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2008年2月25日 (月)

林真理子著『野ばら』

 宝塚歌劇団の内情がよくわかる小説・・・とやら教えてもらったので、買って読んでみました。

 野ばら『野ばら』林真理子著 文春文庫 です。

 雑誌のフリーライターをしている萌と、宝塚の娘役のいずれはトップかとも言われている千花が、英国大使館で行われるあるブランドのコレクションはの招待のために、半蔵門のホテルで待ち合わす・・・という場面から物語は始まります。萌の父母は往年の大スターの息子と、日本でも有数の財閥のお嬢様でしたが、今は離婚して、母子二人暮し。母は地味な公務員として働いており、実家ともほとんど往来はありません。萌と千花も、二人の母たちも聖心と思しきカトリック系の有名お嬢様学校で学んでおり、同級生たちもそれなりの家庭に育っています。セレブな二人の恋愛と青春後期を淡々と描いた小説です。

 千花を通して、宝塚歌劇団の団員の生活が描かれています。楽屋の雰囲気やファンが生徒たちにどんなことをしてあげているのか、など、かなり詳しく書き込まれています。林真理子さん、かなりの事情通ですね。千花のモデルとなったタカラジェンヌさんも特定されているそうです。まぁ、オールフィクションならともかく、実名がすぐにわかるモデル小説をスキャンダラスな内容まで細かく書くのはアリなんでしょうか???

 「若く美しい二人は、どこへ行っても歓迎された」とありますが、その「どこ」がわれわれ庶民の知る世界とは全く違うところばかり。萌は父親ほどの年齢の、妻帯している映画評論家に執着し、千花は歌舞伎界の御曹司との恋に、梨園の奥様への憧れをつのらせます。生活臭のしないセレブな二人のドロドロとした恋愛は、ちっとも私の心に響いてきませんでした。たとえ「若く美しい二人」でも、「私たちって、ずうっと不幸にならないような気がしない?」 なんて幸福に酔っていても、苦悩はすぐそばに潜んでいました。それを乗りこえていくところに物語の感動があるはずなのですが、この生き方は、やはり違うのです。子どもっぽい。まったく感情移入できないのです。

 まぁ、私にとっては、千花の宝塚生活の断片の描写が興味深かったと言うだけの小説でした。

野ばら
配信元:電子書店パピレス
提供:@niftyコンテンツ

野ばら (文春文庫 (は3-29)) Book 野ばら (文春文庫 (は3-29))

著者:林 真理子
販売元:文芸春秋
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2008年2月24日 (日)

「「川端康成と東山魁夷 」展、「憧れのヨーロッパ陶磁」展

 映画や芝居を見に行ったついでに、今月は2回も美術展等に行く機会に恵まれました。

「川端康成と東山魁夷 ~響きあう美の世界~」展

Photo_17    ←展覧会のチラシです。10日に映画 「歓喜の歌」を見に行ったついでに京都文化博物館まで足を伸ばしました。

 川端康成氏と東山魁夷氏は親しい交友があったそうで、二人の往復書簡、川端氏の墨蹟、川端康成記念会所蔵の美術品、と東山魁夷氏の作品、という、異色の、盛りだくさんな展覧会でした。とはいえ、私はさほど川端氏(ノーベル賞作家とはいえ、作風が余り好きになれない)には興味がないので、書簡や墨蹟などはおざなりにみることになってしまい、ごく短時間の鑑賞でした。東山魁夷氏の日本画は、ありがちな感想ですがその青や碧の色使いがとても好きなのでじっくり鑑賞しました。「緑のハイデルベルク」「北山初雪」「月篁」・・・ため息が出るばかりの透き通ったような美しさでした。

 17日に京都劇場に行く前に、足を伸ばしたのが国立京都博物館「憧れのヨーロッパ陶磁~マイセン・セーヴル・ミントンとの出会い~です。普段自分の使う食器にはたいして凝ったこともない私ですが、(どちらかといえば磁器の方が好き、ぐらいのこだわりしかないので、自分でも無趣味だなぁと思いながらコレールや安手の瀬戸物を愛用してます。記いただけるのなら清水焼に代表される京焼でしょうか・・・)もちろん人並みにロイヤル・ドルトン、ウェッジウッドなどの高級洋陶への憧れはありますので、見に行ってみました。

Photo_18←チラシと入場券です。常識的なことかもしれませんが、陶磁器の作風や文様が東洋から西洋へ、そしてまた東洋(日本)へと互いに影響しあっている(学びあっている)ことを実物を通して目の当たりに出来たことが、やはり興味深かったと思います。

 私は華やかなものが好きなので、近世以前のものよりも、近代以降の美しい陶磁器に見入ってしまいました。特に気に入ったのは、食器や容器ではなく飾り物ですが、マイセンの「猿のオーケストラ」です。かわいくて可笑しみもあります。ほかに全く知らなかったハンガリー、ジョルナイのエオシン釉の焼き物の金属的な色合いにも惹かれました。その深見のある赤や青の美しさ。マイセン磁器のテーブルコーディネートが3箇所であり、見ごたえがありました。特にスワンをかたどった白磁の美しいこと!

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映画「歓喜の歌」

 いいなぁ・・・。私も合唱がしたくなっちゃったよ。大学時代は合唱のサークルに入っていて、第九も歌いました。結婚してからも子どもが出来る前は地域コーラスに顔を出したりすることもありました。いまはすっかりご無沙汰ですが、みんなで歌うって、いいなぁ。このハーモニーの美しさ、この仲間への熱い思い!

 2週間前、京都シネマで観た「歓喜の歌」 松岡錠司監督。とっても楽しくて、とっても歌いたくなってしまいました。今住んでいる地域には地域コーラスもないようだし、何人か隣の市の公民館サークルで歌っている人は知っているんだけど、練習は平日の昼間らしいし・・・、なんて本気で合唱を再開する方法を考えたりして。こんな音楽映画もいいですねぇ。まったく。

 このストーリー、もとは立川志の輔さんの創作落語だそうで、現代の人情噺と言う感じなんでしょうか。是非、落語の方も聞いてみたいと思っています。

 そのストーリーは、12月30日にみたま町文化会館事務室にかかった1本の電話から展開します。それは翌日の大晦日に会館でコンサートを予定している女声コーラスグループ・「みたま町コーラスガールズ」からの電話でしたが、ホワイトボードに書き込まれた大晦日の使用予定者は「みたまレディースコーラス」。ダブルブッキングに気づいても、何とかなるだろうと高をくくって、のんきな顔をしている飯塚主任(小林薫)は、昨年市役所から移動してきたばかりで、「いい加減」「お役所主義」を絵に書いたような人物です。だからあのとき注意したのに・・・と困り顔で言いつつも、飯塚主任のペースに巻き込まれそうになり、あたふたしているのは部下の加藤(伊藤淳史)。飯塚主任はとりあえず、両サークルの代表者を事務所に呼んでダブルブッキングについておざなりなわび方で説明し、2つのサークルで話し合ってほしいと言いますが、両者から猛烈な抗議を受けます。「悪いのは私たちの方ですか?」と上品に怒りを表現するのは、「みたまレディースコーラス」の松尾みすず(由紀さおり)。みすずは地元の中堅スーパーの女社長であり、長年「みたまレディースコーラス」を率いて音楽活動を行ってきた実績もあります。、「みたまレディースコーラス」のメンバーは市長夫人(片桐はいり)も含めて町の名士の女性ばかり。かたや、ファミレスの制服のミニワンピースとエプロンに身を包んだ中年女性は「みたま町コーラスガールズ」の塚田真由美(根岸季衣)。1年前に結成したばかりの新しいサークルですが、負けじと強談判・・・。飯田のもくろむように穏便に収まりそうにはありません。

 「みたま町コーラスガールズ」の指導者は、ちょっと浮世離れした明るさの、もと小学校教員・五十嵐純子(安田成美)、構成メンバーはそれぞれに事情を抱えた働く主婦たちで短い自由時間を繰り合わせて練習しています。五十嵐純子は加藤の小学校時代の憧れの恩師でもありました。

 たくさんの人たちのいろいろな事情、コミカルだったり感動的だったりするエピソードを盛り込みながら、長い12月30日と31日が描かれます。二つのサークルが一緒にコンサートをすることになるまで、そしてそれを実現するための飯田と加藤の奮闘がこのストーリーの山場でしょう。ですがクライマックスはやはり合唱シーン。数々の名曲の中でも女声2部の「歓喜の歌」(ベートーベンの第九交響曲第4楽章・合唱)にはびっくりしました。舞台上にはピアノしかないのにちゃんとオーケストラで伴奏されているミラクルは、まぁ、映画だからとさておいても、女声2部の編曲がぜひ知りたいです。前奏なしで、バリトンソロの「O Freunde, nicht diese Tone!」からではなく、「Freude, schoner Gotterfunken,…」から始まっているようなので、かなりの省略バージョンだと思うのですが・・・。

 (と、思っていたら下記CDには「歓喜の歌」のコーラス譜がついているんですって。早速注文しました。早く来ないかな)

歓喜の歌 歓喜の歌

アーティスト:サントラ,東京レディース・シンガーズ
販売元:キング
発売日:2008/01/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  ひさびさに気持ちよく笑って、スナオに感動した邦画でした。配役もよかったですし。安田成美さんはいつまでも可愛らしいなぁ、と感心。由紀さおりさん姉妹は小編成のユニットの合唱でもすばらしいハーモニーでした。スーパーで宣伝販売をする威勢のいいパート主婦役の平澤由美さんの、「ダニー・ボーイ」のソロの透明な響きには本当に聞惚れました。あいにくとまだ舞台ではお目にかかったことがないので、ぜひ生で聴いてみたいです。たくさんの出演者の皆さんが個性的で豊かな演技で観客を魅了してくれましたが、カメオ出演も楽しかったです。「みたま町コーラスガールズ」の練習場のお寺の住職が立川談志さん、五十嵐順子の夫のタクシーの客に立川志の輔さん、飯田からカラオケのマイクを奪われるバーンの客にリリー・フランキーさん・・・。

 後日談:友達も結構たくさん観にいったらしく、面白かった、楽しかった、歌いたくなった、安田成美が可愛かった等々が主な感想なのですが、ひとり、舞台関係のことをよく知っている人だけがちょっぴり違う感想を持っていました。(ちょっとネタバレです)あんなことしたら、クビだけではすまない。舞台は大工工事だけでは改装できない・・・・等々。いや、まぁ、それはわたしも思わないではなかったけど。市長も楽しそうに舞台に見入って(聞き入って)いたことだし(それにフィクションだし)、いいんじゃないの? と思いつつも、現実にこんな強引な技ををすべての勤め人に求められたら困るわなぁ、とも思ってしまう現実主義者の私でした。

ノベライズも買おうかな・・・。

歓喜の歌 (角川文庫 ん 27-1) Book 歓喜の歌 (角川文庫 ん 27-1)

著者:立川 志の輔,真辺 克彦,松岡 錠司
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

楽譜も出るそうです。買おうと思うんだけど、いっしょに歌ってくれる人がいるかなぁ・・・。

Book 女声合唱 映画「歓喜の歌」 より ~ 「翼をください」「ハレルヤ」「お祭りマンボ」

販売元:ヤマハミュージックメディア
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2008年2月23日 (土)

京都劇場「ウェストサイド物語」2/17 その2

 ずいぶん日が開いてしまいましたが、先日の続き、京都劇場での劇団四季「ウェストサイド物語」観劇記の続き です。

Photo_5 ←京都駅ビルコンコースの掲示物からの引用です。有名なシーン。足のあがり具合はさすがですね。

 先日は、加藤敬二さんが不良*少年*には見えない、と、失礼とは思うものの正直な見た目の感想を書かしていただきましたが、そのあと劇団四季のHPで、広島の「美女と野獣」開幕の記事&キャストを見たら・・・ここもかなりの高齢化でした。舞台俳優としての実力を養うのに必要な年月を考えれば、役柄と俳優本人とがリアルにぴったりの年齢でなくっても良いのは当然ですけど、それにも程度問題があるのではないかな?と思わずにはおれません。まぁ、少年には見えなくても、すくなくとも青年には見える程度でないとね。知り合いで、映画公開時が少女時代、と言う方の感想を聞くと、「映画が良すぎたので、今回の舞台は・・・・」とのことでした。しつこいようですが、加藤さんのキレのあるダンスは良かったんですよ。群舞シーンのほかの役者さんたちも含めとてもカッコイイと思いましたし、かっこいいダンス、ダンサーズの中でも群を抜くカッコよさだと思いましたから。

 閑話休題。他の感想を。

 他の役者さんたちは・・・・

 リフ:松島勇気さん・・・この方、有名なバレリーノだったそうですね。「コンタクト」にもウェイター長で出てらして、なんでこんなにすべるように軽やかなダンスなの??ってびっくりしたんだけど、今回歌もお上手だとわかったし、激しいダンスもキマッているしで、あらためてプログラムの経歴を見直してしまいました。ぜひ、ベルナルドでも見てみたいです。でも去年の5月より少しお顔に丸みがあるように見えたのは気のせいでしょうか?気のせいですよね・・・。すみません。

 トニー:阿久津陽一郎さん・・・ラダメスの初演の頃に比べると、歌が上手になってらっしゃいました。半音が混じる曲も音取りが怪しいところは全くなかったし、高音もファルセットがかりながらも、ちゃんとその音が出ていたので、その長足の進歩に拍手!長身で男前の阿久津さんは、Hero役にぴったり。でも、いまだにラダメスの印象が強いので、トニーのように甘くも青臭いせりふをマリアにささやいている声は、なんだか私の中ではイメージ違い。だからと言って、同世代の中では早く大人になった理知的で優しい男(しかも、もとはジェット団のボス格だけあって、優男ではなくけんかは強いんですよね)であるトニーに似合うのは誰か?と言われたら困るけど。取り合えず歌のうまい鈴木涼太さんのトニーも観てみたいです。それこそ若い頃の石丸幹二さんはぴったりだったんでしょうね。あの甘い声とマスクで。

 マリア:花田えりかさん・・・京都劇場の「夢から醒めた夢」のまこを演じてらした2年前は歌の日本語も覚束ない感じで、どうしてこんなキャスティングを?と疑問に思ったものでした。でも、今回は歌の部分は訛りを感じず、これもずいぶん練習されたんだろうなと、ねぎらいの拍手。それに高音の伸びが美しい。といっても、「オペラ座の怪人」のクリスティーヌのようなHighCの上を出さねばならないナンバーがあるわけでなしメゾ・ソプラノで歌える範囲ではありますが・・・。歌は聞きほれてしまいました。でもセリフと演技はヒロインに抜擢はいかがなものかと思わずにはおれないんですよね。一般的に見てどうなんでしょうか?私の目と耳が曇ってる?差別意識はないつもりなんですけど、この少女はプエルト・リコから出てきたばっかりで英語があんまり巧くないのねと、自分に言い聞かせながら見てました。それとあんまり言いたくないし、申し訳ないような気もするけど、体育館で一目ぼれというのがあまり説得力のないお顔立ちというかメイクなんですよね・・・。京都公演をPRする報道では高木美果さんが出ていらしたし、JCSのマリアでも美しくも切ない歌声を聴いたので、開幕は高木さんかと思っていたのですが。キャスティングされてないけど、私は苫田亜沙子さんとか佐渡寧子さんとかのマリアも聞いて(観て)見たいと思っています。

 アニタ:団こと葉さん・・・お姉さまステキ!と言う感じですイエ、実際には私のほうが年上ですが・・・。団さんが踊ったら目が離せません。すごいです。カッコイイです。ハンサム・ウーマンって感じです。ベルナルドとマリアの両方の気持ちを尊重したいがゆえのためらいやとまどいの表情ときっぱりした決断と、姉御なところと可愛らしさの入り混じった表情や演技もいいです。目力がありますねぇ。歌も迫力があるし。惜しむらくはあの衣装の色と、ドーランのせいか老けて見えるメイクです。申し訳ないけど加藤さんと並ぶと、マリアの両親と言っても通じそうで。藤色のドレスとあのドーランの色は合っていないと思うんだけどなぁ。

 バーンスタインのナンバーは、もちろんおなじみのものですが、オーバーチュアから舞台への期待に胸がわくわくします。悲劇だとわかっているのに、それこそ「何かが起こりそう Something's Coming」という気がします。作詞はスティーブン・ソンドハイム、「スウィーニー・トッド」と同じ人ですねぇ・・。まぁ、四季の場合は日本語に訳されているわけですけど。CDだけでしか知らなかったときも、上手に訳してあるなぁ・・・と思っていて、今日初めてプログラムで訳詞者を確かめたら、これも岩谷時子さんでした。本当に上手ですよね、この方。英語の歌詞だけでなく、シャンソンの歌詞も訳しておられるし、自ら作詞もしておられるし。

 数々の名曲の中でも私の好きなのは、「アメリカ」です。映画でもそうでしたし、舞台を観ても。曲と歌詞が楽しくて好きなのと、女の子たちの故郷への感傷を振り捨てて、自由の国・アメリカでの生活を(貧しくても、差別されていても)謳歌しようというたくましさに惹かれます。アメリカ移民のプエルト・リコの人々が、貧しく、白人から差別されているのは男性も同じなのですが、女性はさらに同じプエルト・リコの男性からも縛り付けられている、特に島の生活では。従順さをおしつけるベルナルドにアニタが反論するシーンがありますが、そのあとに歌われる「アメリカ」では、コミカルな歌詞の中に平等に生きる権利のようなものを希望を持って歌い上げている気がします。

↓映画と見比べたくなってしまいますね。初めて映画を見たとき(もちろんTVの名画劇場で、です)ジョージ・チャキリスのベルナルドのクールさに目が釘付けになりました。映画のマリア(ナタリー・ウッド)は可憐でいて芯は強くて・・・といった感じでよかったのですが、トニー(リチャード・ベイマー)は、そんなマリアが一目惚れして万難を排してついていこうとするほどの男とは見えませんでした。

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↓こちらは、2004年から2005年に上演された、桜井翔くんのトニー、和音美桜さんのマリア、ジャニーズのメンバーがジェット団・シャーク団を演じた「ウェスト・サイド・ストーリー」の脚本です。

ウェスト・サイド・ストーリー ウェスト・サイド・ストーリー

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2008年2月17日 (日)

京都劇場「ウェストサイド物語」2/17 その1

 今回はぜひ初日をと思っていたのに取れなくて、とっても悔しかったのですが、取り合えず初日の次の週末に観ることができました。誰もが知ってるミュージカルの名作です。ダンスも歌もすばらしいのは知っています。社会性を持った悲恋物語としても感動的です。それが劇団四季でどう演じられるのか?!

 劇団四季「ウェストサイド物語」、@京都劇場。 映画(ビデオやDVDですが)は何度も見た「ウェストサイド物語」だけど、舞台では初めてなので、舞台と映画との違いも気になります。もちろん日本人が演じるのを見るのも初めてなので、人種をどう演じ分けるのかも気になるところ。

Photo_6  客席が暗くなり、挿入歌の数々がメドレーのように演奏される長めのオーバーチュアがおわって幕が開くと、非行少年たちのダンス。白人といっても貧しい移民の息子たち(彼らもプア・ホワイトとして中流以上の白人からは差別されているはずだ)で構成されるジェット団と、有色人種として差別されるプエルトリカンの若者たち、シャーク団。彼らの小競合いや縄張り争いを激しいステップと指鳴らし、口笛などで表現するシーン。幕が上がって数分しかたっていないのにすでに圧巻の思いです。口笛と言えば、ドクの店で警官にののしられてベルナルドやチノたちが、せめてもの抵抗にアメリカ国歌を口笛で吹きながら出て行くシーン。うまい表現だなぁと思いました。アメリカ民主主義の崇高な理想はどこにあるのだ?と突きつけているようで。

 

 ダンスで目を、歌と音楽で耳を十分に楽しませてもらいました。そしてラストは圧倒的な感動が・・・。でも正直言って、メイクで肌の色を変え、髪の色はジェット団は金髪や茶髪に、シャー ク団は黒髪に・・・したところで目の色や顔の彫りまでは変わらないので、表現し分けるのは台詞に頼らざるを得ないようですね。赤毛ものの舞台でも、いつもは日本人(東アジア人)が西 洋人を演じることについて当然のようになんとも思わないのですが、や はり人種問題が物語のテーマと深く絡んでいると、ちょっと気にかかってしまいます。それは言ってもしかたがないことですが・・・。とはいえ「ウェストサイド物語」という(さらに翻案もとのシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」という)名作の持つ力は、多少の難は乗りこえて観客の心に響くものをたくさん持っています。ダンス然り、音楽然り。そしてストーリー然り。ただ、うちの娘はなかなか物語の背景にあるものを理解しがたかったようです。お手洗いなどで周りから聞こえてくる感想もストーリーに入り込むより、役者さんのあれこれが気にかかる方が多いようです。

 今日のキャストは以下のとおりでした。ついでに私の持っているCDバージョンのキャストも付しておきます。

2008年2月17日のキャスト 1977年東京キャスト(CD)
【ジェット団】  
リフ 松島勇気 飯野おさみ
トニー 阿久津陽一郎 鹿賀丈史
アクション 西尾健治 菱谷紘二
A-ラブ 大塚道人 深見正博
ベイビー・ジョーン 大空卓鵬 宮崎厚巳
スノーボーイ      澤村明仁 沢木 順
ビッグ・ディール    萩原隆匡 小林親一
ディーゼル       朱 涛 川原洋一郎
ジーター        青羽 剛 渡辺 豊
マウスピース   鈴木 登
グラジェラ 恒川 愛 沢 アイ子
ヴェルマ        上延 綾 山崎富子
クラリス         駅田郁美 森 幸子
ポーリン        ソン インミ 菊池ひで子
ミニー          桜 小雪 多川理映
エニイ・ボディズ 石倉康子 浅見陽子
【シャーク団】  
マリア 花田えりか 久野綾希子
アニタ 団 こと葉 立川真理
ロザリア 鈴木由佳乃 田中方子
コンスェーロ      村上絵里子 服部良子
テレシタ        高橋亜衣 坂田治美
フランシスカ      室井 優 望月めぐみ
エステラ        榊原央絵 草薙夕子
マルガリータ      撫佐仁美  
ベルナルド 加藤敬二 市村正親
チノ 玉城 任 西久保治好
ぺぺ          水原 俊 本田 薫
インディオ       神谷 凌 古沢 裕
アンクシャス      イ ギドン 高桑 満
ファノ          佐藤雅昭 田代久雄
トーロ   園岡新太郎
ニブルス        斎藤洋一郎 高原 高
おとなたち  
ドック 立岡 晃 宮部昭雄
シュランク 山口嘉三 瀬下和久
クラプキ 牧野公昭 光枝明彦
グラッド・ハンド 青羽剛 渡辺 豊
Somwhere・歌ソプラノ・ソロ ?表示なし
伊藤志保?
伊集加代子

私の持っている劇団四季版「ウェストサイド物語」CDは下記のものです。

ウエスト・サイド物語 劇団四季 オリジナル 1977年 東京キャスト(CD) ウエスト・サイド物語 劇団四季 オリジナル 1977年 東京キャスト(CD)

販売元:宝塚歌劇グッズの専門店〜宝塚アン
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 キャストについては、・・・。ミュージカル界でダンス・歌共に評価できる方々となるとどうしても訓練をつんだ方、必然的に年齢の高い方になってしまうのでしょうか?不良少年どころか不良青年と言うのも怪しい方が、不良役をいつまでもやっているのはいかがなものかと思わずにはいられません。CD版のキャストの当時の年齢を考えても、特に今回のベルナルドはいただけません。加藤敬二さんはすばらしいダンサーですばらしい役者さんだとは思いますが、この役をされるには昨年「クレイジー・フォーユー」のボビーよりPhoto_7さらに無理があります。メイクのせいか老けて見えて、あきらかに口角が下がって法令線がくっきり過ぎるぐらいくっきりしていて、不良少年というよりマフィア。せめて30代以下のキャストで固めてほしいと思いました。だめでしょうか?そんな考えは。

 ところでポスターのイラストのモデルは絶対加藤さんですよね。写真のCG加工なのか、手書きのイラストなのかは分かりませんが・・・こうしてみるとカッコイイんですけどね。文句ばっかり書いているけれど45歳であの身体能力・あのスタイルというのは驚異的だと感心はしているんですよ。すごい努力の賜物なんでしょうね。

なお写真はいつものとおり、京都駅コンコースで撮ったものからの引用です。 

(その2に続く)

 

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2008年2月16日 (土)

「ヒトラーの贋札」

 もう2週間も前のことになってしまいました。いつも映画はシネ・コンで話題の娯楽大作(?)を観ることの多い私ですが、珍しく京都シネマでドイツ映画を観てきました。一人で。よかったです。見るのがつらいシーンも多かったけど、子どもたちもつれて来ればよかったと思いました。他のお客さんたちも大体において年齢層が高く、こういった歴史を繰り返さないためにももっと若い人たちにもこの作品を見てほしいと感じました。

 ステファン・ルツォヴィッキー監督の「ヒトラーの贋札」、ドイツ・オーストリア合作映画です。

 ナチス・ドイツに「ベルンハルト」作戦というものがあったそうです。ご存知でしたか?私は寡聞にしてまったく知りませんでした。ベルンハルト作戦というのは、第2次世界大戦末期、戦局不利を打開するために米英の経済混乱による国力の弱体化を狙ったナチス・ドイツが、ユダヤ人技術者たちを使って、大量のポンド・ドル札を偽造させたもの。この映画は、印刷・植字技術者として、このベルンハルト作戦に携わらされたスロバキア生まれのジャーナリスト・アドルフ・ブルガーの手記『ヒトラーの贋札 悪魔の工房 』を原作としたものだそうです。原作はノンフィクションでも、映画は多分フィクションが多く付け加えてあるのでしょう。登場人物の名前なども実在の人物とは少しずつ変えてあります。ナチスのやり口は汚くて、許せないことですが、こんな作戦を立てた人は、戦争と経済の関係がよくわかっていて、頭の良く働く人だったんでしょうね。もし成功していたら、戦局は大きく変わってしまったわけで、この作戦の遂行を遅らせたユダヤ人技術者たちは、自分たちの身ばかりではなく、世界中の人の少なくない命の喪失を救ったとも言えるかも・・・・。

ヒトラーの贋札 悪魔の工房 Book ヒトラーの贋札 悪魔の工房

著者:アドルフ・ブルガー
販売元:朝日新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 映画は立派なカジノにみすぼらしい男が入ってくるところから始まります。第二次世界大戦直後のモンテカルロ、男のスーツケースには札束がぎっしりと。すぐに舞台は1936年のベルリンの酒場へ飛びます。先ほどの男・サロモン・ソロヴィッチ、通称サリーは紙幣や証明書などあらゆる書類の偽造を生業としています。ある日犯罪者としてつかまり、ユダヤ人として収容所に送られます。地獄のような収容所の中で、サリーはその絵筆の才能を生かしてドイツ兵から便宜を得て生き延びます。ある日ザクセンハウゼン収容所へと移送され、死を覚悟するサリーですが、そこに待っていたのは特別待遇と特別な任務。印刷や美術などの特殊才能を持った者、銀行家などのお金・経済の知識を持った者が集められた贋札工場が、一般の収容所とは別に作られていたのでした。高い壁の外ではユダヤ系の同胞たちが虐待される音も聞こえ、別格の扱いに罪悪感を思えつつも清潔な環境・暖かい食事にホッとする囚人たち。しかしこの任務が成功すれば、ナチス・ドイツの政権は延命し、ますます家族や同胞たちは苦しみが続くことになります。かといって、任務が成功しなければ自分たちの命が危ない。とにもかくにも精巧な偽ポンド札作りが成功したあと、命じられた偽ドル札作りには巧妙なサボタージュを仕掛けますが・・・。

 まず、主人公が書類偽造を生業としていて、いわゆる善人ではないことが意外でした。最初に送られた収容所で、ナチス兵・将校の気に入る絵を描いて自分だけ特典を受けるなど一匹狼的に生きているサリーですが、映画の中で画学生のコーリャやブルガーを庇う人のよさもあります女性にも好かれる本来は好人物なんだと思いながら観ました。サリーを演じるのはカール・マルコヴィクス。現実のサリー、サロモン・スモリアノフの写真の風貌に良く似せてあります。

 原作者をモデルにした、正義感の強い(おそらくはコミュニスト)印刷技師アドルフ・ブルガー。特別待遇を潔しとせず、ナチスの将校に媚びず、不正な作戦を密かに妨害して、気骨のあるとてもかっこいい役だと思えるのですが、パンフレットによると、原作者は来日インタビューで、「実際にはあんなに堂々とサボタージュなんて出来ない状況でした。私も、あんあふうに格好よくできたらよかったのでしょうけれど、現実には、そんなことをしたら即刻銃殺でしたからね」と語っています。彼を演じたアウグスト・ディール(役柄だけでなく、知的な外見もステキです。ストイックな役が良く似合いました。ドイツで最も人気のある俳優の一人だそうです)も「映画のブルガーは善良な人間のようでいて、自分と他人を危険に陥れるようなエゴイストでもあります。正義のために戦う人物を演じるのはとても興味深く・・・云々」と言っています(byパンフレット)。たしかに、フィクションでは英雄的な行動も、現実の極限状態では褒められるべきものではないのかもしれません。こういう状況での人間のとるべき行動や生き方を考えさせられました。

  犯罪の取締官としてサリーを逮捕したヘルツォークが、ナチスの将校としてこの贋札作戦の指揮を取っています。彼は敗戦間際にサリーと取引をして一家のパスポートの偽造をさせます。彼のモデルこそがベルンハルト・クリューガーその人です。

 この調子で書いていたらまた長くなりそうなので、この辺にしておきます。地味ですが良い映画でした。原作や、ベルンハルト作戦をルポした「ヒトラー・マネー 」も読んでみたいと思います。

ヒトラーの贋札 ヒトラーの贋札

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ヒトラー・マネー ヒトラー・マネー

著者:ローレンス・マルキン
販売元:講談社
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ヒトラー・マネー ヒトラー・マネー

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

 パンフレットに、「解放後の紙幣偽造特別班の囚人達」の写真が載っているのですが、容貌・服装とも、よくみるアウシュビッツなどの強制収容所解放直後の痩せ衰えた囚人たちの悲惨さとはまったく違います。驚きです。

 あとひとつだけ。モンテカルロのシーンでサリーと出会う美女の俳優はドロレス・チャップリン、あのチャーリー・チャップリンの孫でした。事情通ではない私はパンフレットを見てびっくり!

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2008年2月15日 (金)

『彩乃ちゃんのお告げ』橋本紡著

 この本、私は橋本紡さんの本の中で一番好きかもしれません。なんだかふっと心が安らぐような小説です。
『彩乃ちゃんのお告げ』橋本紡著 講談社刊

 教祖様が亡くなって、その宗教団体は次期教主様を巡る内紛があるらしいのです。それがどういう教義のどういう宗教なのかは小説には触れていませんし、ストーリーに直接関係もありません。教祖の孫である彩乃ちゃんは小学5年生ですが、どうやら不思議な力を持っているらしく、その力ゆえに次期教主にふさわしいと思っている人も多いのです。でも、小学校5年生という幼い彩乃ちゃんを内紛に巻き込みたくない信者たちは、彩乃ちゃんを教団とは関係のない人に一時かくまってもらいます。彩乃ちゃんをあずかった人たちを巡るひと夏の物語、一人称(彩乃ちゃんではなくそれぞれの話の主人公の)で語られた3話が収まっています。
「第一話 夜散歩」彩乃ちゃんを預かったのは一人暮らしの独身女性。早寝早起き等いつも立派な生活態度でしつけられてきたであろう彩乃ちゃんが、手でトマトを食べたり、夜更かししたりという開放感にきっと目を丸くして楽しんでいるだろう情景が目に浮かび、微笑ましいです。独身女性の心の機微が、よく描かれていると思います。
「第二話 石階段」舞台は三重県伊勢市。橋本さんのふるさとかな?彩乃ちゃんは里山保全を目的としたNPOの代表をしている人に預けられています。この話の主人公は夏休みの課題でこのNPOにボランティアにやってくる生真面目そうな男子高校生です。
「第三話 夏花火」東京から隣県の田舎へ引っ越したばかりの家族のところで彩乃ちゃんを預かるのですが、この家には綾乃ちゃんと同じ小学5年生の娘・佳奈がいて、第三話の主人公です。佳奈の気持ちの動き、すごくよくわかります。もっとも私の場合は中学生になってからでしたが、10代の始めのころって家族に対して、自分の体つきに関してこんな気持ちになるよね・・・って。まるで女性作家の手になる小説家と思うほど、第一話も第三話も主人公の女の子たちの気持ちが、心の襞にそって描かれていたと思います。共感しやすかったです。

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 彩乃ちゃんには何が見えているのでしょう?この3人に対して彩乃ちゃんはほんの小さなことを言ったり、したりするだけなのですが、みんなの人生が好転していくのです。たしかに運命とか人生とかはささいなきっかけで変わっていくものなのかもしれません。おとなしくて真面目で礼儀正しい彩乃ちゃんは、実にさりげなくそのひとを良いほうへと導いてくれます。
 佳奈が彩乃ちゃんに投げかけるように、彩乃ちゃん自身の幸せはどうなのか?という疑問はありますが、彩乃ちゃんはその生き方を淡々と受け入れています。まだ5年生なのに!ぜひ続編も書いてほしいです。

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「ベガーズ・オペラ」大阪公演その2

 登場人物はプログラムでの紹介順に下記のとおりです(敬称略)。ほとんどの時間は劇中劇が占めていて、それを演じるベガー(乞食)としての演技はあまりない人が多いんだけど、それぞれちゃんと名前があって、プログラムにはそれぞれの境遇も書いてありました。2重構造の演劇ですから俳優さんたちも色々と演じ分けないといけませんね。

登場人物  
  劇中劇の役柄 その役を演じる乞食の名前
内野聖陽 マクヒース おいはぎ
女好きでモテ男
カリスマ
マッコリ
髙嶋政宏 ピーチャム 盗品売買
泥棒を密告して賞金稼ぎ
ジョン・ウェットン 27歳
島田歌穂 ルーシー・ロキット ロキットの娘
マクヒースの子を宿す
エリザベス
21歳 
森公美子 ミセス・ピーチャム ピーチャムの正式に結婚していない妻 モリー・コシファン
46歳 トムの母
ダイアナ・トレイプス 娼館の老おかみ
橋本さとし フィルチ 追いはぎなど トム
笹本玲奈 ポリー・ピーチャム ピーチャムの娘
マクヒースと秘密裏に結婚している
ロマンス小説が大好き
マーガレット
16歳
村井国夫 ロキット ニューゲート牢獄の看守
賄賂を取る
ジェイムス
ノエルとエマの祖父
近藤洋介 老役者    
入絵加奈子 ジェニー・ダイヴァー(娼婦) ジェイン
高谷あゆみ ミセス・スラムキン(娼婦)
すりぬけサム
ブラックモール
ローズマリー
三谷六九 造幣局のマット マクヒースの仲間・親友 ウォルター・マッキントッシュ
山崎直子 スーキー・トードリー(娼婦) ケイティ
水野栄治 くすね屋ネッド(追い剥ぎ)
ミセス・コークサー(娼婦)
エドワード
山崎ちか ドーリー・トラル(娼婦) ドリー
小西のりゆき ペチコート・チャーリー(追い剥ぎ) チャールズ・トーマス
Kuma ボブ・ブーティ(追い剥ぎ)
ベティ・ドクシー(娼婦)
ブルーノ
高野 絹也 ジェミー・トゥイッチャー 追い剥ぎ、マクヒースを妬んでいる ポール
幸村吉也 鉤指ジャック(追い剥ぎ) ジャック・フォレスト 24歳
照井裕隆 ベン・バッジ(追い剥ぎ) ベンジャミン・ホール 23歳
村上勧次朗 ハリー・パディントン(追い剥ぎ) ケネス・ホール
泉 里沙 ミセス・ヴィクセン(娼婦) エリザベス・スミス
宮菜穂子 モリ―・ブレイズン(娼婦)
トム・ティップル(飲んだくれ)
モリー
原田優一 「もってこい」(トムの使い走り) ノエル 15歳
小此木麻里 「やってこい」(トムの使い走り) エマ 12歳

老役者:近藤洋介さん、名優だと思います。

トム=フィルチ:橋本さとしさん:トークショーでは、とても楽しい人とお見受けしました。枚方出身だそうです。枚方と言えば「くらわんか」だと言って、他の方々にきょとんとされてしまい、高谷あゆみさんからは「枚方と言えばひらかたパークしかない」と言われてはりました。役の上でもコメディアン的な役とまじめな役とをとても巧みに演じ分けられていたと思います。

ピーチャム:高嶋政宏さん:両親共にミュージカルで活躍されていた方だけに歌も演技も巧者です。「マリー・アントワネット」に引き続きあくどい男の役で拝見しましたが、2枚目なのに悪役が板についていて、次はピカレスクの主役で拝見してみたいと思いました。

ミセス・ピーチャム:森公美子さん:ベガーが何人いても、ついつい森公美子さんに目が行ってしまいます。歌は聞きほれるばかり。ダイアナ・トレイプスの時はすごくコワイおばあさんでした。もっとソロが聞きたかったですが、仕方ないですね。

ポリー・ピーチャム:笹本玲奈さん:とってもキュート。お茶目で可憐な女の子を演じておられました。「マリー・アントワネット」のマルグリットで初めてこの方を知ったのですが、若いのに上手でびっくりでした。

マクヒース:内野聖陽:いいかげんだけどカッコイイ男を楽しそうに演じられていたようにお見受けしました。トークショーでもサービス精神旺盛でした。「ベガー」としての本名、マッコリは、お酒が好きだからだ(?)といっておられましたよ。

ルーシー:島田歌穂さん:けなげな女の子を熱演。私は生の島田さんを観るのは初めて。チャーミングで、歌もお上手でステキでした。

モリー・ブレイズン:トム・ティップル:宮菜穂子さん:カーテンコールの際、凄く綺麗な連続側転を披露してくれました。すごかったです。

ミセス・スラムキン:すりぬけサム:高谷あゆみさん:トーク・ショーのときの進行役で、もう・・・面白いと言ったら・・・、さすが関西人です。たくさん笑わせていただきました。高谷さんが10数年前、「レ・ミゼラブル」でミセス・テナルディエを演じたとき、原田優一さん(ノエル役)と小此木麻里さん(エマ役)は、それぞれガブローシュ役、リトル・コゼット役だったそうです。若いとはいえベテランの、だけど初々しくてPrettyなお二人は東宝HPの「ベガーズ・ブログ」の担当なんだそうですよ。

