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2008年4月20日 (日)

小説のコミック化・・・

 最近ではちょっとおもしろい小説や話題になった映画などは、あきれるぐらいすぐに漫画化(コミック化)されますね。これはどういう現象なのでしょうか?マンガを読む人のうち実際に映画を観たり原作小説を読んだりする人の割合はどのぐらいなのか。同じ作品に小説から入る人とマンガから入る人、どのぐらいの差があるんでしょうか?またその年齢層は???などなど、誰か分析してくれないかなぁ。

 私自身は活字の本を読むのも、マンガを読むのもどちらも大好きなんだけど、やはりマンガの方が1冊を早く読み終わるし、お手軽、疲れたときの娯楽という側面が強い気がします。活字を読むのがしんどいほど疲れたときや、暗いところで読むときなんか絶対マンガを選びますね。だけど、この「コミカライズ」の大流行が、若い人たちが活字の本を読まずにマンガだけで済ませてる風潮に拍車をかけるのならちょっと問題です。だって、文字だけを追っていくより、絵でかなりのことを語ってくれる漫画の方が、明らかに脳は楽です。色々なことを想像力で補う必要がないから・・・。マンガが文芸作品への足がかりになってくれたらいいのに、と思いますが、まぁ無理でしょうね。かく言う私だって名作の漫画家をしたものに感動したからといって、即、その名作には結びつきませんもの。むしろ映画やドラマの方が原作を読みたいという気持ちが強くなります。

 とまぁ、堅苦しい書き出しになりましたが・・・。実はこの前から、私の好きな文芸小説のマンガ版を、続けて3冊と、名作のコミック化を2冊読みました。名作のほうは・・・原作が未読なのでなんとも言えませんが、文芸小説が原作の3冊は、小説とはまた別個の魅力があり楽しめました。

 長くなりますが、読んだ時系列の逆順に紹介します。

図書館戦争(第1巻)  『図書館戦争』 ① 弓きいろ著 有川浩原作 白泉社 花とゆめコミックス

 マンガを描いているのは新人さんのようですが、絵柄もキレイで、なかなか私好み。さすが「LALA」。今でこそ買わなくなったけど、私は創刊号から20年以上も「LALA」の愛読者だったんです。今も娘が買っているコミックスで「LALA」連載のマンガを楽しんでいるのです。つまり「LALA」には今でも私好みの作品が多いってことかなぁ。
 本編を補うように入っているギャグテイストの4コマや、ワンシーンのカットがとっても楽しくて秀逸なカンジ。顔立ちや表情も原作と照らして納得できるし、特に郁の王子さま発言に反応する堂上の照れくさそうな困り顔が良いと思います。副題は「LOVE&WAR」だし、帯の裏表紙に「王子様を探せ…!!」とあるし、かなり少女漫画よりにシフトされたコミカライズです。でも戦闘シーンなどアドベンチャー小説的な要素を横に置けば、おっちょこちょいな主人公に憧れの君、美男美女の同輩に優しい先輩、ほのかな恋心のゆらぎ。主人公はがんばっているんだけど、どこか抜けていて失敗も多い。コンプレックスでいっぱいになりながらも周囲に支えられてがんばる・・・・等々。『図書館戦争』って意外と正統派の少女マンガ的ストーリーを踏襲しているんだと、改めて認識し直しました。

 これは早く続きが読みたくなって小説を読むというケースもありうるかな・・・・、と思いました。 

図書館戦争LOVE&WAR 1 (1) (花とゆめCOMICS) Book 図書館戦争LOVE&WAR 1 (1) (花とゆめCOMICS)

著者:弓 きいろ,有川 浩
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風が強く吹いている(1) 『風が強く吹いている』① 海野そら太漫画 浦しをん原作 集英社 ヤングジャンプコミックス

 少年漫画。青年漫画はほとんど読まない私ですので、絵柄になじめるかが心配だったのですが、大丈夫でした。灰二や走の髪がなんだか長い気がしますし、走の顔がちょっとコワイ気もしますが、力強い線が魅力的なのかなとも思います。ジェットコースターのような『図書館戦争』に比べるとちょっとストーリー展開がゆっくりかなとも思います。今後トレーニングシーンや実際に箱根を走るシーンなどがどう描かれるのか、無理やり駅伝をさせられることになった面々の表情がどう変わっていくのかが楽しみです。しかしこの作品は明らかに原作に分があるような気がします。でも、ここは私好みに少女漫画風美青年が走っていたら違う感想になるのかもしれません。

