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2008年11月17日 (月)

京都劇場「ブラックコメディ」

 久々に京都劇場の初日に行きました。劇団四季BLACK COMEDY ブラックです。関西では初上演だそうで・・・

 Photo 前回の公演のチラシ(石丸幹二さんの大きな顔写真が載っている)をファイルしておいたものと、今回の京都公演のチラシ(装置の写真は本物・人物は影で描かれている)を見比べながら、石丸さんの在団していらっしゃったときに京都でやってくれたら良かったのに・・・とちょい不満を感じつつ、でも荒川さんも好きだし・・・などと思いながら観にいったのですが。(写真は京都駅コンコースのものです)

 面白かったです。客席では大きな笑い声があちらこちらから響いていました。キャストにもほとんど何の不満もなかったといってよいと思います。

 ストーリーはチラシ等に紹介してあるとおりですが、お調子者だけど気の弱いところもある(押しに弱い)売れない彫刻家のブリンズリーと、その若い恋人キャロル(いわゆる現代っ子って感じでしょうか)が、ブリンズリーの部屋を見場よく整えているところから話が始まります。始まったときの舞台の上は薄暗いのです。このお芝居は、突然の停電に困っている様子が喜劇の大きな要素となっているのですが、舞台の演出上は明かりのついている間は薄暗く、停電の場面では煌々としたライトのなかで演じられるという工夫が特徴です。

 その夜は富豪のシュバンツィヒがブリンズリーの彫刻の品定めに来るのと、キャロルの父で厳しい軍人のメルケットがブリンズリーがキャロルの婚約者としてふさわしいかどうか見極めに来るという、重要な来客の予定が2件も入っていたのです。そのため、ブリンズリーとキャロルは、隣人で骨董蒐集家のハロルドが旅行中なのを良いことに、勝手知ったる彼の部屋から、美しい家具や装飾品を無断で借りてきていたのです。

 ところがいきなり停電になり、マッチやろうそくもなくてあたふたしているところへ、昔の恋人クレアから電話があり、同じアパートの老婦人ファーニヴァルが逃げ込んで来、メルケットがあらわれ、帰ってこないはずのハロルドまでやってきます。ハロルドが帰ってきたからにはこっそり家具やなにかを返しにいかねばなりません。暗闇の中誰にも悟られずに。そこへクレアがひそやかに現れ、電気会社の技師が修理に現れ・・・。明るいライトの下で、鼻をつままれてもわからないような暗闇にいる演技をしている様子、しぐさがまず可笑しく、暗闇の中だからこその失言の応酬にも笑わされました。このあとブリンズリーはことをどう収めるのか?という余韻もまた楽しくて。 

京都ブラコメ初日の出演者
ブリンズリー・ミラー  荒川 務
キャロル・メルケット  濱田めぐみ
ミス・ファーニヴァル  はにべあゆみ
メルケット大佐  志村 要
ハロルド・ゴリンジ  栗原英雄
シュパンツィッヒ  川口啓史(劇団俳優座)
クレア  八重沢真美
ゲオルク・バンベルガ ー  高橋征郎 (劇団民藝)

 ブリンズリーの荒川さん、調子が良くてもてるけど、つまるところは冴えない男の演技にすっかりはまっていました。キャロルの濱田さん、お嬢っぷりがかわいい。濱田さんはアイーダや川島芳子という強くてカッコいい女性の役でしか観たことがなかったんだけど・・・この可愛さで演じたであろうベルやポリーも観たかったなぁと思いました。でも冒頭の薄暗い中での二人のお芝居は・・・悪くないのですが少々セリフが浮いて感じられました。昔の舞台風の不自然な抑揚に聞こえてしまって・・・。次々と人が登場してくると気にならなくなりましたが。

 ハロルドの栗原さんのオネエキャラ、秀逸です。カッコいい上に女形もOKという感じ。クレアの八重沢さん、おきれいな脚でした。はにべさんのいたずらっ気たっぷりの表情、楽しすぎました。志村さん・川口さん・高橋さん。渋い演技なのに面白いという名脇役でした。

 とにかく面白いので、私はついつい、これを吉本新喜劇に翻案するとしたら、誰をどの役に当てはめようかなと考えてしまいました。

 しかし・・・この人数・この装置・この長さ(短さ)で6500円はちょっと高いのでは??とも思いました。これを新劇系の劇団で公演したら大きいところでも4~5千円で観られるんじゃないでしょうか?条件によってはもっと安く、四季と比べても遜色のない演技で観ることができると思います。学校公演ならワンステージ100万円から120万円までというところなのでは?この公演は四季ではプリンシパル級の役者さんが揃っているとはいえ、荒川さんや濱田さんや栗原さんは、やはり歌って踊って、ミュージカルに出演されているのを拝見するほうが、魅力満開で良いという気がします。

