« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »

2008年8月16日 (土)

「KAZARI」

 前項からの続きです。

8月14日の午後は京都文化博物館へ「KAZARI 日本美の情熱という特別展です。あわせて常設展示場でも源氏物語千年紀関連の特別な展示がありました。

Photo_2 ←「KAZARI」展のチラシ(表)とチケット、3階で行われていた「永樂即全『源氏物語五十四帖』と十七代永樂善五郎」展のリーフレットの表紙写真です

 「KAZARI」って錺職人が作るものかな??と、どんなものが展示されているのか全く分からないままに見に行ったのですが、面白い切り口で古代から近世(近世発祥で製作は現代のものも)まで、中世近世が中心ですが、いろいろなモノたちのデザインを見ることができてかなり満足しました。あまり人がいなくてじっくり見ることができたのも幸いしました。

 まず、チケットをもぎる入場口のところにあったのが、「平田一式飾り」によるヤマタノオロチと、酒甕の像。なんだこれは??目を瞠ってしまいます。かなり驚くべき展示物です。「平田一式飾り」というのは島根県の平田天満宮に奉納されるいわゆる「見立て細工」で、日用の生活用品を、上手く組み立てて神話伝説・歴史上の人物やワンシーン、動物などのオブジェを作るものらしく江戸時代から現在に至るまで続いているそうです。陶器=皿や鉢や碗、それらの蓋などを組み合わせて針金のようなもので括って固定して作ってあるのですが、遠くから見るとそれとは分からない。美しいオブジェに見えます。すごい!こんな細工物があったなんて、初めて知りました。機会があれば現地に訪れてこれまでの作品を鑑賞したいものです。

 会場内に入ると、まずは縄文式土器。日本の飾りのDNAはここから始まったということのようです。祭祀に使われたものや芸能に使われたものもあります。室内を飾ったり、身にまとうものの意匠は見ていて美しいし楽しい。中でも印象的なのはウサギの耳の兜でしょうか。屏風絵・焼き物・陣羽織・小袖・・・どれも展示ケースに張り付いて眺めてしまいました。展示を見たところ中世から近世前半のものが多かったように思います。

 石見神楽の衣装があったり、その隣にはまた「平田一式飾り」。地域では島根県が大きく取り上げられているようにも思えました。ここの平田一式飾りは、青い大きな海老!すべて自転車の部品で作られています。すごすぎる!

 百聞は一見に如かずです。この展覧会は9月15日まで京都文化博物館で行われています。ぜひどうぞ。

Kazari ←「KAZARI」展のチラシ(表)とチケット、3階で行われていた「永樂即全『源氏物語五十四帖』と十七代永樂善五郎」展のリーフレットの表紙写真です

 3階では、京焼の名家の16代目永樂即全という人が、昭和33年に発表した「源氏物語五十四帖」((すべての帖にそれぞれちなんだ茶陶54点)を、書家吉澤義則 がこれも「源氏物語五十四帖」のその題名の元となった和歌を散らし書きした懐紙の額とともに展示してありました。たとえば「桐壺」は朱色の地に金で桐の葉を描いた「金襴手手桶水指」、「若紫」は「北山春景の絵茶碗」、「葵」は、冠をかたどり葵の花や葉を描いた「冠香炉」、「須磨」は「雷神の置物」といったものが展示されています。また、永樂家当代の善五郎の茶陶もあり、見ごたえあり。華やかで、いつもはす~っと見るだけの常設展会場ですが、今回はじっくり鑑賞してしまいました。

永樂家京焼の精華 永樂家京焼の精華

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「少女マンガパワー」

 8月14日、久々に展覧会等へでかけました。お盆だからか一応平日だからか、とにかく空いていて見学しやすくびっくりです。以下、作家名等は敬称略です。

 午前中は京都国際ミュージアムへ。特別展「少女マンガパワー!~つよく・やさしく・うつくしく」が目当てです。「世界に誇る少女マンガ家3人の展覧会」ということで、新旧のマンガ家さんたちの作品(原画・原画ダッシュ・複製)が、作家の愛用品(Gペンとか)、昔の少女マンガ雑誌の付録(「りぼん」の付録の陸奥A子イラストのトランプは昔私も持っていました。懐かしい!)などのグッズとともに展示されていました。

Photo ←チラシの表と裏とチケットの写真です。水野英子の、目が顔の大半を占めるいかにも当時の少女マンガらしい絵(しかもすてきな黄色のドレス)とバックのピンクが、明るい雰囲気をかもし出していて、ぜひ見に行かなくっちゃという気にさせられました。

 展示内容は「少女マンガジャンルの成立と確立(1950~1960年代)」ということで、手塚治虫(「リボンの騎士」中心)・わたなべまさこ(「「ガラスの城」中心・「金瓶梅」も大きなパネルが展示されてたけど、これって少女マンガじゃないよね?描かれたのも90年代以降では)・石ノ森章太郎(「龍神沼」など・・いとこの家で古いマンガを読んだっけ)・松本零士(当時の筆名は松本あきら・・・私は読んだ覚えがあまりないです)・水野英子(チラシに使われている絵のほか、「星のたてごと」「銀の花びら」など)らが第1のコーナーに。第2のコーナーに行くあたりに牧美也子のイラストをもとにファンが作ったという白いドレスが飾られていました。私は牧美也子のこの頃の少女マンガを全く覚えていません。高橋真琴の絵を思わせる大きな目の美しいドレスを着た少女の絵柄が、最近の絵と全く違って驚きました。

 次は「少女マンガの革新(1970年代)」です。牧美也子は1のコーナーと2のコーナーの間あたりに位置する気がします。里中満智子(「あすなろ坂」「天上の虹」など)、一条ゆかり(「有閑クラブ」など。1972年ごろ「りぼん」で6ヶ月連続だったと思うけど、一条ゆかりの長編読みきり別冊付録がついたことがあるのですが~「摩耶の葬列 」など~それが全部ガラスケースの中に展示してあって、めっちゃ懐かしかったです)、池田理代子(「ベルサイユのばら」「オルフェウスの窓」など。やはり大判のカラーで見るオスカルさまは格別です)、美内すずえ(「ガラスの仮面」「アマテラス」・・・両作品とも早く続きを出版して完結して欲しい!)、岩館真理子(「白き夜に青く輝く」等・・・掲載誌を愛読していないのでお名前しか記憶にない・・・読んでたとは思うんですけどね)、陸奥A子(「願い事という宝石」等・・・“乙女チック”という言葉が一世を風靡大げさ?した気がします)、くらもちふさこ(「いつもポケットにショパン」「天然コケコッコー」など)の諸作品、そしていわゆる24年組が3人まとまって紹介。さすがにゆかりの竹宮惠子関係の展示点数が多い気がします。竹宮惠子(「風と木の詩」・・・こんな有名なのに未読、天馬の一族」等)、萩尾望都(「トーマの心臓」、・・・こんな有名なのに未読、「ポーの一族」等。半神 」の実物大複製原稿?もクリアファイルに入っていて、読めるようになっていました。家に文庫版があるけど、読んでしまった)、山岸凉子(「アラベスク」「日出処の天子」など)です。あれ?、そういえば池田理代子も24年組じゃなかったっけ?

