にもなりました。
 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »