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2008年8月 2日 (土)

映画「奇跡のシンフォニー」

  6月29日に観た映画です。ネタバレを含んでいるので困る方はスルーしてください。今、最も旬な子役俳優といっても過言ではないと思われるフレディー・ハイモア君の最新主演映画「奇跡のシンフォニー」 。

「奇跡のシンフォニー」オリジナル・サウンドトラック「オリバー・ツイスト」の現代アメリカ音楽劇版という感じです。実際、オリバーは田舎の救貧院や奉公先での酷薄な扱い・暮らしに耐えかねて出奔し、都会(ロンドン)に向かい、フレディ・ハイモア演じるエヴァン・テイラー(オーガスト・ラッシュ)は、田舎の養護施設での疎外(何にでも音楽を感じるエヴァンの心・・・もしや共感覚?・・・を理解できない子どもたちからいじめられている)と両親に会いたい一心でニューヨークに向かって出奔しますし、よく似た造型の登場人物も出てきます。特に似ているのが、エヴァンがニューヨークで出会ったストリートミュージシャンのアーサー(レオン・トマスⅢ世)は、「オリバー・ツイスト」のドジャーだし、アーサーたち(孤児か親から虐待を受けている子どもたち?)を古い劇場に集めて面倒を見ながら大道芸人として稼がせ、その上がりを集めているウィザード(ロビン・ウィリアムズ)はフェイギンだろう。もっとも現代ニューヨークが舞台だから、アーサーもウィザードも犯罪者とはいえないし、サイクスのような極悪人もでてきません。

  母の恋愛を祖父が認めなかったこともオリバー・ツイストに似ていますが、彼を救うのは祖父ではなく、ソーシャルワーカーや牧師や少女やジュリアード音楽院の教員たち、そして両親とも再会できる大団円が一番大きな違いでしょうか。音楽に聞きほれすぎて、ひとところに落ち着いていられない、大切なメモを風に飛ばしてしまう。楽譜を教えてもらったら一日中夢中でそれにかかりきり・・・音楽の天才エヴァンは凡人には計り知れない行動パターンがあるようです。

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 とにかく音楽を聴くだけでもすばらしい!といえる映画です。エヴァンのかかわる演奏はもちろんのことですが、エヴァンの父母のチェロやロック・バンドの演奏もすばらしい。エヴァンが独特の演奏のしかたでギターを奏でるところやオーケストラの指揮、音楽に夢中になる時のほかの要素をすべてそぎ落としたような表情・・・フレディ・ハイモアの演技にも脱帽です。ストーリーはまさに「奇跡」。こういうストーリーが嫌いな人も多いかもしれませんが、まるでおとぎ話が混じったような(お姫様と流浪の騎士の一夜の契りで生まれた子どもが捨てられて、さすらいの苦労の末名をなし、母とも再会する・・・そんな貴種流離譚の流れを汲むと言えなくもない)物語は、私は好きです。

 エヴァンの母・ライラ・ノヴァチェクを演じるのはケリー・ラッセル。ルイスと一夜にして激しい恋に落ちる若き天才チェリストの、いかにも世間ずれしていない一途さを完璧に美しく演じていると思います。

 エヴァンの父でロック・シンガーのルイス・コネリーを演じるのはジョナサン・リース=マイヤーズ。月からやってきたお姫様のようなライラに夢中になる一本気な様子を説得力を持って演じていると思います。ギターを弾いて歌っているときのかっこよさ、ライラを見る目のやさしいこと!素敵でした。

 児童福祉局のリチャード・ジェフリーズを演じるテレンス・ハワードも真摯で真心溢れるソーシャルワーカーを好演していると思います。

 エヴァンがゴスペルに聞惚れて迷い込む教会で暮らしている少女・ホープを演じるホープを演じるジャマイア・シモーヌ・ナッシュの愛らしいこと!

 

 

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