 ↓古い映画が復刻されるようです。観てみたいですね。

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 3/21追記:「シアターガイド 2008年 04月号 [雑誌] 」で「ベガーズ・オペラ」の特集がありました。ページ数がそれほど多くはありませんが、内野聖陽とジョン・ケアード、島田歌穂と森公美子と笹本玲奈、高嶋雅宏と橋本さとし、の3組の対談、原田優一のインタビュー(以上敬称略)が収録されており、読むと楽しいです。

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2008年2月11日 (月)

「ベガーズ・オペラ」大阪公演その1

 一昨日、「オペラ座の怪人」マチネを観たあと、同じく梅田で「ベガーズ・オペラ」のソワレを観ました。場所は梅田芸術劇場です。

Photo_24 ←公演チラシと「ベガーズ・オペラ新聞」 です。 「ベガーズ・オペラ新聞」 は無料配布の販促グッズなのに読み応えがあるし、編集センスも光っています。

あらすじをざっと書くと・・・。舞台は18世紀はじめのロンドン。「スウィーニー・トッド」より更に一世紀前です。最初舞台には老役者が現れ、こじきたちに一夜だけ劇場を貸したものの、一向に現れないと嘆きます。そこへ客席からどやどやとこじき一座の登場。一座の作家はこじきのトム。そして演じられる物語は・・・。あくどい商売をしているピーチャム夫婦は、娘のポリーが追いはぎのマクヒースと結婚したと聞き激怒。マクヒースを密告し刑務所に追いやろうとする。マクヒースは逃げるが隠れ家では娼婦を何人も連れ込んでいるドン・ファンぶり、そこへピーチャム自らマクヒースを捕らえにやってくる。刑務所ではマクヒースの子を身ごもった看守の娘・ルーシー、彼の不実を詰る。そのルーシーをかき口説いてマクヒースは脱獄。上流の人たちと賭け事をしたり、復讐をたくらんだりしつつもついには処刑・・・しかしそこにどんでん返しが!

 ストーリーは劇中劇の内容が複雑に思えて最初のうち混乱しました。マクヒースは「キャプテン」と呼ばれていますから、最初は船長なのかと勘違いしたぐらいです。ピーチャムのことも官憲の末端にいるのに盗品売買に手を染めているのか、と思ってしまっていたし。取り合えず劇中劇の登場人物設定だけでも先にプログラムを読んでおいた方がいいと思います。猥雑な集団(なにしろ乞食と言う設定ですからね)が演じる猥雑な劇(登場人物はみんな犯罪者なんです。看守も悪人だし)の奈辺に感動なり見るべきものがあるのか、なぜ劇中劇と言う設定なのかを考えながら、必死で物語を追いかけました。そのうちにこれはどこかで知っている話だよ~~~???、と、思いつきました。どこで観たのか、聞いたのか、読んだのか??? 家でプログラムを読んで判明しました。「ベガーズ・オペラ」はブレヒトの「三文オペラ 」の原作だったのですね(もっとも「三文オペラ」は芝居を観たわけではなく、20年も前に本を斜め読みしたときのあいまいな記憶しかないんですけど)じっくり観ていると風刺が効いていてかなり面白いことがわかってきます。それこそ舞台になった17世紀の同時代に作られた最古のミュージカルと言われていますが、古さを感じさせません。長く引用させていただきますが、「人はみな 生きるために もがいて 罪を背負う 裁かれるものと裁く者 分かつものは何だ 人を騙して生きるやつ 戦争起こして稼ぐやつ 本当の正義があるのなら 吊るされるのは誰だ」とマクヒースと仲間たちが歌うナンバーなど、20世紀のプロテストソングだといわれてもうなずけます。実は「ベルばら」や「レ・ミゼ」が好きな私、時代背景も国境も忘れて、このナンバーのあと市民革命の火の手が上がるのかと期待してしまいました。

 不思議な演出で舞台上の両端にも客席がありました。あの席は近くてよいけど、観やすいのかなぁ?最初近藤洋介さんの演じる老役者が、その舞台上の席の観客たちに荷物を運ばせたり舞台上の掃除をさせたり、というお楽しみも。乞食たちは客席後方入り口からの登場で、私は真近で森公美子さん、高嶋正弘さんを見ることが出来てそれだけでもかなり満足。 幕間には乞食たちが客席をウロウロ。何度か観劇して事情通らしいお客さんは色々なお菓子を上げていました(終演後のトークショーで橋本たかしさんが大阪の女性はみんなが飴ちゃんの袋を持っているとネタにしてはりました)。バレンタイン前だからチョコレートの包みを持ってきている人たちも。楽しいファンサービスですねぇ。

 登場人物も豪華で満足です。ミュージカルらしく歌える方々ばかりですし。もちろんそれが当たり前なんですけど、1ヶ月前の「ファントム」は、それでがっくり来ていますからね。あのあと密かに心配の種を育てていたのです。高嶋政宏さん・森公美子さん・島田歌穂さん・笹本玲奈さんがすばらしい歌声なのはもちろんよく知っていましたし、期待通りでした。すばらしい!大河ドラマ「風林火山」で一気に注目の的(私&娘のなかで)になった内野聖陽さんですが、もともとが新劇俳優さんだけに、主役が歌えないような人だったらどうしよう・・・とドキドキ。でもまったくの杞憂でした。声量・音程共に十二分。迫力ありました。よく考えたら以前にもトート役を演じていらしたんですよね。失礼しました。

「ベガーズ・オペラ」のプログラムでは、登場人物の紹介はみなさんそれぞれ本人が書いているそうです。個性的でなかなか芸術的でもあります。内野さん、橋本さん、島田さん、笹本さんらはご自分をイラストでも表現されているのですが、これもまたお上手なのです。

 役者の皆さんは初演のときに17世紀のイギリスについての研究発表もなさったそうで、詳しい時代背景がプログラムで解説されています。ずいぶん読み応えがありますし、勉強にもなります。いつもはプログラムを買わない方も今回ばかりは買ったほうが良いと思いますよ。

 終演後はトークショーがあり、主演の内野聖陽さんのほか、地元出身の高野あゆみさん・橋本たかしさんが、公演について大阪についてにぎやかで楽しいトークを繰り広げてくださり、30分余りのトークショーだったのですが、あっという間に過ぎてしまいました。

(その2に続く→http://chualacream-chan.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_cfd2.html

↓ベガーズ・オペラの原作です。

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2008年2月10日 (日)

「オペラ座の怪人」@大阪四季劇場

 昨日約9ヵ月ぶりに大阪四季劇場で「オペラ座の怪人」を観てきまPhoto_2した。同僚が(彼女とは「美女と野獣」を3回一緒に観にいき、そのうちの1回が京都劇場千秋楽佐野ビーストでした)大絶賛していた佐野正幸さんのファントムと、MYベストアムネリスの佐渡寧子さんのクリスティーヌだったので、開演前から期待はいやがうえにも高まるばかりです。そして、その期待は決して裏切られませんでした。今回は下手側の席だったので競売の時のラウル、ラストシーンの椅子に かけられたマントをはずし、仮面を持つメグがよく見えて、これも満足です。写真は、ハービスエントの地下2階出入り口のところのポスターです。

2月9日マチネキャスト(敬称略)
オペラ座の怪人 佐野正幸
クリスティーヌ・ダーエ 佐渡寧子
ラウル・シャニュイ子爵 岸 佳宏
カルロッタ・ジュディチェルリ 種子島美樹
メグ・ジリー 宮内麻衣
マダム・ジリー 秋山知子
ムッシュー・アンドレ 寺田真実
ムッシュー・フィルマン 小泉正紀
ウバルド・ピアンジ 石井健三
ムッシュー・レイエ 林 和男
ムッシュー・ルフェイブル 勅使瓦武志
ジョセフ・ブケー                岡 智
   
男性アンサンブル 女性アンサンブル
金本和起 小野さや香
増田守人 阿賀佐一恵
佐藤圭一 森崎みずき
枡本和久 樋谷直美
見付祐一 ナ ユミ
柏田雄史 伊藤志保
畠山典之 梅崎友里絵
  中元美里
  鈴木友望
  是澤麻伊子
  白澤友理
  小澤真琴

 警察隊長(だと思う。ラウルと打ち合わせをする警官)の役も勅使瓦さんですね、多分。ムッシュ・ルフェーブルの登場は最初のシーンだけですから、いつも警察隊長と兼ねているのでしょうか。今回初めて気がつきました。

 佐野正幸さんのファントムには、歌も演技も圧倒的な熱情を感じました。低音域の迫力、高音域の哀切、何しろ歌が巧い。パイプオルガンにぶつける悲憤、怒りのほとばしり、恋敵への挑発、クリスティーヌを手に入れたいとの切なる望み・・・。ファントムの想いが胸に迫ってきます。クライマックスで、いったんラウルと去ったクリスティーヌが戻ってきたときの一瞬の希望と絶望の演技、それから「わが愛は終わりぬ・・・」とありったけの思いを込めての歌・・・すばらしかったです。

 佐渡寧子さんのクリスティーヌ。ビジュアルも歌声も大好きです。顔が小さくて美人だしスタイル抜群です。小姓の扮装もとっても可愛い。細かい演技もステキ。特に「ドンファンの勝利」の「The Point of No Return」で頭巾の男に頬ずりをしていて、ピアンジではないとハッと気づくときの表情が良かったと思います。歌はさすがに3オクターブ出るとおっしゃるだけあって、High Eの音も全然無理なく出ている感じです。可愛い可愛い苫田亜沙子さんもよかったけど、憂いを含んだ表情の美しさ、懊悩の様子は佐渡さんが何歩も長じていると思います。