 そして「少女マンガのさらなる発展(1980年代以降)」佐藤史生(「ワン・ゼロ」「夢見る惑星」など)、吉田秋生(「BANANA FISH」「桜の園」等)、岡野玲子(「陰陽師」・・・カラーがきれい!陰陽道の五時・五行や十干十二支、四神などを描いた円の上に「陰陽師」単行本全巻を円状に立てて並べた展示もありました)、CLAMP(「カードキャプターさくら」など。この人たちの作品は全く読んだことがありません。ちょうど「魔法騎士レイアース」アニメ放映時に幼児だった娘は単行本を持っていますが・・・・)、今市子(「百鬼夜行抄」)、よしながふみ(「西洋骨董洋菓子店」など・・・「大奥」しか読んだことがない)  以上の23人の展覧会です。

 コミック版を持っている作品も多かったのですが、コミック版の多くは初出のカラー原画も白黒で印刷されていますし、扉絵などは抜かれているものも多いので、こういう機会にカラーの原画(ダッシュや複製も含めて)を見るとその美しさに驚きます。カラーといえば、多色のカラー原稿が赤黒2色の印刷になるときの色の出方などが分かる展示も興味深かったです。結構見ごたえのある展示でしたし、もう残りの開催期間も短いですが、少女マンガが好きという方はぜひ一度鑑賞する価値が大いにあると思います。

 わたなべまさこの「ガラスの城」、姉が時々買ったり借りたりしてくる週刊マーガレットで時々読んでいました。でも姉イザドラが伯爵令嬢を騙ってマリサをいじめているところまでしか読んでいないので本当は伯爵令嬢なのに、貶められているかわいそうな優しいマリサがどうなったのか、ずっと気になっていました。単行本を全巻読んでいる時間はなかったのですが、途中と最後を読んで、結末は分かりました。分かったけど、やっぱりもっと読みたくなってしまいました・・・また、行こうっと。

 紙芝居もみました。今回は紙芝居作りのワークショップで小学生たちが作った紙芝居を楽しい解説つきで紹介してくれました。面白かった。

 午後は例によって、新風館のTAWAWAでランチをして文化博物館へ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

インディ・ジョーンズ4

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 オリジナル・サウンドトラック  「♪チャンチャチャンチャ~ン♪チャチャチャチャ~ン♪チャンチャチャンチャ~ン♪チャチャチャチャンチャンチャン♪」・・・いまや聞こえるとワクワクして顔がほころんでくるジョン・ウィリアムズ作曲のインディ・ジョーンズ・マーチですが、実は私は20代から30代前半の頃ほとんど映画館に行っていないので、最初のインディジョーンズシリーズのあの熱狂を知りませんなぜって大学に長距離通学してたから、勉強&部活で精一杯。就職してからも往復3時間以上かかっていたし、週1度しかないお休みは体を休めたかったし、デートなどのときも映画を見るよりしゃべったりしてたかったから。ついで結婚・妊娠・出産・育児、仕事も手を抜けず保育所や学童クラブの役員もして・・・となると映画館にはなかなか行けません。

 スター・ウォーズにはまったのもエピソードⅠからです。ちょうどその頃から各地にシネコンがたくさん増えてきて、従来の映画館もきれいになって、トイレの近い私でも気分良く行きやすくなってきたのと、仕事の休みも増えてきたのと、末っ子も映画館でおとなしく見ることができるようになって来たので、映画館に結構通えるようになりました。

 そんなわけで、前3作はビデオ等でしか観ていないんだけど、4作目は製作発表があってすぐの頃からかなり楽しみにしていました。

「インディジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」 スティーブン・スピルバーグ監督 ジョージ・ルーカス製作総指揮&ストーリー&原案

 これも先月ですが、観にいってきました。ハリソン・フォードが演じるインディアナ・ジョーンズは、当たり前ですが、DVDで見る前3作より年齢を重ねています。で・も・老いてはいない。いや、映画の最初の方では、やはり「もはや若くないのか、インディ・・・」とため息が出そうなシーンがあるのだけど、そんな風にだまされかけていると突如として彼は本領を発揮、軽快なインディ・ジョーンズ・マーチも鳴り渡ります。物語上のインディの若さにも増して驚くのが、ハリソン・フォードの若さです。1942年生まれの彼は65歳を越えているはずなのに、全くそうは見えません。暦年齢と体力年齢はずいぶん差がありそうです。すてきですね。

インディジョーンズ/インディージョーンズ ポスター 今作の舞台は、前作「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 」から19年後の1957年、ネバダ州の平原を貫く道路から始まります。軍用車が列を成して走る中、若者たちがからかいながら通り過ぎます。軍用車たちは基地内の立ち入り禁止区域に、制止する兵士を射殺しながら入って行きます。軍用車に乗っていたのは米兵を装ったソ連兵。軍用車の中には捕らえられたインディと友人のマック。ソ連兵のクールビューティーで冷徹な女性指揮官スパルゴ(ケイト・ブランシェット)はインディに、格納庫に隠されたある木箱を探せと命じますが・・・・

 冷戦時代のネバダの砂漠と言えば核実験場、名優ジョン・ウェインのがんの原因にもなったといわれているが・・・ここで核実験を一つのモチーフにしたのはなぜでしょう?インディが核実験から辛くも逃れたというエピソードは、FBIに追われる原因になったという以外にも何らかの意味があるはずだと思うのは深読みのしすぎでしょうか??

 大学教員の職を失ったインディはヨーロッパに行こうとしますが、FBIやKGBに追われます。そこへ昔馴染みのオックスリーが危ういという報を持った見知らぬ若者・マット(シャイア・ラブーフ)がバイクに乗って登場。インディとともに追っ手を振り切るべくバイクで大学街を走るシーンは前半の大きな見せ場です。

 なんとか追っ手を振り切ったインディとマットはオックスリーを助け、クリスタル・スカルの謎を探るため南米へと旅立つ・・・。

 次から次へと息をもつかせぬ冒険の数々。普通のアドベンチャー映画を3本ぐらいに相当する満足感があります。大団円も満足。「続編なんて・・・」と批判的な人もぜひ一度観てみてください。この映画は作られるべくして作られたストーリーだと納得がいくと思います。

 劇場パンフレットにはインディの年譜つき。ヤング・インディ・ジョーンズシリーズのあっさり版の解説にもなっています。

 

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月13日 (水)

映画「西の魔女が死んだ」

 原作を初めて読んだとき、なんとも言えない感動にうたれました。原作者の梨木香歩さんのデビュー作にして数々の賞を受賞した代表作ですね。私の周りには梨木香歩さんの作品が大好きな方がたくさんいらっしゃって、それぞれ好きな作品や新作について語り合ったり、ということをしているのですが・・・とにかく映画の評判は上々です。一人の方などは映画は3回観にいって、清里のオープンセットも見学に行ったとかで、原作を愛する人たちも気持ちが入り込んでしまうすばらしい映画だと思います。私は7月のはじめに観にいったのですが、小さな映画館では立ち見が出るほどの賑わい。われわれも口コミで薦めまくっているのですが、その効果ありなのでしょうか・・・。京都シネマにしては珍しいロングランをしている気がします。

