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2012年2月 8日 (水)

『小太郎の左腕』和田竜著

 和田竜さんの著書は、『のぼうの城』を発刊当初読んで以来2冊目です。

史実をもとにした(実在の人物を描いている)『のぼうの城』も面白かったけど、時代小説の『小太郎の左腕』もなかなか含蓄があって面白く読めました。

 物語の始まり(第1章の2)に1556年と具体的に年号も書いてあるものだから、一瞬、史実をもとにしているのか、なにかモデルがあるのか、とググってしまいましたが、巻末の解説にちゃんと「架空の事件と人物」と書いてありました。

 1556年といえば桶狭間の4年前、鉄砲伝来の13年後。そんな時代の山多き地方で、付近の国人領主の頭領・戸沢家の領内に猟師の祖父と少年が住んでいた。祖父の名は要蔵、少年の名は小太郎。小太郎は11歳にして6尺を超える丈夫ながら、その心はあまりにも純真すぎて、近隣の悪童からは小馬鹿にされていた。

 一方戸沢家には林半右衛門という猛将があったが、彼に仕える養育係の三十郎は半右衛門が35歳になり「万夫不当の勇士」とたたえられるようになってもまだ彼のことを「坊」と呼んでいた。「坊」は領民たちからも「坊殿」などと言われて慕われている。三十郎は左構えの銃を酒井の鉄砲鍛冶に頼んであつらえて、来るべき戸沢家の鉄砲試合に「今度こそ」と闘志を燃やしている・・・。

 次期領主とされる戸沢図書の用兵の失策により、隣国との戦いで、大けがをした半右衛門は要蔵に助けられる。要蔵は三十郎の鉄砲に興味を持つ小太郎に狼狽し、小太郎に、この鉄砲は決して触ってはならぬと厳命する。小太郎は半右衛門に「鉄砲試合に出たい」と頼むが・・・

 やがて戸沢家では攻め込もうとする隣国に対して、鉄砲試合を行って方策を見せつけるとともに、半右衛門の反対を押し切って籠城戦を行うことになる。籠城は次第に長引き悲惨な様相を呈するようになってきて、半右衛門は起死回生の一策に出る・・・。

 

 半右衛門や、隣国の将・花房喜兵衛の潔さが小気味よいです。そして目覚めてしまった小太郎が不憫です。

 気負わずにサッと読めますし、時代小説に慣れない人でも大丈夫です。この本も映像化されるといいな。・・・そういえば映画「のぼうの城」はいつ公開されるんだろ?

 

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