 岸さんのラウルは正直言って微妙というのが私と娘の評価です。私見ですのでファンの方はお気を悪くなさらないで。歌はまぁ悪くないと思うのですが、新しくキャスティングされたばかりとのことで、まだ生硬さが否めないことと、ちょっと失礼な言い分ですが、ラウルは、久しぶりで会ったクリスティーヌがそれだけでときめくような貴公子らしさであってほしかった、というか・・・。実際の容貌のことではなくて、そういった雰囲気がまだまだ醸し出せていないんだと思います。ラウルは一度も舞台を拝見したことがない二枚目俳優の北澤さんで見たかったんだけどな・・・。しょーもない理由ですみません。あぁ、石丸幹二さんのラウル、一度でいいから観たかったなぁ。

 メグ・ジリー。宮内さんは優しそうな美人さんでした。ちょっと宝塚の娘役みたいな容貌だなぁとおもいました。

 カルロッタは種子島さん以外で観た記憶がありません。このカルロッタの歌と演技で何が不満なんや、ファントムは!とツッコミを入れたくなります。前にも書いたかもしれませんが、私は「プリマ・ドンナ」の歌が一番好きなんです。

 Photo_2ピアンジは初めて半場さん以外の方で観ました。彼もまたステキなテナーでした。

  ALW3作品の記念オルゴールもやっとGETしました。曲は「スーパースター」でした。今朝、早くから3回ぐらい鳴らしたので、上の娘が夢に見たと言ってました。

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↑これは私が愛聴している石丸幹二さんラウルのCDです。ファントムは山口祐一郎さん。

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 ↑こちらは今井清隆さんファントム、柳瀬大輔さんラウル、井料瑠美さんクリスティーヌです。劇場で売っているのはこちらですね。

私の9ヶ月前(大阪公演初日)の感想はこちらに→http://chualacream-chan.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_c96b.html

20_3  *2/15追記*ところで左に写真引用させていただいた「オペラ座の怪人 20周年 メモリアルカード(ホログラムの絵はがき)」、なかなか楽しいですね。3種類(仮面・マスカレード・ボート)に絵が変わるホロ・カードは始めて見ました。そういえば、劇場にもホロ・ポスターがあって、通る方向によって絵や色がちがって見えるのに感心したことでした。

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2008年2月 6日 (水)

『ホルモー六景』ほか万城目学の本

  万城目学さん、進境著しい新進作家ですね。まだ3冊しか出版しておられませんが3冊ともものすご~くおもしろいですよね。昨日やっと3冊目の『ホルモー六景 』を読んで感想を書こうとして、半年以上前に読んだ他の2冊の感想を書いていなかったことを思い出しました。時系列にしたがってここで書いておこうと思います。ただ、もう大分記憶が薄れているので多少の思い違いはご勘弁を。

①『鴨川ホルモー』
 ホルモーっていったい何なのか。表紙のイラストはどう見ても現代の四条通(大和大路辺りから八坂神社を見た風景でしょうか?)なのに、着流し男女の中にチョンマゲ(茶筅髷)の人がいるのはなぜ?・・・北上次郎氏が本の雑誌で強力プッシュしていたので読んでみようと思いつつも、若干の不安を持っていました。

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著者:万城目 学
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 主人公は安倍という京都大学に入ったばかりの男子学生。葵祭のエキストラのアルバイトの帰り「京大青竜会」という、わけのわからないサークルの新歓コンパに誘われて参加。その場で会った同じ新入生の早良京子に一目ぼれして、同回生・高村とともにサークル例会にも参加します。いったい何をするのかわからないようなサークルでしたが、先輩たちの説明を半信半疑で聞いているうちに、実際に驚くべき光景を目にするときが来ました。ホルモーとは小鬼を使役して京都大学青竜会・立命館大学白虎隊・京都産業大学玄武組・龍谷大学フェニックス(朱雀団)という四神にちなんだ名を持つ4つのサークルが覇を競う、いにしえから続くたたかいのことだったのです。・・・。恋のもつれあり、鬼語修行やホルモー戦の様子、その戦略などなど奇想天外な出来事と日常の学生さんの青春が相俟って、とてもおもしろい小説になっています。・・・「第4回ボイルドエッグズ新人賞」受賞作とのことですが、私はこの『鴨川ホルモー』ではじめて「ボイルドエッグズ新人賞」なる文学賞が存在するのを知りました。「ボイルドエッグズ新人賞」とはそのHPに「日本初の作家エージェント・ボイルドエッグズは、出版社(株)産業編集センター出版部の後援のもと、才能ある新人のための新しい文学賞『ボイルドエッグズ新人賞』を創設し、・・・」とありますが、なかなか選考が厳しいようで過去7回実施されたうち受賞作が出たのは3回だけ。道理で知らないはずです。・・・
 4つの大学サークルのオニたちはそれぞれ近くの神社に棲みついているようです。京大の青いオニは吉田神社に、産大の黒いオニは上賀茂神社に、立命の白いオニは北野天満宮に、龍谷の赤いオニは伏見稲荷大社にゆかりのオニだとか。だがしかし、京都人としてはしょうもないツッコミを入れたくなります。立命(衣笠)に一番近い式内神社は平野神社だし、龍谷だったら藤森神社。いやまて、古くから伝わる行事というなら立命は荒神口で、龍谷は大宮の学舎やろ。産大なんて創立から40年あまりしかたっていないねんけど?・・・なんてギモンがわいてきませんか?
 ま、そんなことは抜きで楽しむべきなんでしょうね。登場人物の名づけも凝っているというか、ゆかりのある名前になっています。主人公・安倍(安倍晴明からでしょうね)のライバルが芦屋満(蘆屋道満から)、先輩が菅原真(菅原道真から)、友人が高村(小野篁から)、憧れの彼女の名は早良親王から・・・というのはわかりやすいですが、楠木ふみは、実際に彼女がホルモー戦の指揮を執るまで名前の由来に気づきませんでした。名軍師・楠木正成からでしょうね。なんで「ふみ」なのかはわかりませんが・・・。
 京都市が舞台で、不思議な生きものが出てくる、大学生を主人公とした小説、青春ファンタジーといっても良いかも・・・という点で、同じ京大卒の若手作家・森見登美彦氏の作品と似通っているように感じました(特に「ぺらぺらパンツを吉田の空へと旅立たせた」あたりとか)。
 読み終わったあとでもホルモーを定義するのは難しい。あの雄たけびは何ゆえ「ホルモー」なのでしょうか・・・? インタビュー記事など読むと、作者の思いつきであって、由来はないようですが・・・。

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②『鹿男あをによし』
 昨年夏の直木賞候補になりました。最近これを原作にしたTVドラマ(人物設定がドラマ向きに変えてありますが、それもまたよしです。私はこのドラマをぜひ観たいと思っているのに、木曜は会議続きで、今までに50分相当しか観ることができていません。玉木宏さん、とっても2枚目なのにエキセントリックな役が良くお似合いです。下宿先の住人、美術教師の佐々木蔵之介さんはとてもよい人・良い教師に思える原作のイメージにピッタリ。頑固な生徒・堀田イト役の多部未華子さんもイメージどおりの表情をしてくれます。目つきがいいですね。あぁ、だけど、明日も多分帰宅が遅くて観れない。涙。)も始まって大ブレイクしてしまいましたね。夏目漱石の『坊ちゃん』をかなり意識した青春小説です。とってもおもしろいです。帯にある「どこまで面白ければ気が済むんだ!?やっぱりマキメは並みの天才じゃない。」という金原瑞人氏のことばに大きくうなずいてしまいます。傑作です。おすすめです。

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 研究室での人間関係悪化のためか神経衰弱のレッテルを貼られ、大学院を休んだらどうだと勧める教授の紹介で、主人公の「おれ」は、奈良にある私立女子高に2学期の間だけ常勤講師として赴任することになりました。ドラマではちゃんと名前がついていますが、小説中では『坊ちゃん』と同じく氏名不詳で、「おれ」の1人称で物語が進みます。こんなとき教師は便利。「○○さん」と呼ばなくても「先生」で用が足せますね。
 「おれ」の授業第一日目に遅刻してきた生徒・堀田イトは、大遅刻の言い訳にマイカーならぬマイシカ(my鹿)に駐禁を取られたからと言い、奈良では誰でも鹿に乗っていると言い放ちます。以降「おれ」と堀田の関係は最悪に・・・。黒板に「パンツ3枚千円也」、「鹿せんべい、そんなにうまいか」と書くいやがらせ、教頭が伊達男(あだなはリチャ-ド・ギアにちなんで”リチャード”)なこと、姉妹校の美人教師・“マドンナ”等、坊ちゃんにインスパイアされていることは間違いありません。生徒とうまくいかなくて落ち込む「おれ」に、年配の英語教師が張子のだるまをくれるのですが、そこに「stray sheep」と書いてあると言うのも漱石臭い気がします。でも漱石の世界とは決定的に違うのはファンタジー要素。
 ある日「おれ」は鹿に話しかけられます。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。この世界を天変地異から守るため、宝物、サンカクというしろものを手に入れなければならないという使命を鹿から聞かされても、鹿がしゃべるなんて気のせいだ・神経衰弱だ・・・と思って行動しなかった「おれ」は、鹿に失敗の「しるし」を付けられてしまいます。その「しるし」とは顔が鹿になってしまうこと。さァ大変とばかり「おれ」は・・・。
 青春・学園・ファンタジック・コメディ小説、です。最後は堀田イトの手紙で締めくくられるのですが、堀田さん、このあとどんな高校生活を送るのかな。「おれ」は地元にもどってどうするんだろ・・・。いつも東からやってくる勾玉を持った運び役、「おれ」以外の運び役の物語も読みたいし、続編やスピンオフを書いてくれないかなぁ。『ホルモー六景』みたいな。万城目さんは神社が好きなのかな。この作品では春日大社と伏見稲荷と鹿島大明神が大事な役割を果たしています。
 それにしても、奈良に赴任する前の「おれ」は箱根より西には行ったことがないと言っていましたが・・・・『坊ちゃん』の時代ならともかく、いまやそんな関東生まれの28歳はありえないでしょう。修学旅行などで京都・大阪・沖縄・九州・広島のうちどこかはいっているはずだと思うけどな。