虹 「西の魔女が死んだ」 監督・長崎俊一 原作・梨木香歩

story:中学1年生のまいは周囲にあわせて生きることに疲れてしまい、入学後1ヶ月で学校に行けなくなってしまいました。忙しく働くママからおばあちゃんのところでしばらく生活したらどうかと勧められます。イギリス人だったおばあちゃんのうちは、森の中。その日ママに連れて行ってもらったときも、手作りのパンと庭のキンレンカやレタスを使ってサンドイッチを作りました。ママはまいが眠っている間に帰ってしまい、自然の中でおばあちゃんと二人きりで暮らす日々がはじまります。ワイルド・ベリーをいくつも鍋いっぱいに摘んでゆ~っくり煮込んでジャムを作ったり、森の中を散歩したり、やさしいおばあちゃんとの時間がゆったりと流れていきます。夜、おばあちゃんはまいに「魔女って知っていますか?」と尋ねます。おばあちゃんのうちは魔女の家系だと言って、おばあちゃんの祖母が若い頃、海でさまよう恋人を空間を越えて導いて助けたというエピソードを語ります。それからまいの魔女修行が始まりました。まずは意志の力を鍛えること。それは毎日規則正しくすごすこと。朝はちゃんと起きて、勉強もして運動もして、ちゃんと寝て、自分のことは自分ですること。もちろんおばあちゃんとの生活に必要なこと、鶏の世話をしたり卵を取ってきたりなどなどもちゃんとします。そして・・・

Cast:

おばあちゃん(西の魔女):サチ・パーカー・・・原作のとてもすてきなおばあちゃんを実体化!「おばあちゃん大好き!」というまいに答える「I know」のせりふがとてもいい!彼女の存在だけでこの映画は八割方成功したようなものです。上品で丁寧な美しい日本語。強靭な意思を秘めたまなざし。その話し方、しなやかな物腰があまりにもイメージにぴったりで驚いてしまいました。大女優・シャーリー・マクレーンの娘さんだそうです。親日家の両親によりサチコと命名され、12歳までは日本で生活していたとか・・・どおりで日本語が堪能なはずです。女優になる前はスチュワーデスをしていたんだそうです。映画では70歳近いおばあちゃんのようにも見えますが、実際にはまだ50代になったばかり。ネット上で普通の姿を見るととてもきれいでまだまだお若い感じです。

まい:高橋真悠・・・周囲と折り合いを上手くつけられないところのある少女を好演。本格的な演技が初めてとは思えない良いできでした。

ママ:りょう・・・これまでりょうさんのことはきれいなモデルさんとしてしか意識していなかったので、ちょっとびっくりするぐらいの好演でした。母であるおばあちゃんとの微妙な間の演技はすごい!舞が自分の元の部屋を使うと聞いて慌てて部屋を片付けに行くときの表情、おばあちゃんの訃報により帰省するときの表情、枕頭に駈け寄るときの表情・・・繊細な表情でドラマを感じさせる人だと思いました。

郵便屋さん:高橋克実・・・優しくて楽しい郵便配達のおじさん。原作では覚えがないのですが、コミカルな演技になごみました・・・。

ゲンジ:木村祐一・・・近所に住む朴訥な男。職業不詳。まいにとっては得体の知れない、感じの悪い男。観客にとっても、こいつはどんな男だろう?と思わせられる、すばらしく味のある演技でした。お笑い芸人というより、お笑いもできる料理もできる役者さんという感じです。

 満員の館内ではラスト近くになると涙を拭くしぐさをする人、洟をすする人、嗚咽をこらえている人がたくさんいる様子。もちろん私たちも涙、涙。心の奥底で感動できる映画です。原作が好きすぎると、映画になったときにがっくりすることもよくあるのですが、この映画は、ほぼ原作に忠実に作られていて、大好きな原作が実体を持って目の当たりに現れてくれて感激!という感じです。清里も行ってみたかったけどロケセットの公開が来年1月までではちょっと難しい(T_T)

西の魔女が死んだ 西の魔女が死んだ

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

 映画しか観ていない方は、ぜひ原作も一読されることをオススメします。新潮文庫版には短い続編・・・まいと新しい友達のある一日のエピソード・・・も載っています。

 西の魔女といえば、オズの魔法使いの物語中では邪悪な魔女ということになっていますが、もちろんこの作品の魔女は邪悪には程遠い人です。本編の最後の9ページほどは、何回も読み返したくなりますよ。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月12日 (火)

映画「スピード・レーサー SPEED RACER」と「マッハGoGoGo」

「♫風も震えるヘアピンカーブ、こわいものかとGo!Go!Go!♪・・・」(むしろ「♪かっぜっも~ ふぅるえぇる ヘアピンカァブ~」と表記したいぐらいですが・・・)子どもの時に結構夢中になってみていた、アニメ「マッハGoGoGo」が、あのウォシャウスキー兄弟の監督・脚本・斉作で実写映画化・・・これは観なければ!

Speed Racer [Original Motion Picture Score]  映画「SPEED RACER」観にいったのはちょうど1ヶ月ほど前ですが・・・面白かったです。オコチャマ向けかな?という心配もないわけではなかったのですが、なんのなんの。絵空事が嫌いになってしまった大人には向きませんが、遊び心を忘れない大人には十分楽しめました。レースコースのCGがとてもカラフルでエキサイティングです。

 私たちが行ったときは、字幕版の早朝第1回目の公演だったせいでしょうか、まさに貸切状態・・・・。映画および映画館の行く末はちょっと危ぶまれますが、懐かしい主題歌のカバー曲(英語で「Go Speed Racer Go」・・・と、サビのところを歌っています)が流れてきたとき、思わず口から「・・・♪ホワイトボディ、マッハ号、みんな見てくれ♪・・・・」なんて日本語の歌詞がこぼれてしまっても、誰に迷惑をかけるわけでもなく、ワタシ的には人の3倍ぐらい楽しんでしまったと思います。

エミール・ハーシュ (映画 スピードレーサー) [直筆サイン] story:レーサー家の次男スピードの頭にはカー・レースのことしかありません。小学校のの先生に叱られても、級友にバカにされても、母が学校に呼び出されても、変わることなく夢中になり続けるカーレース。いつかは父パパ・レーサーの設計するレーシングカーに乗り、兄レックスのような花形レーサーになることがスピードの夢です。ところが、ある日兄はレース中の事故で死んでしまいます。レースを妨害する悪質レーサーと言う汚名を着せられたまま・・・・。兄を超えるレーサーになることを目標に成長したスピードは地元のサーキットで猛スピードで優勝、早速大手のスカウト話が舞い込みます。あまりの好条件でのサポート体制に心揺れるスピードですが、家族とともにレースを続ける道を選びます。しかし、その途端、父の仕事も妨害され、レースも妨害されるようになり・・・。

 スピード一家のcast:カッコ内は原作コミックでの名前

 主人公:スピード・レーサー(三船剛):エミール・ハーシュ ・・・キュートです

 その兄:レックス・レーサー(三船研一):スコット・ポーター・・・とってもカッコいい俳優さんなのに、パンフに名前が載っていない、伏せてあってかわいそう

 スピードの父:パパ・レーサー(三船大介):ジョン・グッドマン・・・元レスリングのチャンピオン、原作では合気道二段

 スピードの母:ママ・レーサー(三船アヤ):スーザン・サランドン ・・・レーサー家はお母さんがいるからこそ生活していけるという感じですね。

 スピードの弟:スプライトル(三船クリオ):ポーリー・リット ・・・食いしん坊のいたずらっ子、カシコいチンパンジーのチムチム(三平)がペット

 スパーキー(サブ):キック・ガリー:レーサーの工場で働く名メカニック。ホテルに忍者見たいな悪者が忍び込んだときの彼の言動がコミカルです。原作ではサブと剛は親友という設定ですが、映画では年齢差がありますね。