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2008年11月 5日 (水)

劇団四季「むかしむかしゾウがきた」

 10月の終わりと、11/2の千秋楽。観にいってきました。京都Zou劇場にて、劇団四季のファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」。子ども向けだと高をくくっており、とりあえず観にいこうというぐらいの気持ちだったのですが、2回ともラストにはあふれる涙がとまりませんでした。

 ストーリーは・・・(ネタバレありあり。)唐の国から使者が来て、もうすぐ天下を取るであろう殿様にゾウを献上する。殿様はゾを「よく喰らう」・・・九郎衛門と名づけ、家来の太郎衛門に世話係を申し付ける。太郎衛門家にははじめのうちこそ城から日に3度3度九郎衛門の餌が届いていたが、そのうちおざなりになり、遠近引きもきらずやってくる見物客が持ってくる食べ物で九郎衛門を養っていた。ある日、南の国から侵攻された殿様は太郎衛門にゾウを殺せと命じる。太郎衛門は妻・おゆきと息子・太郎坊にゾウを連れて山奥の北の村まで逃げるように言い、おゆきと太郎坊、そして九郎衛門は雪の中をZou2 山へと急ぐ。しかし忍者に追われ、吹雪に巻きこまれて・・・。一方、北の村では来る春に向けて田起しをし始めている。そこには以前九郎衛門を見に行って太郎衛門家の前で倒れ一家に助けられたおみよのすがたもあった。そこへ村人の一人が「行き倒れだ」と言って、おゆきと太郎坊を雪の中から堀おこして連れて来る。村人たちの介抱で息を吹き返す母子。「岩の陰にいて助かった」と村人に聞いて母子は、その岩はゾウの九郎衛門だと気づく。村人たちに訳を話し助けを求める母子と、九郎衛門が大好きなおみよだったが、村人たちは殿様の命に逆らうのを恐れてゾウを見捨てるように言う。ついには村人たちは決裂しお御世の祖父を含む数名と、母子だけで九郎衛門を助けに向かう。九郎衛門は瀕死の状態で生まれ故郷インドや唐の国の夢を見ていた。助けに行った人々が懸命に体をさすり歌を歌って九郎衛門はついに目を開け立ち上がるが、そこへまた殿様派の村人が来てゾウは村へは一歩も入れぬと言う。ひとまず九郎衛門は山の洞窟に隠すことにし、おみよとその祖父のごんじい、ごんじいと同年輩の松吉、おゆきの4人が村へ食料を取りに行く・・・。しかし村は敵兵らに襲撃されていた。おゆき・松吉・ごんじいもつかまり、おみよは太郎坊に知らせに山へ向かう。九郎衛門は最後の力を振り絞り敵兵に立ち向かう・・・。(画像は京都劇場入り口に設けられた記念撮影スポット)

 このお話知ってる気がする・・・遠い昔に読んだような・・・。プログラムを見ると原作は長崎源之助と書いてあります。1963年が初出ですから、きっと子どもの時に読んだんでしょうね。いまは絶版のようです。手に入りやすいフォア文庫版を復刊して欲しいなぁ。

 狂言回しの「ひろめや」は、歌舞伎調あり、文楽の義太夫もどきあり、講談調あり、ダンスありと八面六臂の大活躍。主人公と言ってもおかしくないですね。1回目見に行ったときは後ろのほうだったので、ひろめやの撒くかわら版を拾っている前の席の人たちが羨ましくおもえました。2回目は前のほうだったので「今度はかわら版を拾えるかな??」と期待していたのですが、残念、私たちのところには届きませんでした。何が書いてあるのかな?どんな字体かな??かわら版の見本だけでも展示するかプログラムに縮小版を掲載するかしてくれたらよかったのに・・・。ちなみに一人で4枚ぐらい持っている観客もいました。

 キャストは2回とも同じでした。下記の通りです。

ひろめ屋 川口雄二
太郎坊 石井雅登
太郎衛門/中国のダンサー  青山祐士
おゆき 大橋伸予
おミヨ 山本奈未
ゴンじい/石屋/浄瑠璃(義太夫)語り 菊池 正
与作・家老/浄瑠璃(義太夫)語り  石原義文
松吉・殿様 高林幸兵
七郎 村中弘和
唐の国のお使い/インドのトラ/中国のダンサー/敵兵
 
龍澤虎太郎(范虎)
敵兵頭 関 与志雄
九郎衛門  中村智志  
安江洋介
   
【男性アンサンブル】 【女性アンサンブル】
石野喜一 宮尾有香
斎藤准一郎 大槻純子
玉井晴章 桜 小雪王 雪菲)
ユ スングク 山中由貴
上廻怜雄奈 濱田恵里子
新庄真一 森田真代
鈴木伶央  

 ひろめや川口雄二さんには、芸達者なところを見せてもらいました。

 太郎坊の石井雅登さんは、ジョン万次郎以来の関西ご登場ではないでしょうか?歌も演技も好きな俳優さんです。歌がとってもお上手だし、声もすごく良いので、もっとたくさんソロで歌って欲しかったです。太郎坊も良いけど、歌がいっぱいある作品と役で拝見したいです。

 太郎左衛門の青山祐士さんは、以前「異国の丘」の劉玄役で拝見したときは、もう一つぱっとした印象ではなかったのですが、今回はお父さんではなく若武者役でも良いのでは?と思わせられるほど目元涼やか、青い衣装がお似合いでした。中国のダンサーに扮したときのダンスもお見事です。同僚数名も観にいったのですが、みんな「お父さん役の人がかっこよかったなぁ」と異口同音に。この公演は俳優によるお見送りがあるのですが、1度目のとき、何も考えずに、ただ俳優さんを真近に見ることができるのが楽しくてきょろきょろしながら歩いていたら、たくさんの女性が青山さんとの握手を求めてよっていく渦に巻き込まれて連れとはぐれてしまいびっくりしました。人気者ですねぇ。

 お母さん役の大橋伸予さん。可憐でキレイで素敵でした。色もとっても白いし。九郎衛門を匿うために山を目指す吹雪の道行きのシーンは、文楽になぞらえてあります。川口さんを中心に、菊池さんと石原さんの3人で義太夫風に道行の様子が語られます。舞台では最初黒子が小さなおゆき・太郎坊・九郎衛門の人形を持って動かし、次に中ぐらいの人形、そして大きい人形と思いきや、まるで人形のように黒子に操られる(様な動きをする)大橋さんと石井さんが出てきます。大橋さんと石井さんの人形へのなりきりぶりにびっくりします。特に大橋さんの人形のように美しく、だけど全く動かない表情はすごいです。

 おみよちゃんの山本奈未さんもかわいらしい。歌う声も少女らしくて良かったです。だけど、せっかくとっても歌の上手い太郎坊君が横にいるんだから、おみよちゃんソロではなく太郎坊とのデュエットにしてくれたら良いのに・・・と思ってしまった歌場面がいくつか。

 菊池正さん・石原義文さんは渋い演技。一癖も二癖もあるおじいちゃん(おじさん)たちお表現力たっぷりに見せてくれました。やはりこういった名脇役がいないと舞台はしまりませんね。菊池さんはもちろんユタの大作より良かったことは言うまでもありませんが、一回セリフをとちらはりました。こういうことがあるから、生の舞台は面白いです。

 唐の国のお使いの龍澤虎太郎さんは、すごい名前だなぁと思っていたら、観劇後に友人から本名范虎さんだと教えてもらいました。リアル中国の方なのですね。どうりで中国語の発音が上手すぎました。赤い唐服に身を包んだ姿も凛々しくステキでしたが、ダンスのうまさときたら・・・目が釘付けです。娘がぜひ握手がしたいとワクワクしながら、帰りしロビーで探したそうですが、1回目は見つからず、2度目の観劇のときはしっかり握手してもらっていました。「謝謝」「再見」とおっしゃいながらお見送りをしておられましたので、私たちも「多謝」「再見」と。

 俳優さんたちにお見送りしていただくのは楽しいですね。私も何人かの方々に握手をしていただきました。それも楽しいのですが、俳優さんたちがそばにいらっしゃると言うだけで華やいだ気分になります。また、俳優さんたちが小さな子どもたちに目線を合わせてかがんで話しかけておられたりする様子がとてもほほえましくて、気持ちよく帰途につきました。数名の人気俳優さんに群がる大人の図には閉口でしたが。そうそう、床に積もった紙吹雪を集めようとして職員さんに注意されている人もいました。色んな人がいるものです。

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