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2007年8月 8日 (水)

映画「魔笛」

 モーツアルトのオペラ「魔笛」を大胆な時代設定で映画化したとして話題の、ケネス・ブラナー(映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋 」のロックハート先生ですネ❤)監督作品映画「魔笛」を京都シネマで観てまいりました。

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 オーヴァーチュアの間ストーリーの始まりは、いかにもヨーロッパ風の高原。お花がいっぱいの美しい草原が写され草原に道のような茶色い線が見えます。だんだんクローズアップされたところへ地下から手が伸びて青い花を摘みます。茶色い線は道ではなく塹壕でした・・・。塹壕の中にタミーノ(ジョセフ・カイザー)はいます。王子ではなく兵士として。舞台は第1次世界大戦時のヨーロッパ。青い軍服の兵士と赤い軍服の兵士が戦っています。特にどこの国と仮託してあるわけではなさそうですが、少し後の映像で、クリスマスツリー(の様なもの)と白旗を持って赤い軍服たちが歩み寄り、青い軍服たちがそれに応じて、クリスマス休戦・・・というシーンが描かれていますから、いうまでもなく西部戦線のエピソードを意識しているのだと思います。サッカーもしていたし。

 話は戻って。タミーノは青い軍服側。砲撃に吹き飛ばされ気付いた所は泥沼のような場所。周りはしたいだらけ。そしてCGで描かれた大蛇ならぬ毒ガスに追われています。声を限りにHELP!と叫ぶタミーノのもとに3人の侍女ならぬ従軍看護婦(テゥタ・コッコ、ルイーズ・カリナン、キム=マリー・ウッドハウス)が現れて・・・。この従軍看護婦がかなり面白い演出になっています。誰が女王のところに報告に行くのか言い争いながら、次々と白衣を脱ぎ捨てていくシーンなんか笑ってしまいました。

 パパゲーノ(ベン・デイビス)は塹壕の中で鳥を飼っているようです。この意味がわからなかったのですが、後でパンフレットを見ると、「毒ガスの危険を知らせるカナリアを飼育」とありました。炭鉱などでも酸欠の危険を感知するために小鳥を飼っていた・・・と言うような話は聞いたことがあるのですが、軍隊で実際にカナリア飼育の役職があったんでしょうか?ちょっとしらべてみたくなりました。それにしてもこのパパゲーノは、二枚目です。パミーナが、まだ見ぬタミーノよりも、実際にモノスタトスから助けてくれたパパゲーノのほうを隙にならないのが絶対フシギなくらいです。

 夜の女王(リューボフ・ペトロヴァ)は・・・すごいアリアでした。演出は女王というより狂気の女将軍。最初、タミーノにパミーナを助けだしてと哀願するところからすでに恐いです。戦車に乗って登場します。

 ザラストロ(ルネ・パーペ)は宗教的な精神的指導者と言うより、もっと実際的な指導者と言う感じでした。演じているルネ・パーペ自身のカリスマが前面に出ている気がしました。医学の知識もある昔ながらの(軍事も国政も一手に握っていた頃の)王様という雰囲気をかもし出していました。

 タミーノ役のエイミー・カーソンも、パパゲーナ役のシルヴィア・モイも若くてきれいで、当たり前だけど歌がうまい!すごい!

 ソロのある役の人たちしか、パンフレットに紹介がありませんが、それぞれ人気も実力も容姿も一流のオペラ歌手を集めたらしく、歌声はもちろんのことビジュアル的にも納得がいく配役でした。あえて難を言うとすればモノスタトス(トム・ランドル)が見栄えが良すぎることでしょうか。無理に迫らなくても美しい恋人がぜったいできそうなんですもの。また、どこにも紹介がなくてちょっぴり残念なのですが、三童子を演じた少年たちのキュートでラブリーなこと。澄んだボーイソプラノの美しさ、3人が3人ともクリっとした小鹿のような目で愛嬌たっぷり。イギリスにもテルツやウィーンのような高名な少年合唱団があるのでしょうか・・・?

映画「魔笛」オリジナル・サウンドトラック Music 映画「魔笛」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,ジョセフ・カイザー,エイミー・カーソン,ベン・ディヴィス,シルヴィア・モイ,ルネ・パーペ,リューボフ・ペドロヴァ
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2007/06/27
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 歌詞は全編英語です。オペラはやはり原語(この場合はドイツ語かな?)でなくては・・・と思われる向きも多いかと思いますが、わたしはたとえば日本の歌劇団が演じる時には日本語訳の歌詞でやってくれないものかなぁ・・といつも思っているので、英語だからと言って違和感はありません。というか、英語だからと違和感を感じるようなオペラ通じゃありませんし、ドイツ語やイタリア語よりは英語の方がまだ多少は聞き取れるので、どんどん英語で演じてみて欲しいです。

 オペラファンでなくても楽しめる映画・・・という宣伝をしていますが、たしかに映像が華やかだったりファンタジックだったりスペクタクルだったりで、舞台のオペラよりは馴染みやすいとは思いますが、やはり普通の映画よりは、アリアが長い分だけ冗長に思えます。ミュージカル映画とくらべても、歌曲を楽しむという気持ちがないと退屈する人も多いのではないでしょうか。じっさい今日もまわりからたくさんの寝息が聞こえて閉口しました。

 おりしも今日は水曜日。お安く観れるはずの日なのに、私は前売り券を持っていたものだから、200円高く支払った計算になります。観客が多い分だけ窮屈で、寝息はたくさん聞こえてくるし、その点ではちょっぴり損した気分です。

 そうは言っても、わたしとしては、映画の出来には結構満足してます。衣装(特に3人の侍女=従軍看護婦とパパゲーノの妄想のなかの女性たち)もよかったし。タミーノとパミーナが赤ちゃんを抱いている最後のシーンも平和で明るい暮らしをあらわすハッピーエンドでとっても好感が持てました。

  が、しかし、・・・。もともと最初と最後では味方と敵、善と悪が入れ替わるお話ですが、映画での設定は少し疑問もあります。というのは最初にタミーノが襲われる毒ガスは状況としては赤の軍服の戦闘機からの爆撃によるものと思われます。オペラの大蛇・・・は夜の女王にもザラストロにも関係のないものと考えられますよね。ところが最後はザラストロ率いる赤い軍服の隊が、戦争を早く終結させるため、愛と平和のために画策しているということになっていますよね。そんな軍隊が毒ガスなどという武器を使うのはいかがなものでしょうか?それとも私の観かたが間違ってるのか??

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