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2008年5月18日 (日)

花組「愛と死のアラビア」

タカラヅカ・ピアノサウンド・コレクション 〜ピアノ演奏で聴く主題歌&挿入歌〜::愛と死のアラビア/Red Hot Sea先週、11日ですが、「母の日スペシャル」とのことで、自分で自分にプレゼント。宝塚花組の公演に行ってきました。宝塚ミュージカル・ロマン「愛と死のアラビア」、グラン・ファンタジー「Red Hot Sea。「愛と死のアラビア」は先月のコミカルな月組公演とは打って変わって、シリアスな史劇でした。春野寿美礼さん退団は、もう花組を見に行くこともないかなぁ・・・と思っ ていたのですが、題材が興味深かったのと、「母の日スペシャル」のお得感に誘われて。で、行ってみて大正解。誰が何を演じているかなどは吹き飛んで、史劇の世界にどっぷりはまり込んでしまいました。実話に材を取っているのだそうですがとても物語性が豊かで、ドラマティック、私好みのストーリーでした。

 副題に「高潔なアラブの戦士となったイギリス人」とあります。アラビア人とともに闘ったイギリス人というと「アラビアのロレンス」を思い浮かべますが、この物語はそれより一世紀前、1807年のことです。ナポレオンのエジプト侵攻のすぐあとですね。

 幕が開いて冒頭のシーンは、金色の布で表現された砂漠の中でアラブ風の男たちが歌い踊る群舞。次にピラミッドが浮かぶ、古代エジプトをファンタジックに象徴したシーン。真飛聖さんが白と黄金の衣装でホルス神として神々しく登場し、歌い上げます。「愛と死のアラビア」という題名だからなんとなくアラビア半島が舞台なのかなと勝手に思っていたのですが、ここでやっとエジプトが舞台だったんだ~と気づきました。

 1807年、イギリスはエジプトと交戦中。ナポレオンのエジプト遠征から差ほど年数がたっていませんから庶民は疲弊しています。狙撃兵トマス・キース(真飛聖)と軍医ドナルド・マクラウド(愛音羽麗)はほかの捕虜とは別扱いでオスマンの高官の屋敷に滞在。射撃の名手「ハヤブサの目を持つ男」として、敵の兵からも絶賛されるトマスはエジプト太守ムハンマド・アリ(星原美沙緒)の長男イブラヒム(大空祐飛)の眼鏡に適い、弟トゥスン(壮一帆)の率いるベドウィン騎馬隊の訓練将校としてエジプトに仕えるように命じます。敵兵を訓練することに当初は難色を示したトマスですが、フランス将校のデジュリエ(夏美よう)に「エジプトとイギリスとの戦いは孟すぐ終わるだろう、エジプトがオスマンから独立する手助けだと思うとよい」と諭され、アスワンの騎馬隊のもとへと向かいます。トマスは、その卓越した射撃・剣の腕と指導力とを一心に慕ってくるトゥスンと心を通わせ、親友となります。ベドウィンたちもトマスの能力を認めますが、信仰が違うため、せっかくの勇士も死後は神の国にいけないとうわさしあいます。ある日、キャラバンが盗賊に襲われたと聞いて、トマスやベドウィンたちは盗賊を退治します。勝った者は負けた者の持ち物を戦利品としてわけ合うのがアラビア流。トマスはその習慣になじめませんが、とりわけキャラバンの生き残りアノウド(桜乃彩音)という美しい娘と侍女がいるのに驚きを禁じ得ません。庇護する男がいない女性は奴隷になる慣わしなのです。トマスは、彼女らを高価な馬であがない、アノウドには自分は彼女を奴隷とするつもりがないと言います。・・・

 トゥスンは結婚のためカイロに呼び戻され、トマスもカイロに行きますが、そこでは思いもかけぬできごとが・・・。

 とても感銘を受けたので原作「血と砂 上―愛と死のアラビア (1) 」を今朝読み終えました。まだ下巻が丸々1冊残っているのですが、ミュージカルの内容は、ほとんど上巻の途中までのエピソードしか入っていません。もっとも原作にはまだアノウドはまだでてきていませんが・・・。ミュージカルのほうは原作とも史実とも少しずつ変えてあります。宝塚版のストーリーもとてもよかったけど、原作のエピソードをもっと使って2幕もののグランドミュージカルにしてもよかったのではないかなぁ・・・と思うぐらい原作の内容も濃いいです(まだ上巻しか読んでいませんが・・・読み終えたらまた感想をここに書こうと思います)。もっとも、それだと娘役の方々の見せ場が全くなくなってしまってダメですねぇ・・・。ほんまに男役はカッコいい見せ場たっぷりの作品なんですけど。イギリスで映画化されたりしないのかな??

