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2008年5月25日 (日)

映画「カスピアン王子の角笛」

 観て来ました!昨日。待望の「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛」です。なんだかカスピアン王子役のベン・バーンズのカッコイイ容姿ばかり誇張されているマーケティングぶりが気になっていたのですが・・・。

【直筆サイン】 ベン・バーンズ (ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛) ポスター・チラシから映画雑誌の表紙にいたるまでカスピアンことペン・バーンズくんの勇姿ばかり。ペベンシー兄弟はすっかり脇に追いやられていますが、これはファンタジー映画にもっと若い女の子に来てもらうための策略でしょうか??

 映画の出来はよかったと思います。もう息をもつかせぬ面白さとはこのことかと思いましたね。2時間40分近くもある映画とは思えないぐらいあっという間に時間がたって、出て来たとたんにもう一ぺん見たくなりました。

 原作を何十回も愛読している私にもほぼ納得の出来です。予告編にもあったロンドンの駅からナルニア国に呼び戻されていくシーン、映像化というものはこうでなくては!と思わされました。もちろんナルニア国でのスペクタルなシーンも圧巻です。たくさんのナルニア人たちが戦死していくのは・・・とりわけ谷あらしの息子の若いセントールなどは・・・フィクションだ、ファンタジーだと分かっていても悲しいものでしたけれども・・・(でもナルニア国的にはあとで「まことの国」で会えるはずなのだから・・・と思いながら見ました)。

 しょうろとりのアナグマさんは考えていたよりも小柄な感じ。勇敢なねずみのリーピチープとその仲間たちはとても可愛い。イメージどおりです。スーザンとルーシーがトランプキンをこっそり呼ぶ呼び方の字幕が岩波書店の翻訳のとおり「オ・チ・カ」だったのも嬉しかったです。まぁ、原作にないシーンがいっぱいあるのは、映像的な面白さを狙うと仕方がないのかな・・・、という感じがします。ニカブリクと白い魔女のシーンは映像ならではの緊張感ですね。

 「ライオンと魔女」の時代からロンドンでは1年たち、ピーターは少年から青年への成長の途中で足掻いています。ピーターの登場シーンは地下鉄の駅での大勢を相手にしたケンカです。なにしろ彼は一度はナルニアで王として青年に成長しているのに、戦時下のロンドンでは無力な少年扱いをされているのだから荒れるのも無理はない感じです。そのせいかナルニアに帰った彼は、王としての責任と共に、実力を誇示したい衝動にも駈られているようです。少し年齢が上の設定のカスピアン王子にも対抗心を隠せません。スーザンもロンドンでは同年代の男子生徒に声をかけられても煩わしそうに「一人が好きなの」と偽名を告げてしまいます。ナルニアに戻ってきても嬉しいには嬉しいけれど、やっと現実世界に慣れてきたところだったのに・・・という戸惑いを口にしています。年長の二人に比べれば、エドマンドやルーシーはどちらの世界にもずっと溶け込みやすいように見えます。エドマンド役のスキャンダー・ケインズは前作よりもずいぶん背が伸びて、心身ともに成長したエドマンドを体現しています。熱くなりがちな兄を冷静沈着にサポートする時の表情が良いです。ルーシーは相変わらず純真で一番アスランを信じています・・・。でも兄弟たちの仲で一番小さいので敢えて自分の意見を通すことが出来ません。映画は原作よりもペべンシー兄弟たちの成長の葛藤、特に年長の二人の順応の困難さがよく描かれていると思います。

 納得できないのはカスピアン王子です。演じるベン・バーンズはとってもイケメンです。プリンスという役柄にぴったりの容姿ですし、役者としても良い仕事をしていると思いますが・・・。原作のカスピアンは少年です。ティーンエイジャーになったばかりで、ピーターよりも幼い、庇護してあげなければならない存在です。パンフレットによると、アンドリュー・アダムソン監督は原作どおりのカスピアン王子だと、最後に国を託されるのに13歳ぐらいでは若すぎるから・・という理由で青年を起用したようです。だけど、ベン・バーンズは20代半ば。十分大人です。コルネリウス博士にこっそり逃がしてもらうには情けなすぎる・・・。そんな事態まで手を束ねているだけやったんかいな、王の器量があるとは思えへんな、と思ってしまいます。作戦に従わず仲間の命を危険にさらしてまで叔父の寝室に忍び込んだのに、父の仇を討てなかったり、一対一の決闘という出番もピーターにおまかせでは、あまりに頼りなさ過ぎる、凡庸な男に見えて違和感を感じます。せめて年齢設定をピーターと同じぐらい・・・10代後半ぐらいに持っていかないと、最初のカスピアンの言動の幼さと、その後の成長に説得力がありません。カスピアン王子の父・叔父・叔父の子の年齢関係を考えると・・・、やはり20代半ばの青年王子ではあかんでしょう。ミラースも大人になるまで王子を生かしておくとは、簒奪者にあるまじき失態だと思えてしまいます。白い魔女も青年王子には誘惑の仕方を変えなくっちゃね。

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 とはいえやっぱり私もベン・バーンズくんの魅力は否定できません。表紙を見て「ムービー・スター」6月号も即買いです。インタビューも読みました。しかしこんなにカッコいい王子だからこそ、20代半ばまで、危険な男・ミラース王のもとでいったい何をやってたんだ?王の息子が生まれるか生まれないかの日にどうして安眠していられるんだ??と余計に疑問が。

 映画は良い、5つ☆。俳優も良い、5つ☆。ただカスピアンくんの年齢設定に疑問が残る一作でした。カスピアンが世界の果てに航海する第3作「朝びらき丸東の海へ」にもべん・バーンズは出演契約しているようです。これも、異世界を旅する驚きや恐怖も原作ではまだ少年王のカスピアンだから可愛らしく見える、エドマンドやルーシーの助けが本当に必要だと思えるのですが・・・。若い王とはいえ立派な大人のカスピアンが、リーピチープや子どもたちの助けを借りるのが違和感を感じられないようなつくりにしてほしいものです。カッコイイ容姿のカスピアンが頼りなく見えないように。ナルニア国物語、原作も映画も大好きです。7部作全部見たいのですが・・・無事全部映画化されるのでしょうか?7部作は時系列に沿っていないので・・・次からはピーターとスーザンは出ないけど、そして4巻目からはエドマンドとルーシーも出ないけど、最終巻だけはまた4兄弟が揃うんですよね・・・。子役たちの成長に製作が追いつけるのかしら?3部作でいったん打ち切りなのかな?心配です、いろいろと。

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