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④『ホルモー六景』
 『鴨川ホルモー 』の続編&スピンオフ短編集。デビュー作よりさらに面白くなりました。本編・『鴨川ホルモー』を読まなくてもじゅうぶん面白いと思いますし、『鴨川ホルモー』が微妙だった人も『ホルモー六景』を読んだら読み返したくなるかも・・・。青春と恋愛が程よいコミカルさで描かれています。

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 ・プロローグ 3回生となった安倍と高村の学食での会話。高村はそのチョンマゲ(茶筅髷)を切り落としており、その理由は第六景でわかるしかけです。
 ・第一景「鴨川(小)ホルモー」 京都産業大学玄武組の強い女性コンビ・二人静と呼ばれる彰子と定子(しょうし、ていしではなくて しょうこ、さだこ。一人の男・一条を取り合う話ではありません)、ともに彼氏のいない2人の「車懸かりの陣」は玄武組の強さの秘訣といわれていましたが・・・。
 ・第二景「ローマ風の休日」 イタリアンレストランでバイトする高校生男子と楠木ふみの話。接客業に向かなさそうな楠木ふみは「仕分け」においてその才能を発揮します。ホルモーで軍師の才能を発揮した時みたいですね。彼女に淡い憧れを抱いた高校生の一人称で描かれます。鴨川にかかる橋を一筆書きで渡れるか・・・のパズルは本気で考えてしまいました。簡単に証明し、QEDと書く楠木ふみは、さすが京大生!
 ・第三景「もっちゃん」 読んでる途中でもっちゃんとは誰かに気づきます。私はこの話が6編中で一番好きです。20世紀初頭にホルモーをやっていた学生たちを描きます。ムムッ!するとそのころの玄武組はどこの学生さんがやってたんだ?その銀時計は今も安倍の手元に・・・。なんで私がこの話が好きかというと、学生時代、もっちゃんの小説を愛読してたから。それと少女時代さだまさしさんが大好きだったから。この歌ももちろん歌えます。そういえば安倍君はさだまさしの大ファンでしたね
 ・第四景「同志社大学黄竜陣」 同志社大学に入学した巴は、教授の書庫から古い書き物を見つけますが・・・。 そりゃぁ、立命が出て同志社が出ていないでは関係者は許せないよね。是非続編で黄竜陣を復活させてあげてほしいです。ジョーの物語も書いてほしいな。

 ・第五景「丸の内サミット」 龍谷大学朱雀団出身の井伊直子は東京に就職、同僚に誘われて合コンにいってみれば、相手側には産大玄武組の代表だった榊原康・・・。2人が旧交を温めながら夜の街を歩いている時、空に黒い怪しい影が・・・。
 ・第六景「長持の恋」 立命館大学白虎隊の珠美はアルバイト先の料亭で不思議な長持に出会います。時をかける恋、です。ベタ甘なお話ですが、私はこれが2番目に好きだったりします。

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2008年2月 5日 (火)

映画「スウィーニー・トッド」その2

スウィニー・トッド /フリート街の悪魔の理髪師 ポスター ジョニー・デップ 主演 ティム・バートン 監督  昨日の続きです。でもこの調子で書いていくと、最後のシーンまでネタがバレバレになりそうです。ネタバレが困る人は読まないでくださいね。

 ターピンがやってきたら復讐を!と思っているのに1週間たってもやってこないからトッドはイライラしています。ミセス・ラベットは「Wait」 (ヘレン・ボナム=カーターの発音は「ワイツ」と聞こえます)と歌います。

 (「Wait」の歌とどちらが先だったか忘れてしまったけれども)ターピンを待ち構えるトッドのところにやってきたのはピレリ。ピレリは、実は少年期にベンジャミン・バーカーの弟子を志願していたことがあったのだ。トッドの正体に気づいてゆすりにきたピレリはトッドの最初の犠牲者となる。死体は取り合えず長持に隠し、ピレリを探すトビーはミセス・ラベットがパイや酒を与えて何とか言いくるめてしまいます。トビーはミセス・ラベットにご馳走してもらいながら悲しい身の上をあっさりと語るのですが、すさんだ暮らしの中ティーンエイジャーにもならないうちにリッパなアル中になっているようです。

 アンソニーがジョアンナのことをトッドに報告にやってきます。もちろんトッドの娘とは知りません。二人で駈落ちをする計画を打ち明けます。

 ターピンの不正な裁判のシーンでターピンの悪人振りを描いたり、ジョアナの部屋をドアの穴から覗くターピンの変質者振りを描いたり。ターピンはジョアナにプロポーズをしたのに喜んでくれないとバムフォードに漏らし、バムフォードはターピンの機嫌をとりつつ「Ladies in Their Sensitivities」の歌で、身だしなみを整えるために理髪店に行くように薦めます。

 いよいよ仇敵タ-ピンを手中に迎え、カミソリを振るう(ちゃんと身だしなみを整えてあげています。まだ殺人に逡巡があるのでしょうか?)トッド。トッドとターピンは「Pretty Woman」の二重唱 。いよいよ喉を切り裂こうとする刹那、アンソニーがジョアナとの駈落ちの段取りのために飛び込んで来ます。

 すんでのところでターピンを逃してしまい、怒りと狂気をほとばしらせるトッドがカミソリを振り回しながら歌う「Epiphany」。“Come on, come on, Sweeny's waiting!”・・・空想なのか現実なのかどんどん人を死の淵に誘います。

 トッドが殺した男たちの死体を、足りないパイ・フィリングの肉に利用すれば良いと思いつくミセス・ラベットと名案だとうなづくトッド。かくして世にも恐ろしい人肉ミートパイが出来上がる「A Little Priest 」。ヘレン・ボナム=カーターの声が無邪気に聞こえるだけに恐ろしい。トッドの理髪椅子は喉を掻き切られた男たちがすぐに地下のパイ工場へ落とせるようになっている。

 アンソニーとの駈落ち計画がばれたジョアナは、ターピンによって牢獄のような病院に入れられ、そうとは知らぬアンソニーは「Johanna」と歌いながら街をさまよいます。

 死体はどんどん量産され、肉がたっぷり入ったミートパイの店は大繁盛。トビーはミセス・ラベットの店で売り子をつとめて歌います。「God, That's Good! 」おいしいパイに店は大賑わい。ミセス・ラベットも機嫌よく忙しく働いていますが、そこへ例の物乞いの老女がやってきます。煙突から立ち上る黒い煙に不吉なものを予感する物乞い(この頃になると、顔が結構はっきり写るので、実は老女ではないこと、その正体もわかってきます)をミセス・ラベットは異様に嫌悪し、トビーに何度も追い払わせています。

 店の繁盛ぶりにミセス・ラベットは幸せな生活を夢見て歌います。トッドと自分とトビーの3人で海辺に遊びにいく計画「By the Sea」 。空想の旅行シーンで青白い顔だけど楽しそうなミセス・ラベットに対し、あくまで無表情なトッド。めまぐるしく変わるシーンの連続で、これはきっと舞台より映画が断然楽しいナンバーなのじゃないでしょうか? 

  トッドが悪人だと言うことにうすうす気づいたトビーは、恩あるミセス・ラベットを自分が守ると誓って歌う「Not While I'm Around」。 自分に優しくしてくれた母のようなミセス・ラベットが自ら望んで悪事に加担しているとは思ってないんでしょうね。けなげな歌です。でも、秘密がばれたらミセス・ラベットも身の破滅。トッドもトビーを生かしておくつもりはありません。ミセス・ラベットはパイ作りの手伝いをさせるからとトビーを地下の作業場に連れて行き、肉挽きの大きな道具の使い方を教えて作業をさせ、涙をこらえて彼を閉じ込めます。部屋の中央あたりにある大きなオーブンの中で燃え盛る火はさながら地獄の業火のようです。閉じ込められたとは知らないトビーはパイをつまみ食いして、あるものを発見。人肉入りパイだということに気づいてしまいます。

 一方でアンソニーはジョアナの閉じ込められた病院を見つけ、トッドに相談に来ます。トッドは精神病院なら鬘師が髪を買いにいく習慣になっていることから、鬘師の助手に化けて探しにいくことをアドバイス。アンソニーは早速救出に向かいます。見るからに虐待施設である精神病院には若い女の子たちがたくさん閉じ込められていました。19世紀ごろのこういった施設は・・・他の物語から想像がつきますね、ひどいところです、きっと。院長の案内でひとつの部屋に入るアンソニー。院長に怯える「娘たち」。院長の隙をついてジョアナを助け出すアンソニーですが、去り際に「あとは娘たちの好きなように」と一声、「娘たち」は恨み重なる院長に襲い掛かります。この場面は胸がすきますね。

 トッドはターピンにアンソニーとジョアナがまた駈落ちしようとしてこの理髪店にやってくるという手紙を書き、あわててやってきたターピンを・・・・

 以下最後のクライマックスの解説はなんぼなんでも自主規制・・・。このへんにしときます。

【ポスター】 スウィーニー・トッド(出演:ジョニー・デップ) でも最後の最後のトビー。彼は生き延びるのですがどんな人生を送っていくのでしょう。可愛らしい彼の顔も最後のシーンでは白塗りに大きな隈の禍々しいメイクに。人肉パイを売り、食べた経験、人を殺した経験、そして幼い頃から強い酒を飲む習慣があると来ては・・・。それも19世紀のイギリスの闇の中に・・・。

