映画「ミス・ポター」
10~11月は毎年のことだけどとにかく忙しくて忙しくて・・・。毎日夕食は9時前だし、そのあとお持ち帰り残業(サービス残業ですよ、もちろん)・・・。夕食がおそいから、ご飯の支度にかかる前にどうしてもなんか食べずには済まず、ストレスで過食気味。チョコを毎日気持ち悪くなるほど詰め込んでしまい、とんでもなく太ってしまいました。涙
そんな毎日なので、仕事以外でパソコンに向かう時間は極端に少なく、観た・読んだ記録も滞りがち。休日も半日は半分死んだようになって眠り、半日は掃除。もう1日休みのある週でも地域の行事でつぶれることも多く、どうにか映画や舞台にいけた日もなかなか記録に出来ません。
そんなわけで、1ヶ月ほど前に観にいった映画の感想を今頃・・・。
子どものころから大好きだった、愛らしいけどリアルな絵が魅力的なピーターラビットのおはなし (ピーターラビットの絵本 1) などの絵本シリーズの作者・ビアトリクス・ポター生涯を描く映画「ミス・ポター」(クリス・ヌーナン監督)。最初から最後まで感動しっぱなしのステキな映画でした。(観たのは10月7日。ロードショー開始の次の週です)
ビアトリクス・ポターが生まれたのは1866年。映画はレニー・ゼルウィガー演じるビアトリクスが付き添いの老女と共に出版社を訪ねる、1902年のシーンから始まります。20世紀初頭のイギリスですが、雰囲気は良くも悪くも100年前のジェーン・オースティンの時代とあまり変わっていないように思えます。同じ階級か少し上の階級の人と結婚するのが娘の最大の幸せで、女性が作家として自立するというようなことが一般的には受け入れられなかった時代。あふれる才能を持ったビアトリクスは当時としては相当にエキセントリックだったにちがいありません。特に母親の無理解に苦しんだようですが、母親としても娘を不幸にしようとは思っていなかったでしょうに。
30代も後半になっても独身の女性が外出するのに、付添い人が必要だとはなんと不自由なルールでしょうか。画家としてのビアトリクスが出版社のノーマン(ユアン・マクレガーがステキな英国紳士で登場します)と色指定のために印刷工場に行くのにも、母は反対し、工場では迷惑がられ・・・。職業を持ち、自立した(アッパーミドル以上の)女性が闊歩しだすのは、第一次世界大戦以降なのでしょうか?もっと時代は下がるのでしょうか?ちょっと調べてみたい気もします。
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ミス・ポター (初回限定生産 特製パッケージ) 販売元:角川エンタテインメント |
ノーマンの一家が出版業で成功していても「紳士」ではなく「商人」として低い階級に位置づけられて、両親がノーマンとの結婚に猛反対するというのは、階級社会の複雑さがわからないと理解しにくいですね。『高慢と偏見』にもキャサリン夫人がエリザベスの親戚のガーディナー夫妻を商人だからと身分の低いものとして扱うシーンがあったように記憶しますが、貴族は別として、資産家にもジェントルマンとそうでない人とがあるということでしょうか・・・。ビアトリクスの両親の家系ももとは商売人で富を得たようですし、貴族ではなさそうだから、われわれの感覚では同じアッパーミドルクラスに思えるのですが・・・。、上流・中流のなかでも複雑に階級が分かれているのでしょうね。後年ビアトリクスが結婚した人は、弁護士ですが、映画の描き方では出身は労働者階級ですね。まったく問題にならなかったのでしょうか?
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ミス・ポター (竹書房文庫 DR 202) 著者:リチャード・モルトビー Jr. |
スケッチブックや額の中、絵筆の先からピーターやジマイマが動き出してくる映像ならではの演出もとてもよかったのですが、活字で読むノベライズ本も結構良かったです。映画を1回観ただけでは、感情の機微まで読み取れないことも多いですし、この歳になると細かいことは特にすぐ忘れてしまいますからね。映画で感動❤、述べライズを読んで2度感動❤という感じです。
私がナショナル・トラストという言葉をはじめて知ったのは25年ぐらい前のこと。和歌山の田辺市に出張で行って、日本のナショナルトラスト第1号の天神崎保全運動について教えてもらい、そのとき、ビアトリクス・ポターが資材を投じてイギリス・湖水地方の景観を守ったことも知ったのです。
なんだか、ポターの伝記も読みたくなってきたし、ピーターラビットも(いまや家には2~3冊しかありませんが)全冊読み返したくなりました。パスポートすら持っていないわたしですが、写真だけでなく実物の湖水地方もみたくなりました。そういえばホームズもハリー・ポッターもピーター・パンもメアリ・ポピンズもジェーン・オースティンもテニスンもイギリス・・・。イギリス旅行の希望がかなう日は来るでしょうか・・・。
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ピーターラビット全おはなし集 愛蔵版 改訂版 著者:ビアトリクス・ポター |
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ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方―ワーズワース&ラスキンを訪ねて 著者:辻丸 純一,伝農 浩子 |
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ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方―ワーズワース&ラスキンを訪ねて 著者:辻丸 純一,伝農 浩子 |
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