 トリクシー(志村ミチミッチー):クリスティーナ・リッチ・・・スピードのガールフレンド。ピンクのヘリコプターでスピードのレースをサポートする行動的でチャーミングな女の子。原作でもあの時代に航空機会社のお嬢という設定とはいえ、ヘリを操縦して剛を助けるモダンな少女。

文字通りの悪役Cast:

 ローヤルトン:ロジャー・アラム・・・巨大自動車企業の総帥。自動車レースを操り、業界を操る黒幕。善人の仮面の下に潜む、チラッと見せる下卑た表情、そしてがらっと変わる態度・・・役者ですねぇ

 ミスター武者:真田広之・・・トゴカーンモーターズを買収するためにローヤルトンと密約。真田さんこんな役で出てたんだ~~いつ見てもCOOLですが、できればAction俳優らしいシーンも見たかった・・・。

 クランチャー・ブロックジョン・ベンフィールド:ローヤルトンに雇われて八百長レースを仕切るギャングの親玉。テジョ・トゴカーンもブロックに雇われてレースで不正をしていた 

その他のCast:

 テジョ・トゴカーン:Rain、ミスター・トゴカーン:伊川東吾、ハルコ・トゴカーン:Yu・Nan・・・トゴカーン・モーターズは日系企業なのか韓国系企業なのか??わざと暈した命名なのかなぁ??

 レーサー・X (覆面レーサー):マシュー・フォックス ・・・ローヤルトンの不正を暴くために、悪名を着て正体を隠して危険な覆面レーサーとしてレースに参加

 ディテクター警部:ベンノ・フュルマン ・・・レーサーXとともに自動車レースの不正を暴こうとしている

 ベン・バーンズ:リチャード・ラウンドトゥリー ・・・レーサー一家の憧れの往年の名レーサー

スピード・レーサー(SPEED RACER)ポスター  

 カーレースを思いのままに動かそうとする巨大企業ローヤルトン工業の巨大なオフィスの通路では、セグウェイが移動手段になっているなど、才能のある子どもの思い切り自由な空想画を見ているようでとても楽しいです。レーシングカーの機能や形状、サーキットの様子、ラリーの道のりやレースの状況など極彩色の夢の中にいるみたいでワクワクするばかりです。レーシングカーたちの奇想天外な機能にも目を瞠ります。危険なレースのシーンなどはこんなに現実離れした映像の中にいるにもかかわらず緊迫感がありますし、アクション映画が好きな人も、SFが好きな人もどちらも楽しめるんではないでしょうか??スピードの弟スプライトルとチムチムが思いもかけないところで顔を出して笑いを誘うのも巧い演出だなあと思います。人気が出たら続編製作予定なのだと聞きました。マトリックスほどにはヒットしていないようですが、アニメで結構続いたストーリー、まだまだ続編製作可能なはずですし、この荒唐無稽なレースをもっと楽しみたい気がします。

 パンフレットにはマッハ号のペーパークラフト型紙付です。

マッハGo Go Go 1  /吉田竜夫/著 [本] マッハGo Go Go 1 /吉田竜夫/著 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

マッハGo Go Go 2  /吉田竜夫/著 [本] マッハGo Go Go 2 /吉田竜夫/著 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

 映画の公開にあわせて、原作コミックが復刻されていたので早速買って読みました。面白いです。全然色あせていないと思います。インカの遺跡の中でラリーをするなど、荒唐無稽さはコミックのほうも中々のものですが、全編にヒューマニズムが漂っていて好感度大です。でもレースのドキドキハラハラ感はやはり映像に譲りますね。映画版のストーリーはウォシャウスキー兄弟オリジナルのものなんでしょうか・・・、ストーリーが二転三転として先が簡単に読めるようでそうはいかない・・・という面白さがあります。今度はノベライズ版を読んでみようかと思います。

マッハGo Go Go 2 Book マッハGo Go Go 2

著者:吉田 竜夫
販売元:ゴマブックス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 原作を読んだので、今回改めて、ガッチャマンや宇宙エースも、吉田竜夫、タツノコプロの作品だと言うことを認識しました。アニメのDVDBOXも発売されているんですね。観たいなぁ・・・。

[DVDソフト] マッハGO GO GO DVD-BOX [DVDソフト] マッハGO GO GO DVD-BOX

販売元:Bサプライズ
楽天市場で詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 9日 (土)

夏も「ウエストサイド物語」

 先日も京都劇場へ劇団四季の「ウェストサイド物語」を観にいってまいりました。5回目です。今公演ではもう観る機会はなさそうですが、一応スタンプカードだけは押してもらってきました。

2008年8月初旬のキャスト
【ジェット団】
リフ 松島勇気
トニー 福井晶一
アクション 西尾健治
A-ラブ 大塚道人
ベイビー・ジョーン 厂原時也
スノーボーイ      澤村明仁
ビッグ・ディール    萩原隆匡
ディーゼル       キム スホ
ジーター        丹下 博喜
グラジェラ 恒川 愛
ヴェルマ        村上 智
クラリス         駅田郁美
ポーリン        ソン インミ
ミニー          荒木 舞 
エニイ・ボディズ 石倉 康子
【シャーク団】
マリア 苫田亜沙子
アニタ 団 こと葉
ロザリア 玉井 明美
コンスェーロ      加藤久美子
テレシタ        泉 春花
フランシスカ      室井 優
エステラ        高橋亜衣
マルガリータ      撫佐仁美
ベルナルド 望月龍平
チノ 畠山典之
ぺぺ          水原 俊
インディオ       神谷 凌
アンクシャス      徳永義満
ファノ          佐藤雅昭
ニブルス        斎藤洋一郎
おとなたち
ドック 石原義文
シュランク 勅使瓦武志
クラプキ 荒木 勝
グラッド・ハンド 丹下 博喜

 今回は、ワタシ的に、ですが、「ウェストサイド物語」公演のなかでは初めてお目にかかったキャストの方が多かったです。上の表で、薄い水色のバックになっている方が、そうです。ドック役の石原さんはドックでは初めてですが、クラブキの役で拝見したことがあるので薄いグリーンで。逆に2月・3月・4月・5月・8月、私が観た5回の公演すべて同じ方だった場合の枠は薄い黄色がついています。松島さんと澤村さんは5回とも出演されていましたが、それぞれ、ベルナルドとA-ラブに扮しておられたときにも拝見しているので濃い黄色に分けてみました。濃淡の黄色をつけた方々は、私が観た時に限らず今公演出ずっぱりでいらっしゃるのでしょうか?底冷えのする京都の冬から例年よりひときわ暑い京都の夏(この夏、出張で南紀と関東に行ったけど両方今日と比べたら朝昼晩いつでもすごしやすくて涼しかった)という厳しい半年間を、健康でお元気に過ごしておられることにさすがはプロの役者さんと尊敬の念を覚えずにはいられません。若干皆さんお痩せになられたような気がしないでもないのですが・・・。どうぞ今後もお体にお気をつけて