とにもかくにも鮮血ほとばしるシーンが多くて猟奇的、なのにとても魅力的な映画でした。ミュージカルの魅力と、悲劇のかたちと。

 しかし、野暮なことをいうようですが、「食の安全」が危うい今、真似する人がいませんように・・・とも思います。

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↑日本版は↓輸入版より3曲少ないです。要注意。

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昨年市村正親さん、大竹しのぶさんの主演で日本バージョンのミュージカルを上演していたんですよね。チラシは見たんだけど、舞台は見逃していました。いまさらながらに残念です。

 

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2008年2月 3日 (日)

映画「スウィーニー・トッド」その1

 ジョニー・デップとヘレン・ボナム=カーター共演でミュージカル、とくれば観にいかずにはおれませんね。R15ということで残念がっている下の娘が部活の隙に観にいってまいりました。観たのは先週の土曜日です。偶然にも上の娘が友人と同じ映画を見る約束をしていたのですが、違うシネ・コンでの鑑賞でした。このあたり、あちこち選択できるのは田舎とはいえベッドタウンのありがたさです。

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」 ティム・バートン監督です。

『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』ジョニー・デップ来日記者会見
配給ワーナー・ブラザーズ映画
提供:@niftyコンテンツ
 その前の週に観にいった人たちからは「面白いけどグロい」と聞いていたのですが(もちろん主題から考えて、グロくないわけはありません)、まぁ、本当にスプラッタでした。ホラーが苦手な私はオープニングのパイプオルガンの音の中でモノクロ画面から赤い色がにじみ出てくるところからゾクゾク。ゴシック・ロマン風の映像ですが幽霊やお化けより人間が怖い、本当に生きている人間が怖いストーリーです。気になるジョニーの歌声ですが・・・、ステキでした。舞台ではどんな風に響くのかわかりませんが、映画版では朗々とした歌い方ではなくつぶやくような、ささやくような歌い方が映画の雰囲気にあっていました。他の俳優さんたちもみんなすばらしい歌い手でした。英語も聞き取りやすく、ちょっと堪能な人なら字幕なしでも十分聞き取れる感じがします。ところでヘレン・ボナム=カーターの、たとえば「wait」がカタカナで表すと「ウェイト」よりは「ワイツ」と聞こえるのはロンドン訛なのでしょうか?

 主人公であるスウィーニー・トッド(ジョニー・デップ)とミセス・ラベット(ヘレン・ボナム=カーター)は終始血の気のない顔(白塗りに近い)に、目の周りの大きな隈。不気味さを際立たせ、禍々しさを表現していますね。  

以下、ネタバレ大ありです。

 最初のシーンは、ジョニー・デップ扮するスウィーニー・トッド(本名はベンジャミン・バーガー)とジェイミー・キャンベル・バウアーの演じる若い船乗りのアンソニーのデュエット、「No Place Like London 」 。ロンドン上陸への希望を明るく歌い上げるアンソニーに対して、ロンドンで起こった不幸な想い出を歌い上げるトッド。腕のいい理髪師であったベンジャミン・バーガーは美しい妻・ルーシーとと可愛い赤ちゃん・ジョアナとともに幸せに暮らしていたのですが、ルーシーに横恋慕するターピン判事によって無実の罪で捕らえられたのです。映画を観ただけではよくわからないのですが、パンフレットによれば、オーストラリアに流刑にされ、脱出(脱獄?島抜け?)して漂流したところをアンソニーに助けられたようです。ルーシーを演じているのはローラ・ミシェル・ケリー。彼女は本物のミュージカル俳優だそうです。パンフレットにも公式サイトにもローラ・ミシェル・ケリージェイミー・キャンベル・バウアー、16歳のジョアナ役のジェイン・ワイズナーなどのプロフィールは載っていません。ネットでも見つけにくいし、せっかくパンフレットを編集するなら小さくてもいいから名前のある役のキャスト・プロフィールは載せてほしいものです。あとでちょっと時間を作って映画雑誌をいくつか見てみるつもり。敵役のターピン判事は「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生を演じているアラン・リックマン。偏執的な役が続いていますね・・・。ターピン判事と共に悪巧みをし、暴力的だが人前では偽善者ぶりもする町の役人バムフォードにティモシー・スポール。これまた「ハリー・ポッター」の悪役・死喰い人の一人でハツカネズミに化けていたワームテールを演じていますね。トッドの狂気のあまりの凄まじさに、感情移入したり同情するのは難しいのですが、この二人がいかにもな敵役をみごとに演じているので、トッドの復讐心を(フィクションとわかっているからこそですが)受け入れられる気がします。

 次のシーンはロンドン・フリート街の元の家と思しき場所に帰ってきたベンジャミンことトッド(脱獄囚のようなものだから偽名を名乗ったわけですね)。ミセス・ラペットのパイ屋に入りますが、まずいパイ屋にはお客はほとんど来ていません。客と間違えられたトッドの前に見るからに怪しげな、いつ焼いたかわからないまずそうなパイとビールが出てきます。ミセス・ラベットの歌う「The Worst Pies in London 」というナンバーには、肉が高くて買えないからおいしいパイは作れない、はやっているほかの店の周りでねこが消えている~~なんて歌詞があって、ちょっと伏線っぽい。汗をぬぐった手でこねたりゴキブリを麺棒で叩いたり・・・パイ・フィリングはどぶ泥のような色だし、あ~気持ち悪い!実際には当時の庶民の衛生観念はどんなものだったのでしょうか・・・。

 店舗の2階の空き部屋を借りたいとミセス・ラベットに尋ねるトッド。ミセス・ラベッドは2階に案内しながら、ここの住人におこった悲劇を語ります。「Poor Thing」。その気の毒な理髪師の妻は自殺を図ったと・・・・。一人残された幼い娘はターピン判事が引き取ったと。

 その空き部屋には銀のカミソリのセットが隠されていました。狂喜したトッドがかみそりを掲げて歌う「My Friends」。そのかみそりは昔からベンジャミンに好意を抱いていたミセス・ラベットが隠しておいてくれたもの。やっぱりベンジャミンだったと確信して言い寄ろうとするラベット夫人を無視して、カミソリを持って歌い続けるトッド・・・コワイ。

 一方ロンドンを散歩(?)するアンソニーは美しい歌声を耳にします。それはターピンに幽閉同然に育てられているジョアナが籠の鳥の悲しみを歌う「Green Finch and Linnet Bird」。窓を見上げたアンソニーは可愛らしい少女を一目で愛してしまいます。 「Alms!Alms!」と歌う、通りがかりの物乞いの老女に、ここは誰の家なのか、あの子の名前は?と尋ねます。物乞いの老女は、ここはターピン判事の家で、女の子は養女のジョアナ。ジョアナに手を出そうとする若者は手ひどく痛めつけられると忠告します。ジョアナへの恋心を歌うアンソニーの「Johanna」。若々しくて伸びやかでステキです。

  「Johanna」を歌うアンソニーはターピンの屋敷に一見丁重に迎えられますが、ジョアナに言い寄ろうとする男を決して許さないターピンの命令によりバムフォードから散々ステッキで打ち据えられてしまいます。侮辱され、大怪我を負って通りを去っていきながらもアンソニーが口ずさむ「Johanna」。アンソニーは映画では船乗りであるということしかわかりません。19世紀のロンドンの階級社会では、ターピンのような悪者でなくても普通の船乗りが紳士の家の娘に言い寄るのは許さないはず。そのあたり気になります。作詞・作曲のソンドハイム氏はアメリカ人だからあえて階級問題は無視したのでしょうか?アンソニーもイギリス人ではないのかな?アメリカ人という設定なんでしょうか?それとも実はもっと高い階級?アンソニーは舞台版ではもっと登場が多いそうですが、舞台版ストーリーが気になります。

 復讐を誓うトッドとミセス・ラベットは理髪店に仇敵をおびき寄せるために一計を案じます。二人がやってきた市場ではイタリア人の理髪師・ピレリ(サシャ・バロン・コーエン)が大道芸かショーまがいの大人気。助手の少年トビー(エド・サンダースめっちゃいたいけでかわいい。)は屋台というか小屋がけのようなピレリの店の前で「Pirelli's Miracle Elixir」を歌いながら毛はえ薬の宣伝をします。それをインチキだ、小便だと罵ってピレリの対抗心を煽るトッドとミセス・ラベット。ピレリとトッドは髭剃りの腕を競ってその場でコンテストをすることになり、居合わせたバムフォードに審査員をさせます。ピレリが勝利を確信して髭剃りの腕を披露しながら朗々と歌うアリア「Contest」(「いかにもイタリア風だ」とパンフレットに)。しかし見事な腕前で勝ったのはトッドでした。ベンジャミンとは気づかずにトッドの勝利をたたえるバムフォードを、フリート街の店に招待するトッド。心にもないお世辞をバムフォードに使います。負けたのが悔しいピレリはトビーに八つ当たり。激しい暴力です。ちょっと「オリバー・ツイスト」を思い出しました。ディケンズが描いたイギリスと同時代でしょうか。こんな風に虐待される孤児はたくさんいたことでしょうね。施設もひどいところだったでしょうし。

 以下明日に続く

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最近はヒットしそうな映画だとすぐにメイキングブックが作られますね。それよりももっと劇場パンフレットを充実させてほしい気がします。100~200円ぐらい値上げしてもいいから。

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雑誌「ムービー・スター」は2008年1月号から3月号までずっと、ジョニー・デップが表紙、巻頭は「スウィーニー・トッド」です。特に2月号では4ページから25ページまでの長さで特集。3月号では来日インタビュー(1月9日に行われたものを100%だそうです)を特集しています。

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