「魔法にかけられて」映画とノベライズ
もうかなり前の話ですね。3月16日、ディズニーのミュージカル映画「魔法にかけられて」 を観にいきました。ディズニーのプリンセスストーリーをセルフ・パスティーシュしながら、アニメのおとぎの国から実写のニューヨークにやってくるお姫様・・・劇場予告編が始まった頃からず~っと観たい観たい、絶対観るぞ~~ッと思っていたのですが、なんといつも行っている映画館では吹き替え版しか上映されていなかったんです。田舎は困るなぁ・・・と、こういうときは哀しくなります。でも遠出するのは辛いし、会員割引の関係もあるので仕方なく吹替え版を見ました。もちろん出演者自身の声で観る方が良いに決まっていますが、吹替え版も敬遠するほどではなかったです。何よりも、人気タレントによる吹替えじゃなくて、ちゃんと歌える声優さんの吹替えだったし、ナレーターの松坂慶子さんの声も落ち着いていて深みがあったし。出演者自身の声によって観るのはDVDで我慢・我慢。
映画館はディズニー・吹替え・・・ときたらちっちゃな子どもだらけ。でも「パロディ」という遊び心たっぷりのこの映画の本当の魅力はおちびさんたちより大人の方がずっと楽しめると思います。
映画では、おとぎの国・アンダレーシアのシーンはアニメで、現代ニューヨークのシーンは実写で描かれます。アンダレーシアにいるときは人物もアニメ。ここは実写の人物がアニメの世界に入っていく「メアリー・ポピンズ」とは違うところですね。アンダレーシアでジゼルはどういうわけだか森に一人で(人間としては。人語を解し、ジゼルを慕う動物たちはたくさんいます)すんでいて運命の王子様と恋をして結ばれることを夢見ています。そこへ魔女である継母・ナリッサ女王の陰謀で、余計なことを考えないようトロル退治ばかりに興味を向けさせられているエドワード王子が通りがかって二人は恋に落ちます。翌日結婚式のためにお城へと向かうジゼルは、老婆に化けたナリッサに井戸(泉?)に突き落とされて・・・深く深く落ちていった先に一筋の光が見えました。その光に向かって顔を出すと、そこはニューヨークのタイムズ・スクエア。異世界へ来たことなど知らないジゼルはお城を探してニューヨークをさまよいますが・・・。
『魔法にかけられて』ケヴィン・リマ監督インタビュー 配給ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン 提供:@niftyコンテンツ |
ジゼルを演じているエイミー・アダムスは30歳を超えていますが、あどけない表情がよく似合っていて女の子にも大人の女性にも見える、ジゼルにぴったりはまり役です。おとぎの国では彼女が歌うと集まるのは可愛い動物たちなのに、ニューヨークでは鳩はまだしもどぶねずみ・ゴキブリ・ハエ・・・こんな動物たちに掃除をさせているシーンは「CATS」を彷彿とさせますね。ディズニー・プリンセスのみならず、他の有名ミュージカルや映画もパロっているのでしょうか?タイムズスクエアのシーンでは、ブロードウェーのたくさんのミュージカルの看板が丁寧に画面に映りますし、ジゼルのもう一人のライバルとも言える役・ナンシーを演じるのは、トニー賞女優のイディナ・メンゼルですものね。ナンシー役の人、どこかで見た顔だけど・・・とずっと疑問に思っていたのですが、四季のCMで何度も観たブロードウェー版「WICKID」のエルファバ役の人だったのですね。ジゼルはニューヨークに来ても、歌と踊りで動物を味方につけ、人間の心も変えていきます。ジゼルがセントラルパークを歌い踊るシーンとても好きです。これもきっと何かを暗示していそうですね。なんだろ?
エドワード王子のジェームズ・マースデンは「ヘア・スプレー」でのクールなラジオ番組MC役も記憶に新しいのですが、実写でも白い歯にキラリと光る◇キラリンなマークを描き込みたいほどの異様なテンションの爽やかさぶり。まっ正直というか直情径行型で、これはうっかりすると上品なガストンに見えなくもないナルシストでもあります。カッコイイ容姿でおとぎの国そのままの行動をニューヨークに持ち込む、とっても面白い役です。
王子の従者・ナサニエルはナリッサ女王に恋をしていて、いいように使われています。ジゼルを暗殺するためにニューヨークに行きますが失敗続き・・・。この役はティモシー・スポール。「ハリー・ポッター」シリーズといい、「スウィーニー・トッド」といい、小悪党な役が続いていますね。
離婚訴訟中のバンクス夫妻というのもメアリ・ポピンズのパロディですね。彼らにジゼルがいうことばやそのことばの効果など、やっぱり子どもより大人の映画、という気がしてきますよ。
この調子だとまたどんどんと長くなりそうなので、もうこの辺にしておきますが、とにかく楽しい映画です。もう一回観たいし、オリジナルの歌声で聞きたい。早くDVD発売してほしいです。
『魔法にかけられて』来日記者会見 配給ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン 提供:@niftyコンテンツ |
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魔法にかけられて (竹書房文庫 ディズニー) 著者:脚本-ビル・ケリー,ノヴェライズ-佐野 晶 |
ノベライズの方は、子ども向けのレーベルや絵本のほかに、竹書房文庫から出ています。読み応えがあるほどのものじゃないけど、映画ではことばになっていないこと(俳優の表情や映像だけで語られているようなこと )が文字で確認できるので、映画をもっと深読みしておきたい人は読んでも時間の無駄にはならないと思います。あぁ、そうだったのか・・・と認識を新たにする場所もありますよ。
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