 さて、舞台&キャストの方々に対する感想です。

 福井晶一さんは2002年~2003年の大阪キャッツでは、私が観にいった時にはいつもマンカストラップ。リーダー猫にふさわしい歌と演技だったので、トニーを演じられるのも楽しみに観にいきました。ラダメスでも観たかったのに1度も出会えなかったのです。とってもレアな友石ラダメスも観たのにねぇ・・・。福井さんトニーは予想通り、歌が上手くて少年役の人たちのリーダー的存在・・・一足先に不良少年を卒業した風情、みんなのお兄さんと言う雰囲気がよく出ていると思いました。今回私が観た3人のトニーの中では一番キリリっとした感じですね。でも、本来こういうトニーなら、リフにジェット団への一時的な復帰を頼まれても、マリアに決闘の制止を哀願されても、明日いは過ちを犯した後の警察への出頭を止められても、毅然と断ると言うか、自分の信念をもって説得するような気がしますが・・・。そういう意味では鈴木涼太さんのトニーのほうが優柔不断さが漂っていて、悲劇へ向かう道筋が理解できた気がします。

 苫田亜沙子さんは地元の京都芸大出身ということで、関西公演にはよく出られるような気がして、親しみを感じます・・・。可愛らしくて、ティーンエージャーのマリアにピッタリだと思いました。特に「すてきな気持ち I Feel Pretty」が可愛くて良いですねぇ・・・。トニーの最期の時の「Somewhere」も涙を誘われました。

 松島さん・西尾さん・澤村さん・萩原さん・恒川さん・団さん・・・などおなじみの方々は長丁場をすばらしいダンスと歌と演技で毎回魅了してくれました。特に松島さん、西尾さんらのカーテンコールのパフォーマンスはとても楽しい気分にしてくれますね。

 望月さんのベルナルド・厂原さんのベイビー・ジョーンは、同行の娘にとっては初めて観る配役。帰りに「どうだった~~??」と聞いてもはかばかしい返事なし。え~っ・・と思っていたら、翌日、観劇直後は感激の余韻を噛み締めていたので口をききたくなかったとのことでした。厂原さんは本当に少年に見えますものね。

 チノの畠山さんはまじめでやさしそう。民族差別を受ける環境でなければ好青年、ベルナルドが妹の恋人としてイチオシにしたい男だという雰囲気が伝わってくるような気がします。

 ロザリアの玉井さんも、コンスェーロの加藤さんも初めての方ですが、良い感じでした。特に私は、加藤さんの目も口も大きめのはっきりした美貌に目を奪われました。加藤久美子さん、もっともっと活躍してもらいたい役者さんだと思いました。

 石原さんのドックは暖かいお父さんと言う感じ。シュランクの勅使瓦さんはハードボイルドを気取った悪徳刑事ぶりでした。

 何度目かのカーテンコールの終わりには、舞台上にクラブキの荒木さんのみ居残り。ちょっとしたおどけた表情やしぐさの後、舞台の上手側・下手側の上方を警棒でさして警笛をピッ、ピッ!幕が下りてきて、アンコールの拍手もおしまいとなりました。

 今回は「ウェストサイド物語」では初めて舞台に比較的近い席。どのぐらい近いかと言うと、軽い近眼だけど車は裸眼で運転できる私が、メガネをかければドックの店のマガジンラックの中身が見えるという程度。「LIFE」と「POST」が何冊か、ディズニーの「チップとデール」、ベイビー・ジョーンが読んでいるのとは違う「スーパーマン」などがありました・・・。こんな細かいところにも凝っているんですね・・・雑誌の表紙などはちゃんと往時のものを模して作ってある(時代考証されている)んでしょうか??前方の席だと、役者の方の飛び散る汗や唾液まで見えて、舞台にかける熱情や息吹のようなものが如実に伝きてイイですね。

 そして初めて「ウェストサイド物語」作品セミナーなるものにも参加させてもらいました。こういう会員向けイベントの経験は、「コーラスライン」のリハーサル見学会のみ。そのときも年末年始の休みを後に倒して参加できたのですが、今回もお盆休みの一部を前倒しして・・・という感じ。普段はとても平日昼間のイベントには参加できません。子どもは次世代育成事業関連だったかの何とかセミナーに参加させてもらったことがあるのですが・・・。会員のみのイベントでなくてもいいから、たまには勤め人向けにソワレ終演後のトークショーなども企画して欲しいなぁ・・・。

 作品セミナー、面白かったです。役者さんたちの個性的なお話も楽しかったけど、豆知識が増えたし、役者さんたちが色々なことを学んで役作りに資しておられるのがよく分かりました。この作品豆知識の部分だけでも「ラ・アルプ La Harpe」に掲載してくれたらうれしいんだけどな。6回全部行けた果報者がそう多くはいると思えないし、知っているのと知っていないのとでは作品鑑賞の面白さがずいぶん違うから・・・抜粋だけでもいいので載せてほしいなぁ。。もっと早い段階で掲載してくれていたら、その場面を確かめにリピートしたくなる人が増えていたはずだと思うんだけど!
 司会役として登場したのは丹下博喜さん。前4回は川口雄二さんが司会をやっていたそうで、・・・てことはグラッド・ハンド役の人が司会をすることになっているんでしょうか?丹下さんを見たとたんエディ役で出演されていた「マンマ・ミーア」が思い出されて・・・あぁ「マンマ・ミーア」もう一回観た~い!と思ってしまいました
 他には、望月さん・団さん・畠山さん・玉井さん・斎藤さん・室井さんの登場です。この日のテーマはシャーク団。これまでのテーマは何だったのでしょうか?気になります。やっぱりアルプに掲載して欲しい。抄録でもいい。

