「日本の青空」感想その1
日本国憲法施行から60年の節目の年にふさわしい映画、「日本の青空」(大澤豊監督作品)。昨日、午前中仕事だったので帰りに観にいきました。企業などのスポンサーのつかない、自主制作・自主上映の映画を封切り(?正確にはどういうのか知りませんが?)で観たのは初めてです。なにしろ独立館(ミニシアター)系の映画だってほとんど観ない、「ハリウッド超大作」的な映画の好きな私ですから。友人が“「日本の青空」製作協力券”というのをヤマほど持っていて「売れなかったら自腹や」というので、ほとんど友人に対するカンパの気持ちで購入したのでしたが・・・。ほとんど同志社大学寒梅館への興味だけで、映画自体は堅苦しくて眠くなるのを覚悟で観にいったら、予想外の感動作でした。うれしいビックリです。(同志社大学のウワサの寒梅館のホールは立派でした。ウワサのレストラン・セカンドハウスが貸切で利用できなかったのはとっても残念です)
ストーリーは日本国憲法誕生秘話、というところ。雑誌編集部の派遣社員・沙也可(田丸麻紀)が、編集長から他の編集者と同等に、憲法特集として編集する雑誌の企画を出せ、と言われ、正社員への昇格のチャンスとばかり張り切るところから物語が始まります。母親(岩本多代)から、小学校教師だった祖母が憲法学者・鈴木安蔵の娘を教えたこと、鈴木安蔵が現在の日本国憲法の草案のもとを作ったのだと言っていたことを聞いた沙也可は、鈴木安蔵の娘たちを体当たりで探し始めます。運良く鈴木安蔵の娘たち(水野久美・左時枝)を探し当てた沙也可。娘たちから鈴木安蔵の話を聞き、ノートを借りて調べ始めますが・・・。
沙也可が恋人・修介と共に鈴木安蔵の調査をする姿と交互に、鈴木安蔵(高橋和也)が京都学連事件(1925年)で投獄されてから、戦中を苦労して生き抜き、戦後、高野岩三郎(加藤剛)らとともに憲法研究会で、草案を練り上げ、GHQに提出。非民主的な政府案に対して、GHQが憲法研究会の草案を元にGHQ草案をつくり、日本政府側と共に現在の日本国憲法の条文を練り上げていくまでが描かれます。最後のシーンではちょっとウルッときてしまいました。歴史を語る場面では、当時のホンモノの映像も使われていて、リアリティがありました。白洲次郎役の宍戸開が、実物もこんなだったんだろうと思われるダンディさで印象的でした。鈴木安蔵の妻役の藤谷美紀も聡明で抑制のきいた役ですばらしかったし、日本国憲法に女性の人権について盛り込んでくれた、若きベアテ・シロタ役のデルチャ・ガブリエラがとても美しく、強い力を持った大きな瞳が、この役柄にふさわしいと思えました。ナレーターは山本圭。
鈴木安蔵という人のことは、全く知りませんでしたが、大学時代一般教養で自由民権の私擬憲法について、結構頑張ってレポートを書いた経験のある私としては、大いに興味が湧きました。
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