風が強く吹いている 1 (1) (ヤングジャンプコミックス) Book 風が強く吹いている 1 (1) (ヤングジャンプコミックス)

著者:三浦 しをん,海野 そら太
販売元:集英社
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 一瞬の風になれ 1 (1) (少年マガジンコミックス) 『一瞬の風になれ』 ① 安田剛士漫画 佐藤多佳子原作 講談社刊

 「一瞬の風になれ」は3月の終わりに、TVドラマでも連続放映されましたね。我が家では「走り方がなってない」「ハードルウォークで訓練しろ~!」等々非難囂々。確かに顔立ちもスタイルもカッコいいんだけど、走るのは素人目に見ても100メートル12秒台も無理、全中優勝はおろか高校県大会での好成績さえとんでもない感じでした。「なんでいつでもジャニーズを使うんや?!」「陸部経験のある俳優はいいひんのか?!」と子どもは怒っていましたが、まぁ、タレントさんがほんまもんの選手のように走れないのは仕方がない、とは思います。でも、他の役でも役をこなすための練習をこなすのと同様に、たとえ見かけだけでももうすこしさまになる走り方を教えてあげたらよかったのにと思いました。・・・放送に使う分だけでも体が撚れないように撮ってあげるとかはできないものなんでしょうかねぇ・・・。ラマに比べると、このマンガはなかなかのものです。漫画ならではのビジュアルのおもしろさ(根岸の顔が猿に見えるあたりとか)と、原作のストーリーとがバランスよく重なります。体に軸を作るためのハードルでの練習など、文章だけでは陸上素人にはイメージしにくい部分もよくわかります。これも続きが楽しみです。

 

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マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための 30分で読める…大学生のための マンガ蟹工船』 藤生ゴオ漫画 小林多喜二原作 白樺文学館多喜二ライブラリー刊 東銀座出版社発売

蟹工船 (まんがで読破)  『まんがで読破 蟹工船』 小林多喜二原作 イースト・プレス刊

 プロレタリア文学の代表作のように言われている『蟹工船』。そのストーリーが現在の格差社会にあえぐ非正規労働者の若者たちの状況に似ているとやらで再評価されて読まれていると聞きました。はるか30年ほど前と25年ほど前『蟹工船』に挑戦して、その激しい内容に途中で挫折した私でしたが、ずっと気になっていました。最近になってあいついで漫画化されたということで、2冊とも読んでみました。「おい地獄さ行ぐんだで!」という衝撃的な言葉からの冒頭部分は覚えていました。このあと続く港や航海中の猥雑な、あるいは残酷な描写が当時は我慢できなかったんだと思います。会話文の方言も読みづらかったように思います。まんがのように絵があると、その船内の不潔さや残酷さは余計に際立つようにも思えますが、字面を追わないですむだけ、とっつきやすいような気がしました。

 昭和初期、オホーツク海で蟹漁をし船内で加工する工場船「博光丸」では、不衛生な環境の中、貧しい労働者たちが、暴力に支配され、搾取され、生死の境で働かされていた。ある日意を決して立ち上がるが・・・。

 怖いですよ・・・。この描写。悪辣な人間がいっぱい出てくるけど、とても昔のことだなんて思えないぐらいのリアリティがあります。まんがでも、途中で挫折しそうになりましたが、ちゃんと労働者たちが団結することの強さに感動するところまで読み終えることが出来ました。2冊とも。次は原作を読んでみるつもりでいます。

マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための 』の方は、特高による拷問で殺された多喜二の葬儀のシーンから始まっています。さすがに「多喜二ライブラリー」による本なだけあります。私の大好きな三浦綾子さんの「 」(多喜二の母セキさんのひとり語りという形式で多喜二の生涯と死を描いた小説)を思い出しながら読みました。絵はシンプルで読みやすい。私はどちらかといえばコチラの方が好みです。

蟹工船 (まんがで読破) 』の方は文庫版なので安価に手に入るところが魅力です。絵は劇画風で、悪役はより悪人風にデフォルメされて描かれています。

マンガ蟹工船 マンガ蟹工船

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蟹工船 蟹工船

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