 丹下さんの司会がなんだかしどろもどろになりがちで、すぐに望月さんが場を仕切ろう、仕切ろうとして、余計に混乱・・・という予期せぬ面白さもありました。二人ともたくまざるユーモアの持ち主です。望月さんは素でもリーダータイプなんですね。あとは団さん。素顔の団さんは可愛くてよくしゃべる。ほんまに可愛いねんけど、さすがに関西出身と見えて、ただしゃべるだけでなく話にオチをつけようとしているサービス旺盛な感じでますます好きになりました。
 作品セミナーの主な話題は、アメリカのスタッフの方々に教わったという、作品の表面だけ見ていてはなかなか気づかない設定についてのようです。
 まずは、望月さんからジェット団とシャーク団の違いとして、プア・ホワイト出身のジェット団の子どもたちは家庭的な問題を抱えていて、不良化、集団化してギャングになった。一方シャーク団の子どもたちは、人種差別による阻害の中で自分達の身を守るために身を寄せ合いギャングになった。家庭的には何の問題もなくて、血のつながりを大切にしている・・・というような趣旨の説明がありました。血のつながり:チノつながりということで話は畠山さんにふられます。チノはベルナルドたちのいとこなのだそうです。幼い頃からいっしょに育ってきた身内なので、マリアは「チノになんかなんにも感じないわ」と言うのですね。体育館のダンスパーティーでは、チノとロザリアはマリアのお目付け役。なのでダンスの間ず~っとマリアから目を話さないはずだったのに、つい二人とも白熱するダンスに夢中になってしまって・・・、その隙にマリアとトニーは目が会って惹かれあってしまったのでした・・・。ということは・・・「二人のせいで僕は死んでしまうのか!」と望月さん。団さんも全面賛同して、二人のせいだと非難。「じゃぁ今夜は二人に注意していれば、死なずに済むかもしれない」という望月さん。笑ってばかりの客席。
 斉藤さんのニプルスという役は、その役がないバージョンもあるのだそうです。シャーク団の中では後からの移民で、だからプロローグのシーンはシャークとジェットとの1ヶ月間の抗争(最初はベルナルド一人で、だんだん仲間が増えていく)の中でも、最初のほうは出てこないし、仲間からも「誰だ、あれは?」みたいな目で見られるシーンもあるのだとか。
 室井さんは私はフランシスカでしか観たこともないのですが、「アメリカ」のシーンでいつもロザリアの近くにいるマルガリータ役でも出ておられるらしく、マルガリータはロザリアの味方になってあげる役柄なのだという説明でした。
 そしてロザリアは、実はコンスェーロの恋人・ペペに思いを寄せているそうです。だから体育館のダンスのシーンでは一生懸命ペペを見て、自分をアピールしているのだとか。その後の本番の時、いつもは素敵なダンスにばかり目を奪われているところを、ちょっとロザリアに注目すると、まさに説明してもらったとおり。やっぱり豆知識があるのとないのとでは舞台の楽しみ方がずいぶん変わってきますね。
 「アメリカ」のシーンの直前に、アニタがベルナルドからその長~い本名を呼ばれる(長すぎてエトセトラ・エトセトラと略されていますけど)シーンがありますよね。そのシーンについて、団さんがスペイン系の名づけの仕方を説明してくれました。役作りのためにはいろんなことを学ばれているのですね。父系と母の父系を結合する姓の名のり方やピカソの長い名前の話は結構有名ですが、そこまでいろんな人の名前を盛り込むのは一般的だとは知らなかったので、興味深く感じました。長い名前を呼ぶベルナルドの心境も私にとっては想像に近いものでしたが、改めて時代性を説明してもらって、娘には良かったようです。
 映画版との違いとして軍事会議後、シュランクに追い出されるシャーク団がアメリカ国家を口笛で吹きますが、映画版ではイギリス国歌。なんでイギリス国歌かというと、自分らも移民だけど、もとはお前たちも同じ移民だろ!という気持ちが込められているのだとか。この説明の時には二階席から口笛の演奏が聞こえました。どうやら西尾さんだったようです。一斉に後ろを振り向く受講者たちに、僕たちのほうを向いてとアピールする望月さんが可愛かったです。
 質問コーナーも楽しく、(望月さんがやたら読書読書と言っておられたのですが、『本は10冊同時に読め! 』を実践しているとか・・・。実際に読書好きなのかもしれませんが、要は売店で売っているブックカバーをPRしているようでした)全部紹介したいのですが、あまりに長くなりすぎましたのでこのあたりで。
 最後に一つだけ。玉井さんへの質問で、その美貌を保つ秘訣は?というのがありました。玉井さんは「何にもやっていませんが・・・」と前置きして、高木美果さんから教えてもらっている方法として卵パックなるものを週2~3回しているそうです(玉井さんと高木さんはおうちをシェアしているようですね)。説明しあぐねている玉井さんのあとを団さんが引き取って卵パックの説明をしてくれました。またその説明が身振り付で楽しい!卵白を電動ミキサーであわ立ててそれで洗顔。卵黄はレモンとか蜂蜜とか色々混ぜてパックに。これだけやって、「『何にもしてない』ってことはないでしょ!」的なツッコミも楽しくてよかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 6日 (水)

「スカーレットピンパーネル」原作小説

 星組公演の「スカーレットピンパーネル」がとても面白かったので原作も早速読んでみました。(公演の感想はここここです)

集英社文庫の新訳版です。翻訳は小川隆さん、解説は山崎洋子さん(この人の翻訳したジュブナイル版の『紅はこべ』もありますね)で、小池修一郎さんと仕事をした経験から宝塚版のミュージカルへの期待を書いておられます。

スカーレット・ピンパーネル―新訳 (集英社文庫 オ 4-1) Book スカーレット・ピンパーネル―新訳 (集英社文庫 オ 4-1)

著者:バロネス・オルツィ
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 アレクサンドル・デュマなどの西洋の歴史時代活劇が好きな方にはオススメの本です。ホントに、私自身これまで色々な人に「『紅はこべ』は面白いよ」と薦めてもらいながら読まなかったことを後悔しています。面白い!

 いやしかし、今の今まで読まなかった理由は長くて読み辛そうだったからなんですが・・・いやにスルスルと簡単に読めたとおもったら、やっと気づきました。この版は抄訳なんですね!しまった!!私は翻訳文学は完訳版で読むって決めてるのに(-_-;)失敗です。 う~む・・・。でも、長い小説を読むのが苦手な人・読書の時間が取れない人にはちょうど良い抄訳なのかもしれません。

  この本では1792年9月のパリ、ギロチンがすえられたグレーヴ広場の西のバリケード(ナポレオンが後に建てるの凱旋門の場所)から物語が始まります。

 ミュージカル版とのストーリーの主たる違いは、まず年号ですね・・・。ミュージカル版は「1794PARIS」という曲で始まりますが、1974年と言えばテルミドールのクーデター、ロベスピエールのジャコバン党失脚の年ですから、ミュージカルでのロベスピエールとそのシンパの焦りは当然です。ほかにも

  ・マルグリットがサン=シール公爵の処刑の原因となったことについての動機や事情、その件に関してパーシーが知るところとなった経緯。

  ・ドーヴァーの宿が重要な舞台になっているところ

  ・アルマンがマルグリットの弟ではなく兄であること

  ・マルグリットがアンドルーの手紙を盗み見ようとする動機

  ・パーシーとマルグリットとの関係

  ・ユダヤ人の位置づけ

  ・ショーヴランの人物像、およびマルグリットとの関係

  などなど、大きなものも細かい差異も色々あげられますが、どちらのストーリーも、物語として魅力的であることに変わりはありません。特に小説は女性の筆になるせいか、マルグリットの胸のうちや逡巡がよく描かれています。ぜひご一読を。

 さて、色々な人に『紅はこべ』を薦められながら、長い間手をつけなかった理由はもう一つあります。それは私が『ベルサイユのばら』ファンだから。オスカル様たちが命を懸けたフランス革命、バスティーユの陥落のころの輝かしい革命の成果を、外国人貴族の介入によって損なっていくストーリーはいかがなものか??と思えたのです。実際には恐怖政治のもとでの物語なので、ベルばらに描かれたフランス革命の理想像とは異なってしまった時代だし、続くナポレオンもまだ逼塞している時期なのですが・・・。『ベルサイユのばら』を夢中で読んでいた頃は、たとえば、ヴァンデ聖戦なども知らなかったわけで、歴史は色々な見方が出来るし時代の進み方も一直線ではないので・・・・今は、もう少しフランス革命のことを勉強しなおしてみたくなりました。

スカーレット・ピンパーネル スカーレット・ピンパーネル

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

紅はこべ 痛快世界の冒険文学 (14) 紅はこべ 痛快世界の冒険文学 (14)

著者:永田 千秋,山崎 洋子,B. オルツィ
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 5日 (火)

星組「スカーレットピンパーネル」その2

 とうとう大劇場での公演は終わってしまいました。もう一度見に行きたかったのになぁ・・・残念!本当に安蘭けいさんはコスチュームの似合う人ですねぇ。素顔も美人だと思いますが、コスチュームだと200%美貌がアップするように思います。特に今回の役柄はまさに光り輝いている感じです。

The Scarlet Pimpernel: The New Musical Adventure - Original Broadway Cast Recording  さてミュージカル「スカーレットピンパーネル」はもとはブロードウェーミュージカルだと言うことですが、宝塚版のキー・ミュージックともいえる「ひとかけらの勇気」という楽曲は、オリジナルのブロードウェー版にはなく、作曲者のフランク・ワイルドホーン氏が安蘭さんの声や雰囲気に合わせてあらたに作曲したものなのだそうですね。すると、ブロードウェー版とはかなりストーリーに改変があるのでしょうか??もちろん、宝塚の場合は海外ミュージカルを「潤色」するのが通例だし、私は小池修一郎氏の潤色・演出は秀逸だなぁと思っていつも見させてもらっていますが・・・。ブロードウェー版のCDはあたりまえだけどおじさんの声でいっぱいで力強い感じです。でも「ひとかけらの勇気」が入っていないのが残念な感じ。CDではストーリーの詳細・違いまではわからないように思います(それは単に私の英語力のせい?)

