映画「エディット・ピアフ」観てきました
若干ロードショーが回ってくるのが遅めだったけど、やっと近くの映画館で上映することになったので行ってきました。フランス映画かと思ったら、フランス・イギリス・チェコの合作ですって。オリヴィエ・ダアン監督、マリオン・コティヤール主演の「エディット・ピアフ~愛の讃歌」。
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』来日記者会見 配給ムービーアイ・エンタテインメント 提供:@niftyコンテンツ |
不世出のシャンソン歌手・エディット・ピアフの怒涛のような短い生涯については、20年以上も前に地人会の公演(「ピアフ~生命、燃えつきて~」宮本研 作、タイトルロールは元タカラヅカの上月晃❤もう一回観たいなぁ)を観てからずっと興味を持っていました。日本語訳のシャンソンに惹かれて、フランス語のシャンソンCDも聴いていたし・・・。
映画では、晩年(リューマチと不摂生で老女のように見えますが、享年はまだ47歳なのですねぇ。若いマリオンの迫真の演技です)のピアフと幼少時のピアフ、活躍するピアフと、若いピアフ、舞台に立てなくなる直前のピアフ・・・と場所と時間が交錯しながら進んでいきます。「19◎△年・どこそこ」、と字幕が入るときと、その場所・そのピアフの姿を覚えておきながら映画を観ていかないと、話がややこしくなりそうな構成でした。
エディットの父は第1次世界大戦で出征中、母は街頭で歌を歌って母子二人の生活を支えますが、やがてそれに疲れてエディットが3歳ぐらいのときに自分の母に預け新しい恋人と去ります。父は兵役の合間にエディットを母方の祖母の家に迎えに行き、自分の母にあずけます。父方の祖母の家は娼館で、エディットは娼婦に可愛がられながら育ちますが、目を患い、かなり長期間盲目になります。祖母や娼婦たちと聖テレジアの廟に祈るシーンが出てきます。やがて目が治ったエディットは聖テレジアを自分の守護聖人と思ったようで、その後も聖テレジアによる奇跡を見ますし、聖テレジアになんども祈りをささげています。父が復員して、父と共に大道芸人(サーカスのような一座)と旅をしますが、そのうちに父が団長と袂を分かち、二人きりで大道芸をするようになります。ある日父の芸のあと、路上の人々に、「娘はなにか芸はしないのか」と言われ、ためらいがちに「ラ・マルセイエーズ」をうたうエディット。人々は彼女に惜しみなく拍手と小銭を出すのでした・・・。
エディットは20歳になり友人のモモーヌと路上で歌っています。有名なクラブのオーナーに認められ、高級クラブ歌手としてデビューを果たしますが・・・。
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』メイキング映像 配給ムービーアイ・エンタテインメント 提供:@niftyコンテンツ |
もし、父が幼い子を残して長い時間出征しないといけないような第一次世界大戦がなかったら?母親に十分生活できるお金があったら、エディット・ピアフはもっと健康な人生を送れたのではないでしょうか・・・。天才歌手の壮絶な人生に涙せずにはおれない映画でした。フランスでは大ヒットした映画らしいのですが、日本でももっと多くの人が見られるような配給をしてほしい映画でしたね。劇中に流れる音楽も、ピアフが歌う(歌声はほとんどピアフ自身のものがかぶせてあるようです?)シャンソンもとてもステキでした。マリオンの歌声でも聴いて見たい気がしますね。
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エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック アーティスト:エディット・ピアフ |
この映画には5歳ぐらいから20歳ぐらいまで、デビューから、アメリカの(モロッコの?)ボクサー・マルセルとの出会いまで、のエピソードがほとんどありません。 う~ん、気になる。また上述の、上月晃の芝居では、第二次世界大戦中にクラブにやってきたナチスの占領軍兵士が「歌え!」と命令するのに対抗して、「ラ・マルセイエーズ」を歌うという勇ましくも感動的なシーンがあったように記憶しているのですが、それに象徴される反ナチ活動や、イブ・モンタンとの恋と別れが描かれていないのは、わたしにとってはちょっと拍子抜けでした。eiga.comの映画評には「有名エピソードをオリビエ・ダアン監督は大胆に割愛。飛行機事故死で幕を閉じたボクサー、マルセル・セルダンとの純愛を彼女の人生の象徴とし、ピアフの真実を探っていく。」と書いてあります。たしかに、すべてのエピソードを書き入れようと思ったら、何時間かかるかわかりませんもんね・・・。伝記でも読んでみようかな・・・。モモーヌとは義姉妹の契りを交わした、と言っているけどどういう経過だったのかとか、街頭でのあがりをピンはねされている犯罪組織との関係とか・・・映画ではさっりと描かれたところも詳しく知りたいです。
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わが愛の讃歌―エディット・ピアフ自伝 著者:エディット・ピアフ |
私はジョルジュ・ムスタキも好きなので、彼ら若い歌手たちを売り出す後押しをするピアフという、彼女の人生のなかの(自身の歌手としての成功以外の)、積極的で明るい側面も少しは映画にも入れてほしかったような気もします。
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エディット・ピアフ~愛の讃歌~ (2枚組) 販売元:東宝 |
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