 劇中、宝塚オリジナルの歌のほかに3回トマスがスコットランドの歌を歌うシーンがあります。真飛さんスコットランド民謡を朗々と歌い上げておられて、心に沁みました。スコットランドやアイルランド、そしてイングランドの古い歌は明治以来「蛍の光」「故郷の空」等々日本語に訳されて愛唱されている歌が多いですよね。島国同士何か通じるものがあるのでしょうか?何しろ最近記憶力に信頼の置けない私ですので、勘違いかもしれませんが真飛さんの歌うスコットランド民謡は、はじめに捕虜としてロゼッタでドナルドと無聊を託つているときに歌う歌と終わりの方に牢獄で歌う歌は同じ曲だったように思います。たぶん「ロッホローモンド(Loch Lomond=ローモンド湖)」。太守の後宮で第一夫人アミナ(邦なつき)に「お国の歌を」と請われて歌う歌は「スコットランドの釣鐘草」または「美しき」として知られる「The Blue Bells of Scotland」だと思います。もし間違っていたら申し訳ないのですが・・・。いずれも歌詞は宝塚独自のものであるように思います。

 「The Blue Bells of Scotland」が歌われる場面は原作ではレイディー・ネアン がチャールズ・エドワード(・ステュワート)王子のために作った「乳兄弟」という歌と言うことになっています。レイディー・ネアンは実在の人のようですが「乳兄弟」という歌は本当あるのなら聞いてみたいです。「The Blue Bells of Scotland」の歌詞も結構それっぽい内容ですね。古謡だから著作権問題はないと思うので歌詞を書いてみます。

The Blue Bells of Scotland

 Oh where, tell me where, is your Highland laddie gone?
 Oh where, tell me where, is your Highland laddie gone?
 He's gone wi' streaming banners where noble deeds are done
 And it's oh, in my heart I wish him safe at home

 Oh where, tell me where, did your Highland laddie dwell?
 Oh where, tell me where, did your Highland laddie dwell?
 He dwelt in Bonnie Scotland, where blooms the sweet blue bell
 And it's oh, in my heart I lo'ed my laddie well

 Oh what, tell me what, does your Highland laddie wear?
 Oh what, tell me what, does your Highland laddie wear?
 A bonnet with a lofty plume, and on his breast a plaid
 And it's oh, in my heart I lo'ed my Highland lad

 Oh what, tell me what, if your Highland laddie is slain?
 Oh what, tell me what, if your Highland laddie is slain?
 Oh no, true love will be his guard and bring him safe again
 For it's oh, my heart would break if my Highland lad were slain

 「蛍の光」を作詞した稲垣千頴という人の明治時代の訳詞も参考までに

美しき(うるわしき)

 美しき わが子やいずこ
 美しき わが長(かみ)の子は
 弓とりて 君のみさきに
 勇みたちて わかれ行きにけり

 美しき わが子やいずこ
 美しき わが中(なか)の子は
 太刀はきて 君のみもとに
 勇みたちて わかれ行きにけり

 美しき わが子やいずこ
 美しき わが末(すえ)の子は
 ほことりて 君のみあとに
 勇みたちて わかれ行きにけり

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コメント

はじめまして。私もこの作品を観劇させていただきました。

最後に歌われる「ロッホ・ローモンド」は、大阪市が職員に残業のしすぎを告げるテーマソングに採用されたそうです。
優しいメロディーで、温かい我が家に帰りたくなりそうです。

投稿: ひょうたん | 2009年10月 9日 (金) 20時06分

ひょうたんさん。はじめまして。ご訪問いただいてうれしいです
スコットランド民謡のメロディってなにか懐かしいものを感じさせられますよね。
 「愛と死のアラビア」は原作もとっても面白かったので、秋の夜長の読書にぜひぜひどうぞ。
 

投稿: えくれーる☆ | 2009年10月 9日 (金) 21時20分

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