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2006年11月11日 (土)

『漱石の孫』『窓際OLトホホな朝ウフフの夜』ほか

今週読んだ本+αです。偶然ですが、大文学者の孫が書いたエッセイを2冊読みました。

『漱石の孫』 夏目房之介著 夏目漱石の長男の子である房之介氏のが、TVの企画でロンドンへ漱石の足跡(下宿先など)を訪ねる。彼の地を経巡りながら、イギリスを嫌った祖父・漱石を思い、長く欧州に遊学した父・純一を思い、「漱石の孫」と呼ばれることを嫌った幼い日・若き日の自分を思う。漫画家を志すうえでの父のような存在手塚治虫を偲び、自らの仕事を語る。この内省的な文章はまさしく「漱石の孫」。 ・・・それにしても私がちょっとショックだったのは、大英図書館に漱石の本が無かったこと・・・世界では漱石は無名の作家だったとは! 漱石が1000円札の肖像になった時、家族というか遺族になんら許可のお伺いも、連絡すらも無かったとの記述にもびっくり。また、巻頭口絵は有名な、右手にこめかみを当てるように首をかしげたポーズの写真だが、このとき漱石は数えの46歳。何となく50台ぐらいの写真に思っていたのに・・・、よく考えれば漱石の享年は49歳なので50台の漱石のはずは無いのだが・・・。明治の男性は渋すぎるほど渋い!

漱石の孫 Book 漱石の孫

著者:夏目 房之介
販売元:新潮社
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 「漱石の孫」と呼ばれることに忸怩たる思いを持っている、房之介氏とは、全く違ったスタンスで父を語っているのが

『窓際OLトホホな朝ウフフの夜』 斎藤由香著 だ。祖父は精神科医にして大歌人の斎藤茂吉、父は元精神科医にして芥川賞作家、ユーモア小説・ユーモアエッセイでおなじみのどくとるマンボウこと北杜夫・・・しかも祖父・父とも精神状態に難あり。さらには伯父まで(斎藤茂太)まで医師を本業としながらも何冊も本を出している・・・という家族構成。でも彼女の文章は、題名からもわかるようにとても明るい。OLとして勤める会社(サントリー)ネタだど、本人が何度も本文中に書いている通り、「筆禍事件」として社内で問題にならないのが不思議なぐらい。あまり固いことを言わずに、会社の上司をおちょくるようなコラムを容認していたことで、読者によるサントリーの企業好感度は大幅にアップ間違いないと思われる。商品も彼女のおかげでずいぶんと宣伝効果があったはずだ。父の北杜夫に対してもけっこうキツイことを。いや、おもしろい。阿川佐和子・壇ふみなどエキセントリックな作家の娘は、ものすごく面白いエッセイを書いているが、同じ系統なのかしら・・・。と思いながら読み進むと、一人っ子であると書いてあるではないか? たしか北杜夫氏はずいぶん前に『孫ニモ負ケズ』というエッセイを書いていたはず。とすると? 私はこのエッセイの書き手を独身の若い女性と脳内設定して読んでいたのだが、実はすでにお母さんであって、しかも仕事を続けていたのか・・・。すばらしい。

窓際OL トホホな朝ウフフの夜 Book 窓際OL トホホな朝ウフフの夜

著者:斎藤 由香
販売元:新潮社
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 今年は、夏目漱石の『坊ちゃん』発表後100年という記念の年であるせいか、漱石関係の出版物が多いような気がします。私も何冊か買って積読状態。今回の『漱石の孫』と夏に読んだ『うらなり』しか読み終えていません。

 『うらなり』小林信彦著 は、題名から推察できる通り、『坊ちゃん』の続編のようなものとして書かれた本。うらなりと山嵐が30年後に東京で出会う。うらなりは当時を思い起こすが、「坊ちゃん」と呼ばれた男の行動はうらなりにとっては不可思議で迷惑なものだった・・・。という『坊ちゃん』の話をうらなりの側から読み返してみると言う形を取った小説。読みやすく、面白かったので、読後時間がたってしまった本ですがあえてここで紹介。

うらなり Book うらなり

著者:小林 信彦
販売元:文藝春秋
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『時をかけた少女たち』 かやまゆみ著

 巴御前、静御前、信長の妻・濃姫、お市の方などなど歴史小説などでもおなじみの女性たちの恋と結婚をあっさ~りと短編で描いたコミックシリーズ。歴史物の好きな私には食い足りないと思いつつも、でもやっぱり歴史物が好きなだけに面白く読める・・・かな?歴史物なのに本文中に外来語が(プロポーズ、とか)混じるのを、少女漫画ゆえのご愛嬌(^_^;)ととるか、ダメだ(ノ∀`;)っと思うべきか迷うところ。でもこどもたちにざっと時代に親しんでもらうにはいいかもしれない。総合的に考えて他の作品(だんだん時代が下ってくる、いまは幕末・新撰組の本が最新刊)も読もう、読みたいと思える本。(でも新刊を待ち侘びるというほどじゃない、ファンの人ゴメン)

時をかけた少女たち (平安~鎌倉編) Book 時をかけた少女たち (平安~鎌倉編)

著者:かやま ゆみ
販売元:講談社
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時をかけた少女たち (戦国(室町)編) Book 時をかけた少女たち (戦国(室町)編)

著者:かやま ゆみ
販売元:講談社
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