 フランク・ワイルドホーン氏の楽曲はどれも耳になじみやすく、無理な展開がなくて私ごのみです。このミュージカルの中では「ひとかけらの勇気 A Piece of Courage」が歌詞も曲も訴えてくるものが一番ありますので、宝塚版のみの曲と言うのはかなり驚きました。クライマックスで歌われる「栄光の日々 Days of Glory」も宝塚版のために作曲されたものなんですってねぇ。これってすごいことですよね。

Photo ←プチミュージアムに展示されていた「スカーレットピンパーネル」のシナリオです

 ほかに印象的だった曲は「マダム・ギロチン Madame Guillotine」ですね。長年にわたって抑圧されてきた民衆の思いが爆発した・・・エネルギーの感じられる歌とダンスです。終演後も曲が頭の中をぐるぐる回っている感じです。パーシーが貴公子たちにスカーレットピンパーネルの正体を明かして、仲間入りを呼びかけるブレイクニー家の図書室のシーンと続くデイドリーム号の甲板のシーンで歌われる「炎の中へ Into the Fire」は意気軒昂でカッコいい楽曲。宝塚でなければこんなにも眉目秀麗で颯爽とした貴公子を揃えてミュージカルを上演するのはむずかしいのでは?とあらためて思わせられました。パーシーたちが敵の目をくらまそうとする作戦を歌うシーン「男とお洒落 The Creation of Man」はほんとに楽しいシーンです。「あなたこそ我が家 You Are My Home」はラブソングのスタンダードナンバーになっても良い感じ。美しいデュエットです。「謎解きのゲーム The Riddle」はミュージカルの醍醐味的な聴き応えのある楽曲。心の深奥を歌に託した感じです。重唱やコーラスも美しいと思います。

The Scarlet Pimpernel: Encore! (1998 Broadway Revival Cast) Music The Scarlet Pimpernel: Encore! (1998 Broadway Revival Cast)

アーティスト:Original Broadway Cast Recording
販売元:Atlantic
発売日:1999/11/10
Amazon.co.jpで詳細を確認する

↓こんどは楽譜を買ってみようかなと思っています

The Scarlet Pimpernel: The New Musical Adventure Book The Scarlet Pimpernel: The New Musical Adventure

著者:Frank Wildhorn,Nan Knighton
販売元:Warner Bros Pubns
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 4日 (月)

星組「スカーレット・ピンパーネル」

 宝塚歌劇団/ピアノcd: スカーレット ピンパーネル: 星組大劇場公演  昔々のことです。母が若き日に観た映画「紅はこべ」がどんなに面白かったかを語ってくれたことがあります。ネットで調べたら1934年のレスリー・ハワード主演のイギリス映画「The Scarlet Pimpernel」か1950年のデイヴィッド・ニーヴン主演の「The Elusive Pimpernel」かどちらかだと思うのですが・・・本人ももう詳しくは覚えていないようです。

 ともあれ小さいころ母が話してくれたその物語が、宝塚で上演されるというので行きたくて仕方がありませんでした。ところがなかなかいつ観にいけるかの判断がつかなくて、チケットをとりかねているうちに初日の幕が開き・・・半分以上あきらめかけて、前回の星組公演と同様にDVDで我慢しようかと思っていました。しかし!私のまわりでは、原作の魅力に初めて宝塚に足を踏み入れたという人がちらほらいたのですが・・・みんな面白かった・良かったと口々に言うのです。私はもう無理やり休みを作ることにして、始めて前売り以外で宝塚のチケットを取るという経験をしました。そんなわけでものすご~く後ろの片隅の席しか取れませんでしたが・・・とにもかくにもっ宝塚歌劇団星組公演・「スカーレット・ピンパーネル」観にいってきました!(と言っても、2週間前の話です。もう一度観にいきたかったのですが・・・・先週より気管支炎で倒れています。あまりにも咳がひどすぎて、たとえ自分の体力がもっても劇場や映画館では他人に迷惑をかけることになるので自粛です)

 端的に言います。良かった。ストーリーがいい・登場人物が魅力的でカッコいい・俳優さんたちがカッコいいしかわいいしステキ・音楽がいい・歌詞(訳詩)もいい・シリアスな史劇なのに遊び心満載で楽しい・・・褒めちぎってしまうしかありません。

 ストーリー:1794年のパリ。フランス革命は(ベルばらファンにとってはあのオスカル様たちが勝ち取ったはずの自由・平等・友愛を旗印にした)フランス革命は、当初の輝かしい革命の理想よりも、貴族やそのSympathizerに対する苛烈な粛清の嵐が本筋のような様相を呈している。毎日のようにギロチンで処刑される貴族や反革命勢力とされたものたち。しかし、ちかごろ革命政府の恐怖政治とその残虐な処刑に抗するように、貴族たちの国外逃亡がつづいていた。今日も革命軍の兵士たちが荷馬車に貴族が隠れていないかと調べようとするが、荷馬車を御す老女にペスト患者が乗っていると言われて恐れをなした兵士たちはろくすっぽたしかめもせずに通してしまう。この御者こそ、スカーレット・ピンパーネルと名のり、フランス貴族たちをイギリスに助け出す謎の義賊だった・・・・! 革命軍の将校・公安委員のショーヴランは貧しい生い立ちゆえ貴族たちを特に憎み、スカーレット・ピンパーネルを何があっても捕らえようと考えていた。以前革命軍に協力していた女優のマルグリットの弱みに付け込み、反共和派の貴族サン・シール侯爵の居所を聞き出す。苦悩しつつサン・シール侯爵の居所を教えてしまうマルグリットは、イギリス貴族パーシー・ブレイクニー卿との結婚のためイギリスに渉る。パーシーとマルグリットの結婚式、幸せな生活が始まろうという時、パーシーの友人デュハーストが密かな知らせをパーシーにもたらす。サン・シール侯爵が処刑され、その居所を密告したのがマルグリットだというのだ・・・!実はパーシーこそスカーレット・ピンパーネル。能天気な若者は世を忍ぶ仮の姿だったのだ!パーシーは彼と同じような貴公子たちを仲間に引き入れ、今度はフランスの王太子を救出する計画を始めるが・・・。

Le Cing (ル・サンク) 2008年 08月号 [雑誌]  パーシー役の安蘭けいさん、スカーレット・ピンパーネルのときはもちろん、正体を隠して大金持ちのあほな若殿のふりをしているときも、カッコよくて美しくて楽しくてチャーミングです。「Le Cing (ル・サンク) 2008年 08月号 [雑誌] (ル・サンクvol.100」の表紙にもなっているゼブラの衣装もなかなかでしょう(^_^)・・・。しばらく、ダーク・ヒーローばかり続いたということで、明るいヒーローを気持ちよく演じておられるのではないかと思います。

 マルグリット役の遠野あすかさん、理由もわからず結婚式直後に豹変した夫、昔の恋人からの脅迫、夫に言えない秘密、良心の呵責・・・美しい顔と衣装とはうらはらの複雑で苦しい人生・・・凛とした表情やせりふ、苦悩を押し隠した微笑などの表現力とかわいらしさが素敵でした。

 ショーヴラン役の柚希礼音さん、悪役を演じるのは初めてだそうです。どこかの劇評に「色悪」と書いてありましたが、まさにそのとおり。本当に魅了されました。

 パーシーの仲間の貴公子たちを演じるのは、立木遥・涼紫央・彩海早矢・天緒圭花・夢乃聖夏・麻尋しゅん・紅ゆずる・壱城あずささんたち、マルグリットの弟が和涼華さん・・・それぞれ爽やかでキュート。

Photo ←公演ポスターを反射を避けるために斜めから撮りました。構図もとてもカッコいい。自分の表現力・語彙のなさに恐れ入るけど、この公演はなにをとっても「カッコいい」という言葉が自然に出てきます。 民衆たちが世を呪うような「マダム・ギロチン」の歌、革命政府の執拗な追及、スカーレット・ピンパーネルの正体がわかったらショーヴランにつかまって処刑されてしまう・・・。マルグリットの弟・アルマンが公安委員会に捕らえられる・・・など緊迫した場面もおおいのですが、コメディ部分も多いのがこの舞台の特徴です。イギリス王宮で大ふざけのプリンス・オブ・ウェールズ(英真なおきさん)がその筆頭。パーシーがフランスの全権大使として派遣されてきたショーヴランに対して、衣装を貸しましょうかとからかうシーンもなかなかです。聞くところによると、このシーンはアドリブでいろいろな台詞がとびだすのだとか・・・。初日ダイジェストの映像では、大きな羽飾りをつけて・・・と言うような台詞だったようですが、私の行ったときは「ねずみの着ぐるみ」でした。一瞬ディズニーのねずみ?と思ったのですが、次の安蘭さんのしぐさや「チュチュチュチュ」という擬音から思うに、昨年春の「宝塚舞踊詩さくら」の節句人形のシーンを意図しているのかな?? CDもDVDも発売されたら絶対買おうと思っているのですが、別アングル集だけではなく、アドリブ集もぜひつけてほしいものです。とりあえず、テキストのみでもいいです。幕開けから大団円まで、長い舞台ですが一刻たりとも退屈することはなく、寝不足のきわみで行ったのに眠さを感じることもない・・・目をみはるばかりの素敵な舞台でした。

 エル・アルコン-鷹-/レビュー・オルキス(DVD) プチ・ミュージアムは「エル・アルコン/レビュー・オルキス」の特集でした。私は原作者の青池保子さんの漫画のファンなので、ぜひ観にいきたかったのですが日程が取れなくて果たせず、DVDを買って鑑賞、やっぱり舞台で観たかった~~と切なくなるほど出来の良い作品でした。安蘭けいさんも遠野あすかさんも柚希礼音さんも立樹遥さんも・・・、そして星組の皆さんみんなコスチュームがきまってますねぇ。・・・というか、私はやっぱり宝塚はコスチュームものが好きなようです。・・・というわけで、展示されているコスチュームも楽しく見ました。体験コーナーにある大きな剣がとても軽いのにびっくり。

エル・アルコン-鷹-/レビュー・オルキス-蘭の星-[2枚組] エル・アルコン-鷹-/レビュー・オルキス-蘭の星-[2枚組]

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 2日 (土)

映画「奇跡のシンフォニー」

  6月29日に観た映画です。ネタバレを含んでいるので困る方はスルーしてください。今、最も旬な子役俳優といっても過言ではないと思われるフレディー・ハイモア君の最新主演映画「奇跡のシンフォニー」 。

「奇跡のシンフォニー」オリジナル・サウンドトラック「オリバー・ツイスト」の現代アメリカ音楽劇版という感じです。実際、オリバーは田舎の救貧院や奉公先での酷薄な扱い・暮らしに耐えかねて出奔し、都会(ロンドン)に向かい、フレディ・ハイモア演じるエヴァン・テイラー(オーガスト・ラッシュ)は、田舎の養護施設での疎外(何にでも音楽を感じるエヴァンの心・・・もしや共感覚?・・・を理解できない子どもたちからいじめられている)と両親に会いたい一心でニューヨークに向かって出奔しますし、よく似た造型の登場人物も出てきます。特に似ているのが、エヴァンがニューヨークで出会ったストリートミュージシャンのアーサー(レオン・トマスⅢ世)は、「オリバー・ツイスト」のドジャーだし、アーサーたち(孤児か親から虐待を受けている子どもたち?)を古い劇場に集めて面倒を見ながら大道芸人として稼がせ、その上がりを集めているウィザード(ロビン・ウィリアムズ)はフェイギンだろう。もっとも現代ニューヨークが舞台だから、アーサーもウィザードも犯罪者とはいえないし、サイクスのような極悪人もでてきません。

  母の恋愛を祖父が認めなかったこともオリバー・ツイストに似ていますが、彼を救うのは祖父ではなく、ソーシャルワーカーや牧師や少女やジュリアード音楽院の教員たち、そして両親とも再会できる大団円が一番大きな違いでしょうか。音楽に聞きほれすぎて、ひとところに落ち着いていられない、大切なメモを風に飛ばしてしまう。楽譜を教えてもらったら一日中夢中でそれにかかりきり・・・音楽の天才エヴァンは凡人には計り知れない行動パターンがあるようです。

August Rush August Rush

アーティスト:Original Soundtrack
販売元:Sony
発売日:2007/11/13
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 とにかく音楽を聴くだけでもすばらしい!といえる映画です。エヴァンのかかわる演奏はもちろんのことですが、エヴァンの父母のチェロやロック・バンドの演奏もすばらしい。エヴァンが独特の演奏のしかたでギターを奏でるところやオーケストラの指揮、音楽に夢中になる時のほかの要素をすべてそぎ落としたような表情・・・フレディ・ハイモアの演技にも脱帽です。ストーリーはまさに「奇跡」。こういうストーリーが嫌いな人も多いかもしれませんが、まるでおとぎ話が混じったような(お姫様と流浪の騎士の一夜の契りで生まれた子どもが捨てられて、さすらいの苦労の末名をなし、母とも再会する・・・そんな貴種流離譚の流れを汲むと言えなくもない)物語は、私は好きです。

 エヴァンの母・ライラ・ノヴァチェクを演じるのはケリー・ラッセル。ルイスと一夜にして激しい恋に落ちる若き天才チェリストの、いかにも世間ずれしていない一途さを完璧に美しく演じていると思います。

 エヴァンの父でロック・シンガーのルイス・コネリーを演じるのはジョナサン・リース=マイヤーズ。月からやってきたお姫様のようなライラに夢中になる一本気な様子を説得力を持って演じていると思います。ギターを弾いて歌っているときのかっこよさ、ライラを見る目のやさしいこと!素敵でした。

 児童福祉局のリチャード・ジェフリーズを演じるテレンス・ハワードも真摯で真心溢れるソーシャルワーカーを好演していると思います。

 エヴァンがゴスペルに聞惚れて迷い込む教会で暮らしている少女・ホープを演じるホープを演じるジャマイア・シモーヌ・ナッシュの愛らしいこと!

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »